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武器屋の勇者様 ~ 祝福を受けたハズの女子高生の空回り奮闘記  作者: 61
1章:森の恵 ~飢えなくするために~
15/93

ホットドック

--ホットドック--


あらすじ:美味しいパンが食べたかった。

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「ライ麦畑で抱きしめてって、小麦畑で抱きしめられた方が嬉しいよね?」


「畑で遊ぶと怒られるよ?」


ミル君が冷たい。けど、そこも良い!


最近は朝の水汲みと掃除をミル君に変わってもらっている。ミル君は力持ち。私はコレットさんと一緒に料理だ。


昨日買った30個のパンに切れ目を入れながら、ミル君とおしゃべり。


玉ねぎをみじん切りにして水気を切る。マーガリンを溶かしてナイフでパンに塗りつける。街に肉は多いけど牧場で増えて居るワケではないのでバターなんて無い。ミルクはお高い。


「アマネェちゃん刃物を使う時は手元を見て。」


ミル君に怒られても私の気分はルンルンだ。


乾燥トマトと玉ねぎを、くつくつと煮込んで、酸味を抑えるための砂糖の代わりにドライフルーツを入れて、垂れない様に煮詰めて作ったケチャップモドキをはみ出さない様にパンに塗る。煮詰めてあるけど塩味はちょっと薄目。


「今日もダンジョン前?」


「うん、ダメなら加治屋さんの前を通って見るよ。」


カラシ菜の塩漬けをアクセントにトッピングして、ソーセージをパンで挟めば、ホットドッグモドキの完成だ。


カラシ菜はマスタードは手に入らなかったので苦肉の策だよ。


十分に冷めた事を確認して、浄化の魔法で清潔にした布でくるんでいく。


バスケットに詰めて売りにいこう!



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別に13回の失敗の間、パン作りだけをしていた訳ではないのだ。天然酵母は待ち時間も多かったし。色々な失敗を重ねて、成功したのがこのホットドッグモドキなのだ。成功の秘訣は利便性。


そして資金。


お金は必要だね。



「ホットドッグいかがですかぁ?

『猫の帽子屋』のホットドッグで~す!」


ダンジョンの入り口広場で大声をあげる。

辺りには今日もダンジョンに入る人が準備をしたり、待ち合わせをしたりしている。


「おはよう、アマネちゃん。2つくれ。」

「俺は1つでいい。」

「もう少しカラシ菜を増やせないか?」


常連になってくれたオジさん達から注文が入る。待って居てくれたみたいだ。毎日の事だけど嬉しい。バスケットからホットドッグを取り出して渡すと、お金と前に買ってもらった時にホットドッグを包んでいた布を受け取る。


前の世界みたいに包みを紙にして使い捨てにしたかったのだけど、あいにく紙は高かった。藁半紙でも裏紙でも高かった。


なので、包み布を返してもらったらお金を返すと言う手法を使う事にした。昭和の牛乳瓶の瓶を返すとお金が返ってくるのと同じ手法だね。おじいちゃんの昔話は聞いておくもんだね。長いけど。


布も高かったけどリサイクルするから初期投資だけで済んだ。


そしてそれが良かった。弁当箱返却システム。最初の説明は大変だったけど、競合相手が減ったのだ。お弁当万歳!


「パンとソーセージだけで値段が高すぎる」とか「買った布を返す理由」とか説明が大変だった。今は布付きの値段と布無しの値段を並列表記している。


この辺りの屋台やお店では、食器に入れて食べ物を受け取る。スープの入ったボウルとか、肉の載ったお皿とか。そして見える範囲で食べて食器を返さなきゃならない。あるいは自前の食器に入れてもらうかね。食器まで売っていたら商売にならないからね。


お皿が必要ないものはそのまま渡される。串焼きとか。もちろん、お弁当として持ち歩くには不向きだ。


その点、私のホットドックは食器を持っていなくても包み布を貸し出すので近くで食べなくても問題ない。ダンジョンの中でも、どこでも小腹が空いた時に好きに食べられる。


そして、浄化の魔法で清潔だ。


何でも浄化の魔法をかけてしまうこの街の人のお陰で、返却してもらった時にはすでにクリーニングに出した後のようにキレイになって帰ってくる。とても衛生的だ。


ホットドックを買う予定が有って包み布を返却するのが面倒だと思えば、普段から布を1枚持っていれば良い。あまり荷物にもならないし、布なら別の使い方もある。採取の時にも、怪我した時にも使える。そしてホットドックを買う時に浄化の魔法をかければ安心して持っていってもらえる。


包み布を返してもらえなくても代金は受け取っているので私には問題ない。沢山持っていかれると私の収入に影響するので止めて貰いたいのだけどね。ギリギリの値段設定をしているのよ。包み布は。


ついでにホットドックを作るときに煮詰めて汁がこぼれにくくして、包み方も片手でも食べやすくしてある。


つまり、買ったモノをダンジョンの中でお昼ご飯にする事が出来る。お弁当。


お弁当はダンジョン内でパンと干し肉に飽きた人や、調理を面倒臭がる人、お弁当を作ってもらえない人にウケた。夕飯はしっかり取っても、昼食は簡単に済ませたい。とか、小腹がすいた時のオヤツにとか。


包み布を返さなければならない事もリピート性を高めてくれた。返すついでに「今日もよろしく。」と。



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「ホットドッグいかがですか~!『猫の帽子屋』のホットドッグで~す。」


順調に売れる。


最初のおっかなびっくりだったのが嘘のようだ。怖い顔の人たちに包み布の説明をする時は涙目だった。でも、最近は薬草やポーションも売れる様になってきた。


『猫の帽子屋』の宣伝もしているのだ。お陰で、お店を訪ねてくれる人も増えてきた。相変わらず、売れるのは安い消耗品ばかりだけど。


もう、塩スープに怯える日々は終わった。


ソーセージのオマケで貰える肉の屑ぐらいは必ず入る。骨も貰える。スープのダシになる。何の肉か、何の骨かなんて考えない。


ダシの出たスープと言うだけで素晴らしい。


これでミル君に他の彼女ができても何とかなる。



夏の空は澄んでいた。



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次回:新章/ダンジョン前の『看板娘』



レシピは異世界の物であり。

現世界のおいしさを保証するものではありません。


種を都合よく調達できないと思って葉にしたけど、

それはそれで美味しそうだなって。


誰か食べさせてください。

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