魔法使い再び
短いって感想がきたので頑張りました
清木英雄、私達のパーティのリーダーでジョブは勇者。
でも、今考えると勇者って職業じゃないですよね。
もし、キヨキ神皇国の王が彼だとしたら一言言たいです。
英ちゃん、国に自分の名字をつけるってどんだけ自己顕示欲が強いんですか?
しかも神皇って何です、彼は僕を崇めなさいとでも言いたいんでしょうか?
これも彼のアーツの力なんでしょうけど。
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カミカさんが言うにはエレメンに渡る時間は30分後、今カミカさんは円の中央に立ち杖を夜空に掲げています。
「30分って偉く半端な時間だな。それであれは何をしてるんだ?」
「あれはエレメンと確実に繋がったか確認してるんだよ。この後は魔法陣に魔力を流して起動させる。それから対象者を円の中には入れて魔力で保護、最後に詠唱をしてようやく転移するんだよ。しかも、これだけの人数を転移させるとなると詠唱も長いから30分は短いぐらいだよ」
私でも無理して5分、でも確実性を考えると1時間は欲しいですね。
「ショウちゃん、紅葉の契約書は直さないの?」
久郎の腕にしがみついてるかこちゃんが話し掛けてきました。
「満中さんが望めば直すけどエレメンに行った事があるのを周りに知られたくないんだ」
何しろ私は勇者パーティの魔法使い、サクセスでは疑われて当たり前の存在なんですから。
「それじゃ紅葉を呼んでくるね。おーい紅葉、ショウちゃんが話があるって」
かこちゃん勘弁して下さい。
元カレが話あるって復縁を願ってるみたいに思われますよ。
紅葉はかこちゃんの呼び掛けに気付くと小走りで近付いて来ます。
(せい君、これが私の契約書です。せい君エレメンに行ってお仕事は大丈夫なんですか?)
かこちゃんに私が昔エレメンに行った事は秘密にして欲しいって言われた為か紅葉は小声で話し掛けてきました。
(有給をもらいましたから大丈夫です。ちょっと契約書を貸して下さい)
(有給?せい君、有給は1ヶ月前じゃなきゃ駄目だって言いましたよね?)
紅葉は頬を膨らませて私は納得出来ませんと言いたげです。
確かに何回か有給は簡単に取れないからって言いましたけど。
(今回は特例です。直しますよ…これで大丈夫です)
幸いにカミカさんは集中をしてるから魔力を発動しても分からない筈。
(せい君って都合が悪くなると特例とかたまたまって逃げますよね。それとなんで他人行儀な話し方をするんですか?)
私が砕けた口調を使う相手は久郎みたいに昔からの友人か、よほど親しい人だけです。
でも元カノに砕けた口調は使うのは危険ですよね。
(それは周りの目がありますし。満中さんお友達がこっちを見てますよ)
潮騒高校の人からしたら校内有数の美少女が知らないおじさんと親しげに話してるから怪しんでいます。
(も・み・じ)
紅葉はそう言うとツンと横を向いてしまいました。
体からは、意地でもここから動きませんってオーラが出ています。
(紅葉、そろそろ円の中には動くみたいですよ)
(はいっ、せい君も一緒に行きましょ)
そう言って紅葉は先に歩きだしました。
エレメンで紅葉とパーティを組むのは勘弁です。
気まずいし新たな出会いが制限されちゃいます。
…でも紅葉の嬉しそうな笑顔を見るとまだ胸が暖かくなるんですよね。
円の中には3組のパーティが出来ていました。
私と久郎とかこちゃんと紅葉の4人。
そして富楽先生、寺柳さん、館老さんの3人。
木谷君、瀬羽さん三米さんの3人。
ちなみに久郎にはかこちゃんが富楽先生には時由さん館老さんのお2人が。
木谷君には瀬羽さんが寄り添っています。
私と三米君はお残り状態。
エレメンに行ったら彼には目を掛けてあげましょう。
「それでは転移を始めます。星の光よ、渦となりて我らをエレメンに導きたまえ!!開けっ、スターライトゲイト」
あの時と同じ真っ白な光が私を包んでいきます。
「せい君、怖いよ」
紅葉がそう言って私に抱きついてきました。
流石に突き放すのは可哀想ですよね。
(…今回は何人が生き残るんでしょうね)
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気が付くと私達は石畳の上にいました。
正確には私以外は転移の影響で気を失っていますけど。
深く深く深呼吸をしてマナを体に取り込んでいきます、体の中に力が溢れてくるのが分かりました。
流石に魔力は全回復はしませんでしたが、これで最低限の魔法は使えます。
(まずは…マナよ、偽りの衣なりて我が力を隠せ、フェイクローブ)
私の魔力量がバレたら大騒ぎになりますから隠蔽工作を行いました。
そして私の胸の中で穏やかな顔を見せている紅葉と一緒に床に臥します。
ちゃんと距離は置きましたよ。
少しすると扉が開く音と成功を喜ぶ歓声が聞こえてきました。
そして鎧を着た兵士がタンカに乗せて1人づつ運んでいきます。
(久郎の担当は重いから外れですよね。女性は女性兵士が担当してるのは最低限の気遣いはしてくれるみたいですから安心です)
私を担当した兵士が時空リュックを取ろうとしましたが直ぐに諦めました。
時空リュックには防犯用の為に私以外の人は持てないようにしてあるんですよ。
目をつぶりながら、それぞれのマナを探ると全員違う部屋に運ばれて行ったみたいでした。
そして私が運ばれたのは装飾や作りから見ると客室でしょう。
(丁重にもてなして異世界人を確実に引き込みたいんでしょう。いくら契約書があるとは言え異世界人はどんなアーツを持ってるから分からない不思議じゃありませんけどね)
英ちゃんの国と対立しているんなら当たり前ですね。
ベッド等の家具には細かい装飾が施されており布団はシルクを使っている所を見るとサクセスの国庫は極度に切迫はしていないでしょう。
色々と見ていると木で作られた扉がゆっくりと開きました。
「もうお目覚めになりましたか?私の名前はデュライと申します。このお城で執事をしています。ご用があったら何でもお申しつけ下さい」
執事服の下にチェーンアーマーを着こんだ執事ですか。
メイドさんにチェンジ出来ませんかね?
この小説のイラストをイラストレータの方に依頼しています。
下忍のイラストを書いてくれた安どぅポさんです、今日ラフを見ましたが紅葉とかこちゃんが可愛いです。