第90.1話:暁の姫君 side.E
本編90話まで見てからの閲覧を推奨します。
※前話のモルガンとの年齢差を間違えていたので修正しています。
あれは、生まれ代わってから何度目の朝だったのだろう。
そんなの数えるだけ無駄だって気付いてからは数えるのを止めてしまったから、今日が何日目なのかはもう分からないけれど、ううん、日付を数えれば分かるんだけれどそれはとても無駄なことだからしないだけなのだけれど、ともかく・・・・
母と乳母と、乳兄弟とがいっぺんに死んだ。
不思議と涙は出なかった。
もっと強い怒りと悲しみを、リリーのときに経験したからだろうか?
決して悲しくないわけじゃない、決して私は非情な人間なんかじゃない、そうは思っても涙なんて出なかった。
ただそんな私のこと、5歳なのに母親と乳母と乳兄弟の死に涙一つ流さない私の事を責める人間は居なかった。
今生の父となったギリアム様も、前世の、幼い頃のリリーの初恋であったエドワード様もその奥方のフローレンス様も、私の事を薄情な子だとは言わなかった。
ただ、今生の母の面影を残す私を抱き寄せて撫ぜるだけだった。
そしてソレは私ともう一人、乳母の娘であったナディアにも言えたことでいつもならば私の事を宝物の様に大事にして、弟と同じ様に扱ってくれる、そんな優しい女の子なのだけれど、3人の死以降感情が乱高下し落ち着かず、ボクや新入りメイドのトリエラに八つ当たりしている。
すぐにハっと気付いて謝るものの、またすぐ不安定になる。
そんなナディアのことを一部のメイド達が、若の側にふさわしくないと言い始めたが、優しいギリアム様達はナディアの事をいたわり、優しく扱った。
フローレンス様付きのスードリさんが夜私の部屋に来て尋ねた。
「ユークリッド様、ナディアのことなのですが、一部のメイドから御付を外せという声が上がってしまっています、まぁそういう声を上げているのは、自分がユークリッド様の御付の納まることが出来るかもと、考えているか、本当にナディアを心配しているものかのどちらかでしょうが」
皮肉なことに本当にナディアが壊れないか心配するものと、あわよくば自分が私の御側付になろうとしているものとが、同じ反応をしてしまっていた。
スードリさんは、とても優秀な方で、普段ホーリーウッド城のほうにしか居ないのに、ディバインシャフト城のこともある程度把握している様だ。
「スードリ・・・僕は、ナディアじゃないと嫌だな。」
異性は、どんな手段でなにを仕掛けてくるか分からない、まだ体の出来上がってないうちに変な既成事実でも作られると怖い
私の言葉に、スードリは柔和な笑みを浮かべて
「わたくしも、ユークリッド様に一番ふさわしいメイドはナディアだと思っております。あの子は優秀です、私の引退後はあの子がホーリーウッド家のメイド長となると思っています。ですので、早めに立ち直らせたいのです。ユークリッド様にも御迷惑をかけることがあるかもしれませんが何卒・・・」
「言わなくていい、申し訳ないなんて思わなくってもいい、僕がナディアを大切だから、大切にするだけ。」
そういうと、スードリはおどろいた顔をしている。
「ユークリッド様はまだ5歳だというのにずいぶんと大人びたことを仰られるのですね、ですが、ありがとうございます。わたくしたち古参のメイドにとって乳母殿はかけがえのない戦友でしたから、あの子のことも姪っ子の様に可愛いのです、お心遣いいただきありがとうございます。」
そうか、私はまだ5歳ちょっとなのだった。
口調はメイド達の丁寧語がうつったということにはなっているけれど、考え方や発言の内容はもう少し気をつけたほうがいいかもしれない。
それから私はスードリが退出したあとでナディアを呼びつけた。
「ユーリ様、お呼びでしょうか?」
今夜はやや機嫌が良い様だね、落ち着いた様子のナディアはここ数日の中では一番元のナディアに近く見える。
ナディアは可愛い娘だ。
今の私の3つ上の女の子であまり見かけない真っ黒な、まるで絹織物の様にしっとりとした髪をしていて、8歳ながら顔立ちも整っていて肌も年相応以上にキレイで柔らかい。
前世のリリーなら一番メイドとして可愛がっていただろう。
王国の貴族の娘にはお気に入りのメイドを可愛がる、男には秘密の文化がある。
これはいつか自分が嫁いだ時に夫に可愛い自分を見せるために、どの様な反応や態度をとれば夫が自分を可愛いと思ってくれるかの研究を目的としている
メイドの方も1番メイドともなれば、将来そのお嬢様から嫁いだ先の従士長など良い縁談を頂けることが多いので身を委ねることが多い。
まぁリリーは「水棲」を持っていたため自身でオケアノスを継ぐ予定になっていたので、一番メイドは必要なかったのだけれど
それでもそういう文化があるので、貴族の娘は基本的に可愛らしい少女を可愛がるものなのだ。
少し気持ちがそれた。
「ナディア、ここに座ってください。」
「はい・・・」
いつにない神妙な私の物言いにナディアは緊張気味に私が示したベッドの隅に腰掛けた。
まだ5歳のしかも今は男の子の私がさすがにメイドを「可愛がる」わけにもいかないし、でもナディアの事をなんとか元気付けたい、私と一緒に居たいと思わせてやりたい。
「ナディア、お母様たちのことは残念。」
ビクンとナディアが震えたのが分かる、直接的過ぎただろうか?
