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武器屋の勇者様 ~ 祝福を受けたハズの女子高生の空回り奮闘記  作者: 61
3章:魔法の道具 ~お店をするために~
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実演販売

--実演販売--


あらすじ:お茶会は楽しかった。

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「『年下に勝って喜ぶ賢女』よ。クロスボウが出来たぞ。」


木工工房のサイモンさんと鍛冶屋のゴルドさんが店を訪ねてきた。


サイモンさんは毎回毎回、私を煽るのを止めて欲しい。


やっと14歳に勝てたのだ。誉めても良いのよ。私は16歳だけど。


「スゲーぞ、これすげーぞ。」


オジサン二人が騒ぎ出した。



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次の日の朝。


いつものワゴンを押してダンジョン前の広場に行った。ワゴンに棒を差して旗のようにクロスボウを吊るしてある。もちろん新商品となるクロスボウの宣伝のためだ。


「ホットドッグいかがですか~。『猫の帽子屋』のホットドッグですよ~。」


「今日は2つ。カラシ菜増しで。って、ナニコレ?」


いつものように呼び込みをしながら広場に入っていくと、さっそく常連のお客さんが来てくれた。この街のダンジョン前に来る専業冒険者の人はかなり顔見知りになってきたね。ほとんど毎日来ているし。


だけど今日はいつもより人が多く感じる。


「ありがとうございます。『猫の帽子屋』が販売する新しい武器ですよ。クロスボウって言うんです。後で動かして見るので良かったら見ていって下さい。」


「あ~アマネちゃんがらみか。いかついオッサン2人組が朝から大騒ぎしているから、みんな落ち着かなくてね。どうにかできないか?」


彼の視線の先には、昨日会った木工屋のサイモンさんと鍛冶屋のゴルドさんが居た。2人とも背中にはクロスボウを背負っている。


私も同じ物を持っているから関係者と思われたんだろう。


まぁ、待ち合わせはしていたんだけど。


「オイ。もうちょっと遠くに的を設置出来なかったのかよ!」


「うるせぇな、(まと)は重たいんだよ。そっちがもっと遠くに行けば良いだろう!」


「こっちはいっぱいだよ。後ろを通り抜けもできやしねぇ。もっと遠くへやってくれ!」


2人の声は大きい。態度も大きい。周りの人達が困っているよ。


「オウ!そこのヤツ、線を踏んで消すんじゃないぞ!」


広場のど真ん中を陣取って弓の(まと)を置いて、射線を囲んだ線を引いている。多分『線の中に入るな』的なものだろう。広場の端から端まで引いてあるので、とっても邪魔だ。


ホットドッグを売っている場合じゃ無くなったようなので、急いで2人に声をかける事にする。


「2人ともなにしているんですか!」


「おう、アマネ!遅いぞ。さっさと始めるぞ!」


昨日の打ち合わせではホットドックを売りながら声をかけて、人が集まった所で実演しようって約束をしていた。


ただ飾っていても売れないからね。実演をしてその性能を見て貰って注文を受けようって寸法だ。


そのために昨日は広場を管理している冒険者ギルドまで足を伸ばして許可を取ってきている。


冒険者ギルドって言うのは文字通り冒険者の組合で、冒険者が狩りをしやすいように工夫していたり、ダンジョンの入り口に小屋を建てて、冒険者の出入りを監視したり、小さい子が入るのを止めたりしている。


それに冒険者が予定通り帰らないと、捜索隊を組んで探してくれたりする。


そうそう、子供冒険者教室の管理も冒険者ギルドの仕事だ。依頼主は領主様になっているけど。


ホットドックを売り始める時も許可を取りに来たのだけど、今回はサイモンさんとゴルドさんが居たからか簡単に許可が下りた。それだけ信用が有るってことなんだろうね。



広場で2人の筋肉オジサンが大騒ぎしているので、すでに人が集まってしまっていた。仕方ないので予定を繰り上げて、いそいそと試射の準備をする。


「こちとら、この広場に一番乗りしたんだ。ずっと待っていたんだぜ。」


朝早くから陣取っていたらしい。ワクワクして眠れなかったなんて、どこの小学生か。


準備が出来たのを軽く確認して冒険者に向かって呼びかける。


「さあ、お立合い!『猫の帽子屋』の新商品!クロスボウの試射をしま~す!時間が宜しければ是非見ていって下さい!」


わぉ。結構集まった。


「おう、やっと始まるのか。」


「仕事を遅らせてるんだ、面白い出し物をやるんだろうな!」


なにが始まるのか皆待っていたらしい。娯楽に飢えているんだな。


「はい、お立ち会いありがとうございます。今日ご用意致しましたのはこちらのクロスボウ!『猫の帽子屋』が提案する新しい弓でございます!」


「おう、そこ、入るな!そこに線が有るだろう。その中に入るんじゃねぇ!」


「今から、矢が飛ぶからな。入るんじゃねぇ!」


試射のための場所ではサイモンさんとゴルドさんが人払いしてくれる。


けど、もうちょっと丁寧にして欲しい。お客さんだよ。


人だかりが出来たのでテレビショッピングのノリで続ける。


「このクロスボウのすごい所は、か弱い私でも貴方達より遠くに、そして正確に打つことが出来るんです!」


「さすがに7歳児に負けたヤツには負けねーよ!」


人混みからヤジが飛ぶ。


どうやら私の弱さを知っているらしい。噂の発生源は解っている。子供冒険者教室の先生だ。


この中に何人か先生役をしてくれた人がいる。弱い私は有名になってしまった。悔しい。



「じゃあ、私と勝負しましょう!『14歳に勝った私』に勝てたら、ホットドッグオマケしますよ。」



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次回:ホットドックを賭けて『勝負』



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