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武器屋の勇者様 ~ 祝福を受けたハズの女子高生の空回り奮闘記  作者: 61
3章:魔法の道具 ~お店をするために~
31/93

収穫祭

--収穫祭--


あらすじ:受付のおネェさんは強かった。

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秋が終わりに近づき、冬の(きざ)しか見えだした頃、少しずつ街に人が増えてきた。


暖かい季節の間に農業をやっていた半農冒険者たちだ。彼らは馬車にたくさんの収穫物を載せてやって来るので市場が(にぎや)やかになった。また新しい食べ物が増える。たのしみ。


ユーハイムの街には半農冒険者の人達のための家があり、普段は街に住み着いている人が手入れをしている。街の人は半農冒険者の人から農村の恵みを分けてもらう。


街の、あちらこちらで再会を祝う宴会が開かれている。久しぶりに会う友人との合唱が響き渡る。


彼らは荷物を置いて住まいを整えるとダンジョンに潜って行く。人によってはダンジョンに籠るらしい。雪が降る外と違ってダンジョンの中は暖かい。


『猫の帽子屋』も冬の準備をした。保存食を買い足し、薪を集め、部屋の壁や窓に毛皮を貼り付けた。暗くなるけど壁が厚くなって暖かい。これも生活の知恵なのかな。


ミル君を抱っコできれば、それだけで温かいだろうけど、抱きつこうとすると逃げられる。悲しい。


人が集まるとお祭りになる。収穫祭。


農村の恵みが、税となる作物と一緒に運ばれて来る。


もちろん『猫の帽子屋』も税金を払った。お金が減った。


だけど、冬の準備は順調に終わった。



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収穫祭の出し物として、冒険者ギルド主催の『射的大会』が開催された。


点数が書かれた(まと)に5本の矢を打って、その合計点で競い合う方式だ。アイディアは私が出した。搾り取られた。


1本撃って勝ち負けを競うと人の入れ替えだけでも時間を取られるし、参加費も小さく設定しなきゃならないからね。


あの日、冒険者ギルドの受付のおネェさんに捕まってギルドの射的場計画が立ち上がった。


今ではギルドに専用の射的場があり景品も出る。そして参加費でおネェさんの懐も温まる。クロスボウのデモンストレーションから速攻で射的場を考え付くおネェさんすごい。


そして、アイディアを人から奪い取る手腕もすごかった。


ちくしょう!ウチにはそんな事出来る場所が無いんだよ!ほとんどトマト畑になっているよ。


私も射的屋をやっていたら小金稼ぎになっていただろうか。


いや、ダンジョン前に拘束されて、お店に戻れなくなるし別にいいか…。ギルドのおネェさんはずっとダンジョン前の広場に居るし、『猫の帽子屋』のお店より人が集まるから儲けも出やすいだろう。


くやしくないもん。


受付のおネェさんの射的場の延長で、収穫祭で『射的大会』が開催される事になったので、選手として登録した。


クロスボウの売れ行きが(かんば)しくないから、街の人や半農冒険者達にアピールして売れるようにしたい!と思ったのだけど。


「あ、そうそう。クロスボウは今年だけですからね。みんなが平等な立場にならないと競技になりませんから。それと、後から他の参加者に文句言われても面倒なので、優勝しないようにしてください。」


と言う有難いお言葉を頂いた。受付のおネェさんマジツエェ。


まあ、独りだけ違う武器じゃ盛り上がらなくなるしね。今回は宣伝のために特別参加させてくれるという事だ。なんか、負けるのが前提と言う事が染み付いて来た気がする。どうにかしないと。


優勝不可となると途端にヤル気が無くなった。クロスボウの凄さアピールも目立たなくなってしまう。



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「さあ、エントリーNo.89番『猫の帽子屋』からアマネ嬢です。彼女は最近話題の『7歳児に負ける16歳』。その汚名返上のため、誰でも同じ威力で打てる弓を開発しての参加です!その名もクロスボウ。ちなみに、変則な弓は彼女だけの特別措置であり、他の皆様にはクロスボウでの参加はご遠慮いただいております。」


受付のおネェさんのアナウンスで入場する。しかし、『7歳児に負けた』が浸透しまくってる。宣伝には良いかも知れないけど、これもどうにかしないと。せっかく14歳に勝ったのに。


しかも次の競技には使えない事を言われてしまうと、競技目的で買ってもらう事も出来ない。これは、参加しない方が良かったのではないだろうか。


「アマネェ!がんばって!」


ミル君の声援にクロスボウを(かか)げて応える。少しやる気がでる。


長めにクロスボウを(かか)げて、観客の興味を引く事も忘れない。きっと十字のシルエットのそれは観客には奇妙なものにみえるんじゃないかな。


「14歳に勝ちました!『猫の帽子屋』の新作クロスボウ!その威力見ていってください!」


勢い良く言って見たものの、矢をつがえるのにモタモタしてしまう。クロスボウを足で押さえて弦を引っ張る。けっこう力が要るので時間がかかってしまった。


「あんなことをしてる間に獲物が逃げちまうよ。」


野次が飛ぶ。


それでも1発打つたびに歓声が上がる。ちょっと気持ちがいい。


1回の満点が10点で、それが5回。50点満点中32点。


予定通り敗退だ。ルールで3本にしておけば良かった。


他の人より競技の時間が長すぎた。嫌な意味で目立ってしまった。


やっぱり出なければ良かった。



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さて、気を取り直してお祭りだ!ミル君とデートだ!!


農村の恵みが集まってくるので行商人も集まってくる。わざわざ個別に買い付けに行くより効率が良いらしい。行商人に混じって芸人もやってくる。もちろん冒険者ギルドのように色々なギルドが催し物をやっている。


あちこちの催し物を観たり、露店を冷やかしてミル君と他愛のない話をする。今日の夕食は露店で食べることになっている。街の中には良い匂いがあふれていた。


「あ!ウサ耳だ!」


ミル君が目ざとく見つける。


「ウチの商品じゃ無いわね。マネされ始めたね。」


「ウサ耳はどう思う?」


「可愛いと思うけど、そのトンガリ帽子には似合わないね。あっちのモツ煮なんてどう?」


あちこちで動物耳カチューシャが見える。見覚えのない物もチラホラ見える。


露店で夕食を済ませたら、コレットさんと店番を交代しなきゃ。


コレットさん目当ての常連さんが、お祭りに誘いに来ていた。さてはて、どうなることやら。ふふふ。



コレットさんは普通に帰ってきましたよ。残念だったね。



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次回:『はじめての魔道具』と必殺技。



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