種族
周りからたくさんの声が聞こえてくる。
「誰かパーティー組みませんか!できれば魔法職の方」
「やっと始まったー!」
「うお!頭にケモ耳が!」
「エルフかー、流石にユニークは無理だったか」
目を開けてみると広場で、周りにはたくさんのプレイヤーがいる。
周りから聞こえた声からすると、俺以外にもランダムで種族を選んだものがそれなりの数いるようだ。
俺もステータスを開いて確認してみる。
ステータス
ヨル 妖鬼
セットスキル(10)
【百鬼夜行Lv1】
うん、なんかキャラメイクで見たことない種族になってる。
鬼ならあったのだが妖鬼はなかったし、設定していないスキルがある。
とりあえず種族とスキルの説明を読んでみる。
妖鬼・鬼の中でも特別な個体。今はまだ弱いが、いずれ百鬼を従える主になる可能性がある。ユニーク種族。
【百鬼夜行】・モンスターを配下にする。配下にしたモンスターのスキルを一体につき一つ、自身のスキルスロットに関係なく付与する。配下にしたモンスターを召喚できる。配下の数はスキルレベルに依存し、同時に召喚できる数は三体まで。
どうやらユニーク種族を引いたようで、スキルも種族特有の物のようだ。
決められなくてランダムにしたが、大当たりだ。
妖鬼のステータスはStr,Vit,Int,Min,Agi,Dexと全てが高い基準にあった。
そうして自身のステータスを確認していると周りからたくさんの視線を感じる。
何か変なところがあるのかと、広場にある噴水で自分の容姿を確認してみる。
そこには白髪紅眼で額から二本の角をはやした俺がいた。
幼馴染から言われていたように、俺のもとからの容姿と髪と目の色はよく合っていたが、角が生えたことで少し迫力が加わっている。
角があると目立つのかと思ったとき、どこかから幼馴染のため息が聞こえた気がするが、あいつはβテストの時に組んでいたパーティーで攻略して行くと言っていたので、すでに何かしらしていて忙しいはずなので、ここにいるはずがない。
気のせいだということにして、これからどうするかを考える。
ゲームを始める前は、幼馴染から内容を聞いて、適当に戦闘職にでもなればいいかと思っていたが、PVを見ていて俺は種族によっては生産職になるのもいいかと思った。
モンスター相手に戦闘するのも面白そうだが、普段できないような物を作るというほうに興味がわいたのだ。
幸い種族に恵まれ、生産をするのに問題もなく、素材を自分で採ってくることもできそうなので、ちょうどいい。
俺は生産職になることを決めた。
そうと決まれば、まずスキルを決めなければならない。
現在のスキルスロットの空きは九つある。
【百鬼夜行】のスキルがあればそのうち戦闘スキルに困る事は無さそうなので、興味のある生産スキルを多くとり最低限の戦闘スキルをとることにした。
スロットの枠が足りなければ、モンスターを狩ってスキル石を集めればいい。
そんなわけで俺のスキル構成はこうなった。
【百鬼夜行Lv1】【棒Lv1】【土魔法Lv1】【気配察知Lv1】【調合Lv1】【錬金Lv1】【木工Lv1】【石工Lv1】【裁縫Lv1】【鍛冶Lv1】
生産スキルをとりすぎかとも思ったが、どれも面白そうだったので仕方がない。
戦闘スキルは攻防どちらでも役に立ち、俺が普段から使う薙刀に近い【棒】にして、何かと役に立ちそうな【土魔法】、不意打ち対策で【気配察知】を取っておいた。
【棒】はいずれ、今回は取らなかったが【刀】と統合して【薙刀】にならないかと期待している。
薙刀は現在、女性の行うものとして有名だが、昔はよく使われていた。
戦国時代に鉄砲が登場したり、振り回す使い方から密集陣形に向かないとされて槍に取って代わられ、実戦から遠ざかっていったのだ。
だが俺の家では古武道として教えており、刀や槍、似たもので長巻なども教わったが俺には薙刀が一番しっくりきていた。
スキルを選び終わり、周りの視線も気になったので素材を集めるために、俺は町の外に出ることにした。
とりあえずは、【薙刀】と自分の店を持つことを目標にしよう。
攻略は幼馴染に任せればいいので、俺は偶にはまったり生産プレイで。