(でも今伝えないといつかナディアは遠くに行ってしまう気がするから)
「・・・ナディアは一人じゃないよ、僕が側にいるから、ナディアは僕の自慢の姉なのですから絶対に僕の側を離れないでね・・・共犯者もナディアだけなんだから」
ナディアは私の趣味・・・と言っていいのか、可愛いお洋服集めの共犯者でもある
これも今はナディアを繋ぎ止める理由になるだろう。
ナディアしかいない、本当の意味でナディアしかメイドは側に置かない、そういう事を告げているのだ。
「ユーリ様はお優しいですが、少しずるい方です。その様に言われては私は一生貴方の御側を離れることが出来そうにありません。もうナディアめには近しい方がおりません、孤独な身の上になってしまいました。」
ナディアはその両目に涙を浮かべたままで寂しい言葉を言う今ユーリはナディアのことを姉だといったのに。
「ナディア、今僕はナディアを姉の様に慕ってる、ソレがダメなら僕はナディアを無理やりお嫁さんにだってしようと思うけど、僕と結婚してくれますか?」
身寄りのないナディアは私の、あるいはホーリーウッドの、むやみに外戚を増やしたくないという目論見に十分あっている。
本人さえノリ気なら多少強引に嫁に迎える手だってあるのだけれど・・・
「ナディアめはユーリ様にふさわしくありません、いつかユーリ様にはユーリ様だけの素敵な女の子が現れると思います、その子にとって置いてください。お嫁さんになんてしていただかなくたって、私はユーリ様の乳姉ですから!ユーリ様が嫌がったって、一生御側でお仕えするんです。」
私の脅しが効いたのか幾分か元気ので出た表情でナディアは笑った。
私は、打算もあったけれど、それなりに本気でナディアの事をお嫁さんに迎えようとして、告白したつもりだったのだけれど・・・
(振られちゃった・・・)
私的には同性の女の子に冗談半分本気半分で告白して、笑われることはあっても断られることなんてないくらいの気持ちだったのに、なんか胸の中にぽっかり穴が開いたみたいにショックが大きい、これってもしかすると本当に私はナディアのことが好きだったのかな?
それから、私たちはもっと小さい頃の様にたまに一緒に寝る様になった。
ソレは私からすれば仲の良い姉妹の様に、ナディアからすれば甘えてくる弟に対する、優しい姉の行動だったとおもうのだけれど、表向きには単に傷心の私のワガママでナディアを部屋に寝泊りさせている体にした。
私だって母と乳母と乳兄弟とを喪って人肌恋しい気持ちになっているのだ。
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新入りメイドのトリエラは中々私に懐いてくれなかったけれど、悪い子ではないというのがすぐにわかって、私はそれなりにこのメイドを気にかけていた。
この子はおっちょこちょいで間が悪くって、なんとなく放って置けない娘だった。
キス族とシャ族のハーフの彼女は、ナディアと同い年なのに背は10cmほども高く、にもかかわらず体重は同じくらいらしく、大いにナディアを悔しがらせた。
このメイドはその間の悪さから、何度か私とナディアの秘密の趣味(女装部屋)にニアミスしたけれど、生来のおっちょこちょいさで見逃してきてくれた。
結果的にうちのメイドの中で2番目に私と付き合いのあるメイドになったけれど私に対して少し距離を置いているのはなんなのだろうか?
