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プロローグ
死神は、見る者に一振りの銘剣を彷彿とさせた。
何年にもわたる過酷な訓練は、小柄で細身ながら美しさすら感じる肉体を完成させた。薄く膨らんだ胸からゆるやかな曲線が描かれる腰にかけて、神々が創る彫像のごとき芸術的なラインが形づくられ、しなやかに伸びる脚は、柔らかくそれでいて鋼のような硬さをあわせ持っている。
透き通るように白い肌は、ガラス細工のごとき美しさを湛え、儚げで今にも壊れてしまいそうである。
宝玉すら霞んでしまうほどの精緻な顔立ちは、どこか幼さを感じさせるが、赤薔薇のごとき相貌は、抜き身の刃さながらの鋭利な光を放っている。長くのばした髪は、月光をたばねたかのような銀色で、上質な絹に似てさらさらであった。
お気に入りの人形を持っていてもおかしくない右腕には、その細腕に似合わない漆黒の大剣が握られていている。
死神は、そんな少女であった。
タイトルに(仮)とついているのは変更する可能性があるからです。
読者の皆様も、コメント欄からタイトルの案をだしていただけると嬉しいです。