終わりの始まり
「あ〜、またか」
伸びとあくびを気だるげにすると
「おい空お前は猫か。」
そう言いながら、チョークで俺を指しているないすばでーなおば・・・
お姉さんは雫先生だ。なんだろなー、こわいなー、視線が一瞬ナイフみたいに鋭くなったのはなんでかなー。また、先生が口を開く
「空、後で職員室へ来い。話がある。」
まじか・・・あの人、遠慮ないんだよなぁ。前なんて一人でプール掃除させられたし。プール掃除なんて、リア充共にさせてろー!!つーか、複数人で仕事したって、作業効率上がんねーだろ。楽しさより、作業効率を気にするあたり、社畜にむいてんなー。進路先にブラック企業って書いちゃおっかなー。俺には、そんな風に盛り上がる友達がいない。クラスの女子に話しかけられた時、声をあげてしまった。ふぇっ。って。簡単だろ?嫌われるなんて。
キーンコーンカーンコーン
チャイムが授業と回想の終わりを告げた。
俺は重い足取りで、職員室へ行く。足がもっと重くなって、歩けなくなんねーかな。ないかな?ないな。
職員室のちょうど真ん中辺りに雫先生の机がある。もちろんそこに座っているのは、雫先生だった。にしても、雫先生って黙ってたら美人なのになー。出るとこでて締まるとこは締まっているし、顔を凛々し顔立ちをしている。そんな事を思っていると、長い黒髪を振り回しこちらを向く。
「来たか。早く来い。」
少し速度を上げ、雫先生へ近づく。
先生は体をこちらへ向けると溜め息混じりに言い出した
「少し頼み事があるんだ。」
俺は、生唾を飲む。まだ、死にたくないよー。
「大丈夫だ。まだ、殺しはせん。」
ホントなんなんだよ、この人。その内殺されんのかよ、俺。
「ちょっと図書室へ行って、本の整理をしてほしい。今回は、一人ではない。頼れる生徒だから、多少は楽になるだろう。」
この人のことだ。役に立つ生徒なのだろう。俺は出口へ足を進める
「それと・・・友達は大切にするんだぞ?」
先生からの一言に俺は振り返り
「先生も、男性とのつながり・・・ブシュッ」
みんなも発言には、気をつけよう!!
「いってぇ・・・」
腹をおさえながら、図書室へ向かう。
我が校は、学級別の教室がある本棟、部活や移動授業用の教室ある別棟にわかれている。別棟は本棟よりも人気が少ない。だから、
俺みたいな奴が集まってくる。通常の人がくれば、結構カオスに見えてしまう。
廊下に魔法陣描いて怒られたり、毒薬とか言って動物に無理矢理飲ませようとするなんて、日常茶飯事だ。
今日は、そんな人達が居ない。比較的平和だ。馬のマスク被って廊下走ってる人を見なければ。
図書室についた。木で出来た古ぼけた扉に手をかける。開けた瞬間、
冷気を帯びた風が頬撫でる。いつもなら、こんな事で幸福さえ感じる。しかし、今だけは違った。
窓からはいってくる陽射しがそこにいる少女の頬を紅く染める。睫毛は影が落ちるほど長く、肌は陶器のように白い。
細く長くのびた指で、肩につかない程度の黒髪に空間を創り出す。
この世界だけ、他の世界とは離れ、静止しているようだった。
画のようなその世界は、美しく、儚かったー