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武器屋の勇者様 ~ 祝福を受けたハズの女子高生の空回り奮闘記  作者: 61
3章:魔法の道具 ~お店をするために~
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冷蔵庫の魔道具

--冷蔵庫の魔道具--


あらすじ:パン屋姉妹はメタルなスライムだった。

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魔石をいくつか買ってきた。


また魔道具を作ろうと思う。一応、女神様との約束だしね。


まぁ、祭壇でお祈りしてもウンともスンとも返事は返ってこないけどね!


何より、魔法を新しく作るより魔道具を作る方が楽になった。魔法を作るときは、覚えた魔法陣を一括(いっかつ)で空中に表示させなくてはならなかったけど、魔道具だったら単語ずつに魔晶石に刻むことが出来る事に気づいたからだ。


そして、単語を入れた複数の魔晶石を魔導線で(つなぎ)ぎ合わせても作動する。


これで試行錯誤が格段にしやすくなった。


もう、ウンウン(うな)りながら魔法陣を覚えなくて済むのだ!魔石の値段を気にしないで試作することが出来るのだ!素晴らしい!


魔石はそんなに高くない。私の少ないお小遣いで買える程度だ。だけど、失敗したからと言って捨てるのはもったいない。


魔石はダンジョンのモンスターなら大抵持っているし、一般には使い道があまりない。例えば魔道具の電池にするとか、魔晶石にして魔道具にするとかアクセサリーにするとか。


アクセサリーにしても石は余り気味なので高くならない。恋人に自分の魔力を込めた結晶を渡すなんてロマンティックな話も有るけれど。



上手くいけば南の国の王様の魔法も成功するかもしれない。夢が膨らむ。



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最近は、攻撃魔法より家電魔道具を作ろうと思っている。


氷の杖も、雷の杖も失敗したし、なにより生活を豊かにしたい。


そもそも、武器って魔力消費が大きいんじゃないだろうか。鉄砲とか大砲とか、お金がかかるって聞いたことが有る。「弾丸1発のお値段で、この店のサーモンサンドが4個も食べれちゃうのよ。」って聞いたことが有る。


その点、家電はエコの象徴だ。エコを(うた)っていない家電なんて少ない。使わない方がエコだって事は置いておいて。


冷蔵庫の魔道具は、クーラーボックス型と言うかヒンジのない木のクーラーボックスって、ただの箱じゃん。その木工屋『山鹿の角工房』で作って貰った木の箱のフタに、冷気の魔道具を取り付けてみた。


冷気は下に溜まるし、水の魔法で氷を作ると、溶け出した水の処理が面倒だったからね。



とりあえず冷却の魔法を作ってみる。


『風の精霊よ、冷たくなり、そよ風になれ』とか書くと動かない。


『風の精霊よ、その動きを止め、囁け』と言う魔方陣を書いたら冷気が出た。


この違いが判らないけど、だいたい中2病っぽく書くと成功する気がする。魔法の神様は中2病を(こじ)らせているのだろう。間違いない。


無事に冷却の魔法が出来た。


ついでに、もう一文思いついたので作ってみる。


『風の精霊よ、彼の者に死を、(ささや)け』


DEATHの魔法が出来た。



封印しとこう。



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出来上がった冷蔵庫の魔道具を魔道具工房『苔むした巌工房』に持っていって出来映えを見てもらう。


「またか!」


見せただけでシュラン爺さんに怒られた。猫耳がしょぼんとする。


この間も怒られたし。


パン屋の人手不足解消に小麦粉を()石臼(いしうす)を自動で回転させたら怒られた。


ちなみに、私の猫耳と猫尻尾も魔改造した。気分によって自動で動く。中に砂を仕込んであって土魔法で動かしている。かわいい。サイモンさんが欲しがっていたけれど、まだ売りには出していない。


さっきは何で怒られたかと言うと、今まで人間が使っていない文字が入っていることが問題になってくるのよね。冷蔵庫には『止めろ』とか、石臼には『回せ』とか、エルフから盗んだ魔法には含まれて居ない単語が入っている。


「なんで、知らない単語が使える?」


「この間も言った通り魔道具の女神様に教えて貰ったんです。」


この前も説明が面倒になったので女神様のせいにした。教えて貰ったと言うか祝福だけどね。


「それでも聖女様じゃ無いんだな?」


「聖女にするのは面倒くさいと、キッパリ言われましたし。」


聖女じゃなく勇者である。でも勇者だなんて言うと、戦いとか戦争にでも巻き込まれそうなのでナイショにしておく。DEATHの魔法を開発してしまってから、武器と言うものにちょっと恐怖感が有るし。


(ささや)け』と言う単語から殺しの魔法が出来てしまったんだ。家電魔道具に使われている魔晶石に下手な単語を入れて、その単語を悪用して大変な魔法が作れるかもしれない。


「それでも女神様のお言葉を(たまわ)れたと言うだけで聖女認定されるのだがな。」


「いまさら聖女だなんて言われても、面倒くさいじゃないですか。ちょっと言葉を教えて貰っただけで、他に何もできないんですから。ボランティア活動なんてしたくないですよ。」


聖女オヨネ様は魔方陣も無しに魔法が使えたと言う。その力を民のために尽くしたと云われる。


だけど、私にとって収入は死活問題なのでボランティアなんてしたくない。


だって『猫の帽子屋』が儲からないとレベルが低いままになってしまう。最近になってようやく年相応になってきているけど、今まで7歳児にも負けていたのだ。『猫の帽子屋』の儲けと強さが比例しているのは、経験から間違いないと思う。女神様が言ってたし。


この世界は前の世界ほど治安が良くない。警察代わりの衛兵だってすぐに来ない。パトカーも無いしね。自立するために、力を付けるために、お金は必要だ。


もっとお金を貯めて、ミル君を守れるようにならなくちゃ。


「とにかく、石臼はパン屋だけだし誤魔化せるが、その冷蔵庫とやらを世に出せば厄介な事に巻き込まれるだろうな。新しい魔法なんてモノは誰もが欲しがるぞ。」


「そこをなんとかできないか相談したいんだけど?」


冷蔵庫だけではなく他の魔道具も世に出したい。お金儲けと、自分の暮らしを良くするために。例えばミルクを仕入れてケーキを食べるために。


「聖女でも何でもなってしまって、お偉いさんの保護を受けた方が簡単だろ。後ろ楯がしっかりすれば、変なちょっかいは少なくなるさ。」


「囲われたくないのよね。『猫の帽子屋』に居たいんですよ。」


『猫の帽子屋』に関われないと、売り上げに関われない。


「それは、貴族なり商人なり次第だろうな。…もしくは王様か。」


シュラン爺さんは溜め息を吐いて遠い目になる。


私が商人なら貴族に売り込むし、貴族なら王様に売り込む。


独占しても面倒なことになるのは目に見えてる。


早いか遅いかの違いだ。


新しい魔道具を売るなら、王様に関わる事は避けられないようだ。



ま、定番だね。仕方ない。



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次回:『代官様』に冷蔵庫をプレゼント。



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