候補
前話と分けたので少な目になっています。
すみません。
「最初に言っておくけど余り期待しないでね?私は聞いたことがあるだけで、実際に見たことがある訳じゃないモンスターもいるんだから」
カオルさんが話をするのに消極的な理由はそれか。
確かに話をして居ませんでしたってなったら恥ずかしいからな。
でも大丈夫だ。
俺は話すら知らないのだから。
「それで構わないから話してくれ。例えデマが混ざっていても、何かしらの役には立つかも知れないからな」
カオルさんはため息をひとつき。
何だか少し申し訳なくなるな。
配下を揃えたら、魔力付与した生産素材でも差し入れしよう。
「それじゃあ話すけど、私の知っている中でヨルの配下になりそうなモンスターは4種類居るわ」
4種類か、今は2体増やすことしか出来ないので、最悪2体は駄目でも大丈夫ということか。
まぁ、俺が配下にしたいと思えるならだけど。
「1体目はホース。名前の通り馬ね。草原エリアの後半に出るモンスターで、馬具を用意すれば乗ることが出来るわ」
馬か。
メリットとしては移動が速く、楽になるのは魅力的だな。
デメリットは俺の得物が薙刀ということか。
昔、鍛治師とは違う祖父の友人の所で馬上戦闘はやらされたけど、弓や馬上槍以外は余り実用的じゃないんだよな。
試しに薙刀を使ってみたら、祖父の友人に馬から簡単に落とされて大怪我をしそうになったし。
「2体目はナイトゴーレム。騎士の形をしたゴーレムで、石で出来た剣と盾を使って攻撃してくるらしいわ。山脈の前半で稀に出るんだけど、動きも普通のゴーレムより速くてまだ討伐したって話は聞かないわね」
ほう、騎士のゴーレムか。
どのくらいの速さかは分からないが、あの固さのゴーレムが武具まで装備して速く動けたら脅威だな。
生産には関係なさそうだが戦力の増強にはぴったりだ。
問題は今の俺で倒せるかどうかということか。
「3体目はタイガー。馬と一緒で名前の通り虎ね。湖のエリアにある森の中に出てきて、森のエリアのレッドベアーの様な存在よ。私も持ち込まれた素材を見た事があるけど、レッドベアーより強いと思うわ」
虎か。
どんな相手かは余り分からないが、レッドベアーより強いなら期待が出来るな。
虎って強そうだし。
「最後はドライアドね。植物の魔物で森の後半エリアに出てくるらしいわ。でもドライアドは完全に噂だけで、噂の出所もNPCよ。森のエリアの中ボスはまだ倒されていないしね」
植物の魔物は面白いな。
生産にも凄く使えそうな気がする。
まぁ、噂だけで確認もされていないし、出てくる場所も森の後半エリアと問題がありすぎるのだが。
「これで全部ね。参考ぐらいにはなったかしら?」
参考ぐらいとは恐ろしい。
話に出てきたモンスターにはかなり惹かれています。
「いや、参考どころかどのモンスターも配下にしたい位だ」
「あら、そう?それなら話したかいがあったわね」
カオルさんは安心したようにしているが、これで余り知らないということは詳しいプレイヤーはどれ程知っているのだろう?
本当に恐ろしいな。
もしかしてリュウももっと知っているのか?
そうだとしたら非常識な奴だ。
ん?何処かからリュウの叫び声が聞こえたような。
まぁ、リュウは新しい街にいるから気のせいだろう。
それよりどのモンスターを配下にするか決めなくてはならない。
「カオルさん、話してくれてありがとう。今度、魔力付与素材でも差し入れするから」
「それは嬉しいわね。それと配下も良いけど、防具の素材集めも忘れないでね」
ああ、防具の事も考えなければいけない。
「大丈夫。約束通り素材はしっかり揃える、それじゃあ俺は行くよ」
「もう、本当に頼むわよ?またねヨル」
俺はカオルさんの店を後にする。
でもこれから忙しいぞ。
先ずは防具の素材集めに行って、その間に配下にするモンスターを決めておこう。
もしかしたら~その頃のリュウ君~
リュウ「非常識はお前だー!」
メA「ど、どうしたリュウ。急に叫びだして」
メB「大丈夫ですかリュウさん。何かありましたか?」
リュウ「いや、悪い。何故か急にそう叫ばなければならないと思ったんだ」
メA、B「「?」」