もっとナディアに見せている様な自然な笑顔を見せて欲しいものだ。
それから2年ちょっと経ち7歳になって、私は毎日ホーリーウッドの基礎教育学校に通い、それなりに楽しい生活を送っていた。
この基礎学校制度はホーリーウッド特有のものであり、貴族庶民の別なく同じ教室で子どもたちがお勉強する。
内容は基礎教育の名にふさわしいものだけれど、貴族に合わせるのではなく、教室全体で進んでいくスタイルなので、徐々に落ちこぼれや、逆に先に進みすぎるものが出て、それらは進捗にあわせて翌年のクラスに進むのだけれど、最短で3年で卒業できるので、早く一人立ちしたい子にはありがたいだろう。
ホーリーウッド家の嫡孫ということもあって、私は校内でも目立つ存在だったけれど、女の子はなるべく近づけない様にした。
私の入学の前年度でナディアもトリエラも卒業しているので私は一人で通い、お昼になると2人が食事を届けてくれて、その後は馬車の中で私の帰りの時間まで待っていてくれる。
黒髪の二人連れのメイドはそれだけでも目立つ上、片方はシャ族の耳を持っているので、なおさら目立つ、二人はもうすっかり「ユーリ様のお気に入りのメイド」として有名になっていた。
私があまり他の女の子を近づけないことも、その一因ではあったけれど。
私の容姿がその辺りの女の子とくらべて大変に可愛らしい容姿なのは、私の日ごろの努力、リリィの頃にクセつけたお風呂での美肌マッサージやスキンケアの効果もある・・・、7歳が美容を気にするのもどうかと思うけれど、これが将来大きく自分の容姿を分ける事を知っているので、手を抜く選択はなかった。
その男の子離れした少女のような外見のためか、ちょっとあらぬ噂を立てられたりもしたけれど表だって否定もしなかった。
声をかけてくる女の子は少ないほうがいい、変に断ると傷つけてしまってかわいそうだし
そんな年の冬、あの出会いが、私にとって運命の出会いが迫っていた。
その日の朝エドワード様が珍しくお辛そうな顔をしていて。
私は、その弱った表情に少しどきどきしながらも、孫らしい心配するそぶりで話しかけた。
「お爺様?いかがなさいましたか?お辛そうです。」
エドワード様は、苦しそうなまま笑顔を作って。
「ハッハ幼いユーリに心配をかけてしまったかな・・・、ちょっとな・・・。」
それからエドワード様は私の頭に手を置いてなでながら言った。
「そうじゃ、ユーリ今夜はちょっとワシと共に風呂に入らんか?男同士ちょっと話をしよう。」
エドワード様とお風呂を御一緒するのは別に初めてのことではない。
祖父と孫の間柄のためよく御一緒するけれど私はそのたびにどきどきしてのぼせそうになってしまう、何しろ前世で結ばれることのなかった憧れの方なのだ。
初めてお会いしたときは、既にフローレンス様と御婚約されてるなんて知らずに付きまとってしまった上、プロポーズまがいの言葉まで発してしまった。
アレは確かハルト様の15歳の結婚のときだったからエドワード様は13歳、私は8歳の時だったかしら?モルガンが嫁いでくるちょっと前だった。
まぁそんな彼が、アレから30年ほど経った姿で裸でそこに居るのだ・・・・。
私も同姓になっているとはいえ、裸を見られるのは恥ずかしい。
かといって布で体を隠していると。
「これ、男同士何を恥ずかしがることがある?」
そういって、布を取られてしまう
「ひゃっ、お、お爺様!」
つい女の子みたいな悲鳴を上げてしまう。
「ずいぶんと可愛い悲鳴じゃの、真っ赤になって恥ずかしがってまるで姫のようじゃぞ。フム・・・なりは女子のようじゃが、なかなか立派に育っておるようじゃの・・・」
そういってエドワード様は私の、強張った体を見てそんなことを言う。
自分の大きさは普通なのかどうか分からなかったけれど、エドワード様の反応を見るにまぁまぁ大きいのだろう、男の子は大きくないと自信をもてないというが、女にとっての母性の象徴みたいなものなのだろうか?
(だとすればコレは父性の象徴?)
でも物心ついてから、前世の父にコレを見せてもらった覚えはない。
そして、今目の前のエドワード様のソレは・・・。
(ふにゃふにゃ・・・私とお風呂に入ってるのに・・・。)
ってソレはそうか、孫|(しかも同性)とお風呂に入って興奮していたらそれは人として間違っているものね。
それに、朝までアレほど落ち込んでいたエドワード様が少しは気がまぎれたご様子であるのだから、ソレは喜ばしいことだ。
「そなたに縁談をと思っておる」
(!?)
