博士の日記
【3月10日】
三丁目の安田さんが高齢出産をしたらしい。しかし腰を悪くしてベビーカーを押すのが辛いからなんとかしてほしい、と頼まれた。
【3月11日】
ベビーカーにエンジンをつけて渡した。
【3月12日】
安田さんから、助かったと感謝された。いい発明かもしれない。近所のママたちにも配ってみよう。
【3月13日】
みなさん使ってくているみたいで、街中でよく見るようになった。
【3月14日】
警察に、これはもはや車両に該当するからナンバープレートつけろって指導された。
【3月15日】
一部の人から、ベビーカーの速度に追いつくのが大変という意見をいただいた。
【3月16日】
さっき交差点で、ひとりで走っているベビーカーを見かけた。
【3月17日】
エンジンを起こす際のキックが固いというクレームを受けた。
【3月18日】
他にもクレームがたくさんきた。ハイオクはきついだの、四人乗りにしろだの、危ないから全部鉄で作ってくれだの、冷暖房やウィンカーが欲しいだの。
なんかむかつく。
【3月19日】
もう意地だ。全部要望取り入れてやる。
【3月20日】
できた完成。
なんかプリウスみたい。
【3月21日】
さらにチャイルドシートを取り付けようとしたら、妻から
『いやベビーカーにチャイルドシートって』
と言われた。
確かに本末転倒だ。
恥ずかしい。妻も冷めた目で見ている。
しかしここで気付いてよかった。明日からしっかり仕事をしよう。
【3月22日】
チャイルドシートにエンジンとタイヤ取り付けていたら、妻から離婚しようと言われた。




