『猫の帽子屋』
--『猫の帽子屋』--
あらすじ:お味噌食べたい。
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武器屋とは言うけれど、売っているものはダンジョン探索用のもの全般だ。
ここ『猫の帽子屋』はコレットさんが、旦那さんから受け継いだお店で、看板には剣と槍を背景にトンガリ帽子をかぶった猫が描かれている。
場所的には商店街よりも職人街に近い街のはずれにある。ダンジョンの入り口からもちょっと離れている。
旦那さんが居た頃は、店の裏の工房で簡単な鍛冶も行っていたので騒音対策にも民家や商店街から外れ職人街に近い場所に店を構えたらしい。
もともとは量産品のカスタマイズで生計を立てていたという事だ。
それが今では裏目に出ている。旦那さんが居なくなり裏の鍛冶の工房は閉ざされてしまって、よその鍛冶屋で量産された商品を売るだけになっている。
そのため量産品を買う人は商店街のお店で済ませてしまうし、特注品を買う人は職人街まで足を伸ばして信頼できる職人を探してしまう。だから人が来ない。
立地が悪いからと言って今さら場所を変える事も出来ないけどね。
場所が悪いから土地が余っているのか、店構えはゆったりしている。店の前にちょっとした広場が有って買った剣を振り回したり、弓矢の試し打ちができるようにしてある。
店に入るとすぐにカウンターが有る。ここも店番しながら細かい作業ができるように広めにとってある。コレットさんが剣やナイフの鞘に付けるベルトを編んでいたりする。
こう言うのが家庭的で良く見えるのだろうか。コレットさん目当ての冒険者は飽きることなく、店に来る。楽しそうに鼻歌を歌いながら編んでいる様子は私が見てもほのぼのする。ちょっと羨ましい。
店の中の様子は後回しにして、奥に進むとトイレと小さな倉庫が有って、その先にキッチンとリビングが有る。
キッチンと言っても燃料は薪で、スープは薪の節約のため暖炉で温めている事の方が多い。でも夕食後に暖炉の前の毛皮のラグで、パチパチと燃える火を見ながら和むのは本当に良い。暖炉の火ってなんであんなに和むんだろうね。
使い込まれてヘタった毛皮が解る気がする。コレットさんとミル君はここで二人で何を話していたのだろう。森の話かな。子供冒険者教室の事かな。妄想が膨らむ。
二階は区切って寝室になっている。私はその1部屋を借りているワケだけど、ベッドしかない。
まぁ、服も数着しかない。もともと着ていた制服とコレットさんに貰った普段着と寝間着。以上。おしゃれをするお金が有ればお肉を買いたい。女の子としてどうなんだろう?
ああ、忘れてた。部屋の隅に木箱をひっくり返してハンカチを載せてミル君に作ってもらった木の人形を置いてある。魔道具の女神様の祭壇だ。これでも奮発したんだよ。布のハンカチを使っているんだもの。
相変わらず女神様からの音沙汰は無いけどね。
先に進むと中庭が有って井戸がある。普通の家では井戸は共同で使われる事が多い。
『猫の帽子屋』では鍛冶に水を使っていたようで、家よりも工房に近い場所に井戸がある。工房と言ってもそんなに大きなものが有るわけじゃない。倉庫と薪置き場が大半を占める。
さて、お店に戻ろう。売っているのは剣や槍、弓と言ったメインウエポンから、ナイフやナタと言ったサブウエポン。の量産品。値札も名札もないし結構雑に置かれている。
もちろん防具も売っているけれど、サンプルが置いて有るだけで、大体は特注品になるらしい。まぁ個人の体格差もあるからね。
そしてあまり売れていない。
そもそも重量のある防具を着けてダンジョンに入る人が居ない。コレットさんが編んだものだからとゴテゴテ着けているあの冒険者が特殊なだけだ。
武器や防具は量産品と言ってもそれなりに値段が高いので中々売れない。信頼出来ないモノに命を掛けることなど出来ないから、しっかりしたものを買い大切に扱うので寿命も長い。さらに売れない。
ゲームのようにコロコロ変えてくれれば私達の生活も楽になるんだけど。
自分の家にある包丁が何年家にあるか考えればわかるよね。私が生れた頃から使っている包丁なんて柄の部分が欠けても使い続けていた。
なので、普段は消耗品を売るワケだよ。
武器のお手入れセットからスタミナ回復の薬草、滋養強壮ポーション。水筒にザイル、保存食。ダンジョンに必要がありそうなものを置いてある。先日していたように武器のお手入れサービスもある。
女神さまの言う魔道具も商品の1つだ。魔力を温存したい時や魔力が尽きた時用に買われる事が多い。そして使われないので売れることも少ない。
基本は4属性魔法のライター。森でミル君が見せてくれたヤツね。中に魔法陣の書かれた魔晶石と魔石が入っていて魔力を流すかスイッチで各々の魔法が使える。
元の世界のライターみたいに生活に便利だな~程度の力しかない。シンプルなだけに作り方が解らない。魔晶石が売っているのを見たことがない。どうやって繋がっているのかも解らない。
まだ元の世界のライターを分解したほうが作り方が解りそうだ。作れるかはともかくとして。
元の世界に居た時に1度分解してみれば良かった。異世界でライターの構造が気になるなんて…。ライターなんてお墓参りの時にしか使わないし、自分で使ったことなんて1回か、多くても2回しかない。
あれ、ちょっと待って、ライターってどうして火が付くんだ?燃料は液体だったよね。灯油?ボタンを押すと火が付くそれだけしか覚えていないよ。
他に売っているのは、魔法のランタン。魔法の水筒。変わったところでは、魔法のシェル。土の魔道具で土のカマクラを作るらしい。使い捨てで、お高い。
魔道具の女神様の言うとおり、魔道具自体があまり発展していないみたいだ。
まず、魔法を盗んでしまったロクでもない人間が悪い。基本となる魔法が発展しなければ魔道具は発展しないじゃないか。
兎にも角にも、せっかくなので魔道具を作れるようになりたい。そうすれば『猫の帽子屋』でしか売っていない物が作れるかもしれない。せっかくドラゴン語も解るのだから。
魔道具を作れるように教えて貰いに行こう!
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次回:『魔道具工房』に弟子入り。




