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武器屋の勇者様 ~ 祝福を受けたハズの女子高生の空回り奮闘記  作者: 61
3章:魔法の道具 ~お店をするために~
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乙女の危機

--乙女の危機--


あらすじ:魔王・受付のおネェさんに勝った。

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再びパン屋姉妹と待ち合わせをしてダンジョンに挑戦する事になった。


ダンジョンの入り口で、ギルドのおネェさんから苦労して貰ったギルド証を見せて中に入る。


パン屋姉妹は手慣れた様子で、冒険者ギルドが貸し出すレンタルの松明に火を点けて、ずんずんと奥に進んでいく。外の寒さがどんどん(やわ)らいでいく。


中はショッピングモールのような広さが有って、床も(たいら)で歩きやすい洞窟風になっている。人の手で岩をくりぬいたトンネルみたいだった。洞窟特有のじわっとした涼しさが肌に触れる。


入ってすぐの最初の分岐に来るとリリアちゃんが自慢気に案内してくれる。


「あっちに帰還の魔方陣があるよ。5の倍数の階から一瞬で帰って来れるの。5階と10階と15階と20階ね。今日は5階まで行って帰ってくるだけだから、帰りはここを通るのよ。帰還の魔方陣は皆が使うから、戻って来たらすぐに部屋から出ないといけないからね。注意してね。」


リリアちゃんは12歳なので今年からダンジョンに入っている。


初めて出来た後輩が嬉しいのだろう、ダンジョンのアレコレを説明してくれる。お姉ちゃんぶるロリっ子カワイイ。


私の方が年上なのに…。というか、私が1番年上じゃん。しっかりしなきゃ。



ダンジョンの1階と2階は迷路になっているようで、あちこちで分岐している。


見回しても同じ様な光景しか無い暗い洞窟をパン屋姉妹は迷わずにどんどん進む。


なぜなら、足元に白い線が引かれているからだ。


毎朝、強い冒険者パーティーがモンスターを倒して露払いをしてくれる。


その後の2番目のパーティーがこの白線を引きながら安全確認をしてくれる。この2つのパーティーには冒険者ギルドから報酬が支払われている。


そのため、1,2階はモンスターにほとんど遭遇しない上に迷子になりにくい。


だから万が一にも迷子になっってしまったら、ギルドの受付のおネェさんに殺されるだろう。考えただけで恐ろしい。


時々、脇道から出てきたモンスターと出会う事があるらしいけど、他の冒険者達が遭遇戦をした後を付いて行っている形になっているので、私達が歩く頃には滅多にモンスターに出会わない。


出てきてもクモやネズミと言った弱いモンスターしか出てこないそうだ。


全部リリアちゃんの受け売りだ。一生懸命教えてくれる。ありがとう。


子供冒険者教室でも聴いたけどね。



なるほどなるほど、と聞きながら迷路の最短距離を歩くこと2時間。やっと3階に着いた。


3階には壁が見当たらなくて、開放的な作りになっている。かなり遠くに壁が有るらしいけど。そして天井も弓矢では届かないほど遠い。その上、太陽ほどではないけど明るさもあり、松明が無くても歩くのに苦労はしない。


広がる草原の中にまばらに木が生えていて、中には天井まで届いている様な大きなモノもある。ちょっと不思議。


のんびりと草を食む牛のようなモンスターが遠目に見える。


「平和だね~。」


ダンジョンの中とは思えない平和な光景に気が緩んだ。


「肉食のヤツも居るから気をつけてね。ここから先は駆除対象にされて無いし、どこから襲われるか解らないから」


私の感想にドリアちゃんが注意してくれる。だけど危険だと言われ続けていたダンジョンの長閑(のどか)な風景に緊張感が薄れていってしまう。


どんよりと曇った日、程度には明るさは十分にあるので、レンタルの松明を回収ボックスに返して歩き始めた。松明は後で冒険者ギルドが回収してくれる。


すでに何組も先に進んでいるので、草原の草が剥げて道になっている。(わだち)が見えるのは馬車も通るからだ。これなら迷う事も無いだろう。


パン屋姉妹も警戒しているのか少し歩く速度が落ちたけど、それでもかなり早い。


「あの、トイレに行きたいのだけど。」


3階の解放感からか、1,2階より緊張感を無くした私の膀胱か弛んできた。


「じゃあ、そこら辺でって…、初めてだったね。ダンジョンではなるべく下着を下ろさないの。最初は立ったまま足を広げてすると良いわ。」


「は?」


理解不能になる。


下着を下ろさず用を足すって、どうやってやるのだろう?まさか…そのまま…。


「ダンジョンは危ないからお尻を出して用を足さない方が良いのよ。この辺りはまだ大丈夫かもしれないけどね。浄化の魔法を強めに使いながらすれば大丈夫だから。慣れたら歩きながらだって出来るわよ。」


おおう、垂れ流せと。


しかも、慣れたら歩きながら垂れ流すとか…。


こんな感じ。ドリアちゃんが実演してくれる。少女の貴重な排泄シーン。


とはならず、ただ足を広げて立っているだけに見えた。


「魔法を発動させるとき魔方陣を体の内側に展開して。外に魔方陣を展開しないようにするの。体内に展開する感じで。」


早口で言われたけど、まったく理解できない。


「出来ないの?じゃあ、目を(つぶ)ってしてみると良いわ。自分が風邪をひいた時に治癒の魔法をかける時と同じ感じで。したことない?コレットさんたら甘やかして!魔法はミル君に教えて貰ったの?ん~オネショを魔法で誤魔化したことは?最近まで魔法が使えなかった?どんな生活してたのよ。」


散々だった。初めての魔法は上手く行かずに…。


じ、浄化の魔法って便利だね、今度からはトイレに行くために、寒さをコラえて布団から出るか、我慢するかを悩まなくて良くなるよ!



どこで練習しよう。



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次回:回り込まれた『テリヤキサンド』



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