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Eternity World Online  作者: 桐生紅牙
町と始まり
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生産と老人

 町に帰るとまた視線を感じる。

 現実でも人が多い場所では視線を感じることが多いが、ここまで注目されるのは初めてだ。

 いい加減、鬱陶しくなってきたがどうしたものか。

 いっその事、誰かに理由を聞いてみるのもいいかもしれない。

 その時ついでに人があまりいない、落ち着いて生産ができる場所がないか聞いてみるか。

 周囲に視線を向けると、一人の戦士風の女性プレイヤーと目が合ったので近づいていく。

 俺が近づいていくと何やら慌てだしたが、気にせずに近づいて声をかける。


「少し聞きたいことがあるんですが、大丈夫ですか?」


「はっはい!大丈夫です!」


 少しどもり気味だが、急に知らない男に声をかけられたら当然かもしれない。

 目があったから声をかけたが、男性プレイヤーにしておけばよかったかもしれない。

 それでも声をかけてしまったし、相手も大丈夫ということなので聞きたいことを聞く事にした。


「周囲からよく視線を感じるのですが、俺はどこか変わっていますか?」


「えっとですね、たぶんあなたの種族が正確にわからないからだと思います。私も角があるので鬼かと思ったんですけど、鬼は角が一本しかないはずなので、変だなって思いながら見てました」


「そうか、角が普通の鬼とは違うのか。ありがとうございます。それと町の中で人が少ない場所を知りませんか?」


「人が少ない場所ですか?それなら北門のほうに行けば空き地がたくさんあります。そこはプレイヤーに売りに出されているんですが、ゲームが始まったばかりで、まで買っている人もいなくて人はいないと思いますよ。あとよければ種族を教えてもらえませんか?」


「分かりました、北門ですね。それと俺の種族は妖鬼です」


「妖鬼ですか、初めて聞く種族です。ユニーク種族ですか?」


「たぶんそうだと思います。それでは、質問に答えて下さりありがとうございました。北門に行ってみます」


「いえ、どういたしまして。こちらも種族を教えてくれてありがとうございます」


 女性と別れて、言われたと売りに北門へ向かう。

 しかし角の数か、隠すことは難しいし、さっきの女性にも話の過程で教えてしまったので、これからはなるべく視線を気にしないようにしよう。

 それに面倒事にならないように祈っておこう。

 俺は北門のほうへ向かいながらそんなことを考えていた。


 北門へ向かうにつれて、だんだんと建物が少なくなっていく。

 おそらく空き地になっている場所が、女性の言っていた売りに出されている場所だろう。

 しばらく歩くと池のある小さな公園があり、NPCの老人しかいなかったので池のほとりの芝生に、ここまで来る途中で買っておいた毛布を敷いて座り込む。

 とりあえず【調合】で一番簡単そうな、ポーションを作ることにする。

 しかしここで気づいたが、ポーションを作るには水が必要になるのではないか。

 どこに行けば水が手に入るかわからなかったので、公園にいた老人に聞いてみることにした。


「すいません、このあたりで飲料水を手に入れられる場所はありませんか?」


「水かの?それなら近くに井戸があるが、どうして水が必要なんじゃ?」

  

「調合をしようと思ったのですが、水を用意し忘れてしまいまして」


「ほう、調合か。それならついでにわしの薬も作ってはくれんか。最近、調子が悪くての」


「薬を作るのはかまいませんが、俺は始めたばかりで、あなたの必要な薬が作れるか分かりませんが」


「大丈夫じゃ、ポーションでいいのじゃから」


「ポーションでいいのですか?それならお店で売っていると思うのですが」


「最近ポーションが品不足で、値段が上がっているのじゃ。だから作ってくれるのならありがたいのじゃが」


「そういうことですか、わかりました。ポーションを作らせてもらいますね」


「ありがたいの、できればしばらくの間作ってもらいたいのだが」


「いいですよ。俺も作って腕を上げることが目的ですから」


 老人との話が終わり、俺は井戸に向かう。

 本当はポーションを売ろうと思っていたが、プレイヤーが来たせいで品不足になっていることは明らかなので、俺は老人にポーションを渡すことにした。

 金に関してはモンスターを倒せば手に入るし、今日の戦闘の感じではよっぽどの強敵でなければ問題ない。

 腕を上げるために数を作るつもりなので、頑張れば売る分もできるだろう。

 数日かかっても、ほかのスキルのレベル上げをすればいい。

 考えもまとまり、井戸から水をくんできたのでポーション作りを再開する。


 ポーションの作り方は単純である。

 薬草をすりつぶし、水と混ぜてから清潔な布でろ過して、ビンに詰めれば完成だ。

 ついでにいうと、布やビンはそれ専用の道具としてかなり格安で調合道具と共に売っていた。

 そうしてできた物はこれだ


 最下級ポーション・Hpを10%回復する。


 この作り方でできるのは、最下級ポーションで効果も低い。

 店で売られているのは下級ポーションなので、老人に渡すために最低でも下級ポーションでなければならないだろう。

 少し作り方を変えてみる。

 まずは薬草に【調合】の≪乾燥≫をかける。これはスキルにある技能でスキルのレベルを上げることで、できることも増えていく。

 戦闘スキルにも武技と呼ばれるものがあり、様々な効果を発揮する。

 【棒】にも武技はあったが、武技を出した後は硬直したり、俺なら素でできることで、特殊効果もなかったので、森で相手をしたゴブリンや熊、レッドベアー相手には使わなかった。

 話がそれたが、薬草を乾燥させたら粉末になるまですり潰す。

 Str,Dexが高いので綺麗に粉末にすることが出来た。

 ここからはさっきと同じで水に混ぜて、ろ過をする。

 そうしてできたのは、店売りと同じだけの効果のある下級ポーションだ。

 

 下級ポーション・Hpを20%回復する。


 これで老人に渡しても大丈夫な品質にはなったが、売り物にしようと考えるなら、もっと品質や効果を高くしなければ売れないと思う。

 もっと作り方を試して工夫しなければ。


 そうしてポーション作りを工夫しているうちに、俺の初めてのゲーム一日目は終了した。


明らかにフラグ

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