「おじいさま!?まだ早くないですか?僕はまだ7歳です。」
実際、不確かな婚約程度なら0歳どころか生まれる前から決まってる場合もあるので、別段早くはないけれど、私はまだ異性というものにあまり憧れというものを持っていなかった。
ほんの数年前まで同性だったわけだし、自分が男側で人を愛するのが怖かった。
私は、リリーは散々に、男たちに貶められ辱められて死んだ。
あれと同じ行為を愛を以って行えるのかな?
身の毛のよだつ程に邪悪な男たちの顔を今も覚えている。
生まれ変わっても何度も悪夢にうなされた。
「もちろんそなたと、その娘たちの意思を尊重する。」
意思を尊重って言ったって、うちは侯爵家だ、こちらから婚約をちらつかせれば権力に興味があれば断らないし、権力に興味がなくても断りきれない、ほとんど強制みたいになってしまう。
(だったら私が断ればいいだけか・・・)
「お爺様がおっしゃるなら、僕はその子にお会いします、でもいつもの通り申し訳ない結果になるとおもいますよ?」
縁談と言い切って女の子を紹介するのは今回が初めてだけれど、これまでも度々貴族の子女は紹介された。
そのたびに相手から見えて透ける家の意思を感じて、お断りしてきたけれど、中にはサーリア姫の様に私自身の事を好いてくれて、私のほうも好感を持てる方も居たけれど、あれは王家の思惑が浅学な私には測りかねて断らざるを得なかった。
そんな私に、今度は表立って縁談だといってきた。
(これは断るなってことなのかな?だからあんなに朝苦しい顔をしていたのかな?)
お風呂を出てからエドワード様とギリアム様とお話する。
「ユーリよ実は今までそなたには教えたことはなかったが、そなたにはイトコがおる。」
おや?先だっての家督争いで肉親はことごとく処罰されたんじゃなかったかな?
「不思議そうな顔をしているねユーリ、疑問を持つのは大切だ。」
賢い賢いと父であるギリアム様は私の頭をなでる。
「先だっての争いの中理由あって難を逃れたものがおっての、ワシの異母弟なのだが、今日未明に村が襲撃され、なくなったらしくってな」
すごく辛そうな顔をするお爺様、弟さんのこと仕方なく遠ざけたけれど大切だったらしい。
「その君のイトコに当たる娘たちとその村の生き残りが数名こちらに護送されてくる。たぶん3日後の夜かその早朝になる、ホーリーウッドの血を残す意味でも、外戚を増やさないという意味でもそのものたちのいずれかと君が婚姻するのには大きな利点がある。」
ギリアム様は頭をなでたまま私に説明する。
でもそれってギリアム様のいとこであって、私ユーリのいとこではない様な?
「それでも、先ほど申した通り、ワシらはそなたと娘たちの意思を尊重する。その娘たちも孫として扱うことにしておる、そなたとの縁談が成らなくともいつか良い縁談は組んでやる予定じゃ。」
それは、私が婚約したほうが外戚は増えないってことかな?
