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武器屋の勇者様 ~ 祝福を受けたハズの女子高生の空回り奮闘記  作者: 61
1章:森の恵 ~飢えなくするために~
12/93

--呪--


あらすじ:弟子入りするのにお金が必要だった。

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お金が無い。具体的には金貨10枚。


魔道具作りを習うお金だ。


ただでさえ美味しいモノどころか満足な量も食べさせてあげられない。ミル君に。


醤油を使った照り焼きに、そぼろ肉味噌。美味しいものはたくさん作れるのに。材料がない。


魔道具を作るどころか、弟子入りすらできていない。


森の恵のお陰で()えることが無いのが救いだ。


稼ごうとする人達は冒険者としてダンジョンに行くので、森の恵が割と豊かにあるのがありがたい。


ここで少しダンジョンについて触れてみよう。


ユーハイムの街の北にある大きな山。そこにダンジョンの入り口が有る。ダンジョンの中は特殊な生態をしていて危険だと言われる。


ダンジョンの生き物は森の生物が逃げるような場面でも平気で突っ込んでくる。ウサギの形をしていても突っ込んでくる。気を抜いているとウサギだろうとネズミだろうと襲ってくる。そして数も多い。森のウサギは襲い掛かってきたりはしない。


なので、襲ってくるようなダンジョンの生き物の事を、モンスターと呼んで区別している。見た目も少し違う。そしてなぜか獲っても獲っても数日経てば数が戻る。つまり延々とお肉と皮が供給されるのである。


だから12歳以下立ち入り禁止。


そしてそのモンスターを狩るのが冒険者。昔は大冒険だったダンジョンの探索も今では地図が有り中には宿泊施設まである。村と言って過言(かごん)じゃない。


近所のオジちゃんがスポーツ感覚で狩りに行ったり、オバちゃんが山菜やキノコを採りに行ったりしている。


旦那さんは休暇を取って、ストレス発散を兼ねて友人とのんびり狩をして、夜は焚火を囲んで酒を飲んで1泊して帰ってくる。


それが最近のトレンド。食費も浮いてお肉も増えて、ついでに始終顔を合わせている旦那も居なくなる。奥様も大喜び。


奥様はご近所さんで集まって、そろってワイワイ言いながらダンジョンに行く。そして旦那さんへの愚痴(ぐち)発露(はつろ)する。キノコや山菜を摘んで日帰りで帰ってくる。


夕食に一品増えて旦那さんが喜ぶ。もちろん奥様でも肉を狩る強者も居るし、襲われたら集団で返り討ちにしてしまう。


奥さん強い。


ダンジョンは、なぜか階段が有ってそれを登るごとに風土が変わる。


その5階に村が有る。大体の冒険者は1階~10階で活動している。穏やかな気候と比較的に安全なモンスターが多い事と、そして食べて美味しいモンスターが多いからだ。5階までだとなんとか日帰りできるのも理由のひとつだろう。。


雪の多いこの地方ではダンジョンの中で狩りや採集をすることは、農業のできない冬の内職のひとつになっている。


だけど、ダンジョンはそこで終わりじゃない。その最奥に人間は到達していない。


一部の冒険者はその最奥を目指して未だに冒険をしている。現在の最高到達階数は22階。だけど、登っただけで探索はできなかったそうだ。21階に居た白い大猿の毛皮が領主様の屋敷に飾られているという。


解明されていることは(ほとんど)どない。魔法のような不思議で満ちたダンジョン。



子供冒険者用室で習った。冒険者先生の愚痴(ぐち)を聞きながら。



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私もダンジョンに入れれば良いのだけど、なにせ弱い。夕方に開かれる子供冒険者教室の先生方に太鼓判(たいこばん)を押された。


「動きは良いんだけどな、攻撃力が無い。スピードもない。逃げきる事が出来るとは限らないから、もう少し戦えないと辛いな。ダンジョンへは入らない方が良い。」


ミル君より弱かった。


と言うか、ウサギより弱かった。


ナイフを装備した状態で罠にかかったウサギに止めを刺すことができなかった。


この世界で生きていくために動物の殺生は必要になる。森の恵みだろうとダンジョンの恵みだろうと殺してから手に入れる。


手に職を持ってダンジョンに入らなくて済む生活ができれば違うかもしれないけど。いや、ご近所付き合いでダンジョンに行く世界だし、やはり殺生からは逃げられないかもしれない。どの道、いつまでもミル君に頼るわけにもいかないのだ。


ミル君が結婚してくれるとは限らない。若い子が好きかもしれない。



年上好きに育てなければ…。



ある日、思いっきり覚悟を決めて、死んだウサギの解体を何度か経験して慣れて、罠にかかった生きたウサギを捕まえてもらって、止めをだけを刺す状態にまでしてもらった。


ナイフもピカピカに研いでウサギが痛くないようにと気遣(きづか)った。


「ちゃんと押さえておいてね。」


そこまでしてナイフでズブリと、…刺さらなかったのだ。


焦った私はサイコホラーの人よろしく、めった刺しにした。



刺さらない。刺さらない。刺さらない。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ!」


焦る気持ちは私を狂乱させた。ミル君が引いてた。


トドメを待つばかりのウサギなのに、簡単に息の根を止めるはずなのに、刺さりもしない。


ここでも私は役立たずになってしまう。


ミル君の役に立たなければ路頭に迷うかもしれない。


独りになってしまったら…私は…ナニモ…デキナイ。



最後にはウサギが気絶から回復して逃げ出そうとしたので、ミル君が手早く処理してくれていたけど、このままでは本当に何もできなくなってしまいそうだ。



別の日に簡易フレイルを作って挑戦した。石にツタを巻いた簡単なものだ。自力じゃ足りなくても加速付き打撃武器ならとばイケるかも知れないと思っていたけど、やっぱりダメだった。


どんなRPGの勇者がレベル1でも1ダメージは出せるよね…。


村人Aでも1ダメ出せると思う。



これは多分、女神の呪いのせいだ。


『武器屋の勇者』の祝福「お店が儲かるとレベルが上がる」つまり「お店が儲からないとレベルが上がらない」強くなれないのだろう。レベル1は0歳児並みかもしれない。


でなければ5歳も下の子供に負ける筈がない。ウサギに止めを刺せないなんてどれだけ貧弱なんだ。


レベルが上がらないとダンジョンに行けない。


独りで森に行くのも恐い。


森だっていつも安全な訳ではない。普通に狼や熊も出るし、ダンジョンから抜け出したモンスターが居るかも知れない。か弱い女の子なのだ。涙が出ちゃう。マジで。


お金を稼げなければ野垂(のた)れ死ぬ未来しかない。ミル君に彼女でも出来てしまえば、私は森に行けなくなる。街で暴漢に会っても抵抗できない。


自衛の為にも稼がなくてはならない。


稼げば、レベルとやらも上がって殺せるはずだ。


とりあえず、稼がなくては。



女神様に呪いをかけられていても、元の世界の知識と言う武器が有る。



おばあちゃんの知恵袋。

知識チートの始まりだ!



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次回:『虫除け』をつくろう!



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