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魔法とアーツ

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 協力して欲しい、そう言い終えるとサクセス王は口を閉ざしました。

代わりに口を開いたのはチョビ髭の恰幅のいい男性です。


「異界からの客人はお疲れだ。謁見はこれにて終りとする」

サクセス神聖国としては王の都合ではなく私達に配慮して形で謁見を終わらせたいんでしょう。

マナ酔いが辛いのか誰からも反論は出ませんでした。

でも助かりました、この為にマナ酔いを直ぐに回復しなかったんですから。

あそこで反論なんてしたら、それこそサクセス神聖国の思うつぼです。

無礼者や危険人物に仕立てあげて拘束系のマジックアイテムを着けられるんですから。

 再び控えの間に戻って来ても誰も口を開いていません。


「この後、詳しいお話をする予定でしたが皆様お疲れの様なので1時間程休憩と致します。お部屋に戻るご希望がある方はお申し付け下さい」

やはりと言うか手が次々とあがっていきます。


(久郎、かこちゃんにここに残る様に伝えてくれ…言っとくが1時間そこらじゃ具合は良くならないぞ)

つまりこちらに譲歩させる事で有利な条件にさせたいんでしょう。

マナ酔いを治すには体の一部に触れて魔力の流れを正常にする必要があります。


「すいません、私の友人は歩くのも辛い様なのでここで休ませてもらっても良いでしょうか?」


「分かりました、こちらに残るのは4名ですね。何かあったらこのベルを鳴らして下さい」

4名?残るのは私と久郎とかこちゃん…紅葉がすがる様な目で私を見てるのは気のせいでしょうか?


 富楽先生達や木谷君達が気だるそうに部屋を出て行きました。

どうやら紅葉も残る様です。


「マナよ、偽りの壁となりて部屋を包め…フェイクウォール」

異界の客人が魔力の調整が出来るなんてバレたら不味いですからね。


「さてと、久郎ちょっとデコを貸せ」

久郎の額に手をあてて魔力を調整していきます。


「ショウガ、痛てよ…もう少し優しく出来ねのか?あれっ、痛くねえ?」


「手だと調整が難しいんだよ。俺とデコをくっつけたかったか?」

マナの調整はお互いの額をくっつけて行うのが一番楽なんですよ。


「嫌だよキメエ…かこも手で良いな?」

久郎の脳内あだ名をシスコンぐまから焼きもちぐまに変えてあげましょう。

かこちゃんの額に手を当てて魔力の調整を終えると


「せい君、お願いします」

紅葉が私に向かっておでこを付きだしてきました。

…これはおでこ同士をくっつけろと言いたいんでしょうか?

いえ、外したら赤っ恥どころかセクハラおじさんになってしまいます。


「それでは額に手を当てますよ」


「せい君、痛いのは嫌です」

…紅葉なんで目をつぶるんですか?

く、久郎とかこちゃんの視線が痛いです。


「大丈夫ですよ。痛いのは一瞬ですから」

私は紅葉の額に手を当てました。

チキンと言うなかれ振られ慣れた男は臆病なんですよ。


「ショウガ、なんで王様は俺達の返事を聞かなかったんだ?」


「王様に直答するにはそれ相応の身分がいるんだよ。エレメンでは絶対王政が敷かれてる国が結構あるから気を付けろよ」

昔ならみんな平等で自由じゃなきゃおかしいとか言ったんでしょうけどね。


「ショウちゃん、誰も王様に逆らえないの?酷い目にあったりしないの?」


「王様は権力の象徴だから民と直接関わる事は殆どないんだよ。気を付けるのはむしろ貴族や騎士だな」

私が会った王様は浮世離れした人が多かったんですよね。


「セイ君、さっきのフェイクウォールって魔法なんですか?」

紅葉は何時の間にか私の隣に移動していました。


「そうですよ、今、この部屋を探知系の魔法で探っても偽の情報しか得られません」


「さっきのマナよってのが呪文なのか?良かったら魔法について教えてもらえるか」


「マナは目には見えないけどエレメンのどこにでもある物質なんだよ。マナを取り込めば魔力になる。そして自分の魔力とマナを反応させるのが魔法なんだ。魔法で一番大事なのはどんな効果を起こしたいかってうイメージだ」


「せい君、それなら呪文は必要ないんですか?」

紅葉が私の服の袖をツンツンと引っ張っています、これは話を聞いて欲しい時の紅葉の癖です。


「呪文は自分のイメージを正確に具現化するのに必要なんですよ。先の呪文でいえば偽りの壁が効果を指定して部屋を包めが範囲を指定しています。先ずはマナに探知阻害の効果を持たせて、それでは部屋全体を包み込んだんですよ。無詠唱でも出来ますけど、どうしても魔力の振り分けが荒くなるんですよ」


「魔力の振り分けですか?」

紅葉が私の袖も掴みながら上目遣いで見てきます。

可愛い過ぎて、これに逆らえないんですよ。


「例えば有名な魔法にファイヤーボールがあります。ファイヤーボールの代表的な呪文は゛マナよ、火の球となりて我が敵を撃て゛です。火の所に魔力を多く振り分ければより温度が高い火になりますし、球に魔力を多く振り分ければ大きな火の球が出来るんですよ。だからといって無闇やたらに魔力を込めていたら直ぐに魔力がなくなっちゃうんですよ。さらに火を炎に変えればもっと多くの魔力を込めやすくなります」

これを聞いたからと言って直ぐにファイヤーボールが使える訳じゃありません、魔力にイメージを込めてマナと反応させるのが慣れるまでは結構難しいんですよね。


「それじゃ魔法使い以外はマナは関係ないのか?」


「いや、戦士や騎士は戦いの時に魔力を体に巡回させる事で攻撃力や防御力をあげているし、アーツにも魔力を使うんだよ。こればっかりは自分で経験しないと分からないさ」

…出来たらこの3人には高位のアーツに目覚めないで欲しいですよね。


________________


 結局、日本から来た10人が全員集まったのは王様の謁見から3時間してからでした。

ちなみに私達は3時間待った側で他の人達は待せた側です。

当然、サクセス側も私達には強気には出にくいでしょう。

私達が案内された部屋には貴族、騎士、魔術師、神官、兵士、様々な人達が集まっていました。

異世界から喚ばれた人間は貴重なアーツを授かりやすい、だから彼等は自分の所属する集団に異世界人を取り込みたいんでしょう。


「これから皆さんのアーツと適正ジョブを調べます。1人づつ、この水晶に手をかざして下さい」

宣言をしたのは異世界召還を行ったカミカさん。

ちなみに私のアーツはフェイクローブを使っているのでバレる事はありません。


結果、

佐藤久郎:アーツ、ハンマーアドバンスト、スミスB・適正ジョブ、鍛冶屋


佐藤夏子:アーツ、止血の光、キュアC・適正ジョブ、シスター


満中紅葉:アーツ、足場確保、バトルA・適正ジョブ、ライトウォーリア


木谷流夏 :アーツ、ホーリーソード、バトルSS・適正ジョブ、テンプルナイト


瀬羽季子:アーツ、通じる心、トークS・適正ジョブ、ティマー


三米明:アーツ、スケイプゴートディフェンス、ナイトA・適正ジョブ、ナイト


富楽竜:アーツ氷竜斬、バトルSSS・適正ジョブ、パラディン


寺柳敦子:アーツ、ソードダンス、バトルS・適正ジョブ、ライトウォーリア


館老瑠璃:アーツ、精霊召還、サモンSS・適正ジョブ、召還師


とりあえず久郎達のアーツは一安心ですが、不味いアーツが結構ありますね。


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