「お爺様は、その娘たちに会ったことがあるのですか?」
顔も分からない子と縁談だなんて。
「うむ、実際に顔を見たことはないが、エドガー・・・ワシの異母弟からは特に次女のアイラの話を良く聞いていた。多少お転婆だが、才覚に溢れ見目麗しい娘だそうだ、そなたと似ておるかの?」
うれしそうに語るお爺様は、エドガーさんの死を悼んで沈む気持ちと、その忘れ形見を引き取れるという少しの希望でようやく心の均衡を保っているんだということが分かった。
「分かりました、約束は出来ないですけれど・・・・かねてから支度されていた僕の婚約者用の部屋、あそこに家族が増える、そう思っていいんですよね?」
そういって私はエドワード様の手をそっと握って笑った。
「あぁそうだな、新しく家族が増えるのだ。」
エドワード様と触れるのは少し照れる、この方に対する恋心は今も少し胸を締め付けることがあるけれど、足を悪くされているフローレンス様を労わるその眼差しが私に向けられていたならばとうらやましくなることもあるけれど、今このときは、空いた手で賢い孫の頭を撫でる祖父の手を黙って受け入れよう。
当日、学校が終わったあと仮眠をとった。
夜遅くに到着する可能性があるからいつでも起きられる様にしておいた。
なかなか到着の報せはこないままで日付が変わろうかという頃門兵から連絡が入ったらしい。
城内が慌しくなる。
それから少しして、とうとうその時が来た。
「閣下、生存者たちが到着しました。メロウド様が今から広間に招き入れます。」
黒騎兵隊の隊員がエドワード様に告げる。
ソレからの時間は良く覚えていない。
ただ、今の私よりも小さな女の子が、家族を守ろうと、必死にお爺様達相手に会話していて、目が会ったとき、どうしてこんな小さな子が、こんなにも必死に、戦う目をしなければならないんだろう?って
すごく興味を持った。
見た目も聞いていた通り可愛らしい、アクアを思い出す赤みかかった金の目に今の私と同じ金の髪、6歳直前と聞いていたけれど身体は随分小柄で抱きしめてあげたくなるような美少女。
この子だったら愛せそうな気がする。
家の思惑も、陰謀もなく、ただ仲良くなって幸せになりたいって思えそうなんだ。
私には、いつか簒奪候の悪事を暴き、アクアを取り戻すという目標があるけれど、ソレを捨ててでも彼女を幸せにしてあげたいと、思えるほどの感動があった。
これって一目惚れなのかな?
守ってあげたい、大切にしたい、かつて弟妹に対して抱いた感情から、姉という義務感を取り除いてもっと明確にした様な感情が僕の心を支配して、それ以上を考えることは出来なかった。
翌日、当初専属に成る事を嫌がっていたトリエラがアイラちゃんの専属になりたいといってきた。
どういう心境の変化があったかは分からないけれど、トリエラはアイラちゃんに懐いた様だ。
昨夜のうちにギリアム様からの許可は取っているということなので、私もソレを許した。
それで今トリエラ一人でアイラちゃんを起こしに部屋に入ったのだけれど・・・長い・・・。
最近はすっかり落ち着いたナディアと、昨夜私が寝てからのアイラちゃんたちの様子を聞きながら待っていたけれど、20分はすぎた。
そろそろナディアにノックでもさせようかと思っていると、ガチャリとドアが開いて、トリエラと。
オレンジを基調とした明るい色彩のドレスを着た金髪の美幼女が!
キュンとしたのが分かる。
あぁこういった子が私の好みだったんだね。
恐ろしく空気をよみ、お利口な1つ年下の賢い女の子が、恐らくは羞恥に頬を染めながらおめかししている。
(かわいいぃぃぃぃ!)
私はユーリになってから今までこんなにも心が上向きに動いたことがあっただろうか?
動揺で、ちゃんと話せてるか分からないけれど、お昼に誘った。
するとアイラちゃんは、少し申し訳なさそうで、それでいて少し恥ずかしそうな表情で私の誘いをやんわり断った。
いきなりなれなれしかっただろうか?警戒・・・させてしまっただろうか?
その懸念はすぐに払拭される
「ボク寝起きなんですよ。」
と言って私の隣のナディアのほうを上目遣いで見つめるアイラちゃんに、私はあぁ・・と察しがつく、アイラちゃんは目覚めてからたぶん20分前後まだ一度も部屋の外にでていなかった。
生理現象、仕方のないことだ。
ただソレを異性である私の前で言葉にすることに抵抗を感じているのだ。
なんとも奥ゆかしく可愛らしいではないか!
となると私が気付いてしまうわけにも行かない、ナディア、察してあげて・・・。
「ところでトリエラ、例のことはアイラ様にお許しいただけたの?」
ナディアは関係のない事を語りだした。
そうじゃないんだ。アイラちゃんはおしっこに行きたいんだよ!?
そう思ったけれど
「ではユーリ様、私は少しアイラ様にトリエラの取り扱い注意をお話してから参りますので、トリエラと先に、食堂へ向かってくださいますか?」
とナディアが言って私を遠ざける言葉の述べた・・・。
さすがはナディアちゃんと分かってた!それにそうだよね、せっかく言葉を伏せても私が近くに居たら意味ないものね!
そんな出会い方をしたアイラちゃんだったけれど、その日のうちに私からプロポーズした。
この子ならば、きっと私は愛していける、そう思えたから。
守りたいと思えたから。
この金の少女を、寒い朝の空の暁の様な私の大切な女の子を・・・・。
ユーリがアイラとであった辺りまでの一部の回想です。




