エルフという種族
私は今エルフの国ラシーヌに向かう為、レッドファングの手綱を操っています。
そんな私の腰には太いロープが結ばれています…ちなみに、手綱を握っているのは、私への信頼度が急降下中の紅葉さん。
しかもこのロープは、ただのロープじゃありません。犯罪を犯した魔法使いを拘束する時に用いられるマジックアイテム。
きっと、提供先はネサンス国立魔法研究所の所長だと思います。
「せい君、エルフって、どんな種族なの?」
両手に、ロープをしっかりと握った紅葉が尋ねてきました。ホームタウンである異世界に来てる筈なのに、イニシアチブが紅葉に移行しまくってる気がします。
「うーん、長命で魔力が強いになるかな。そして長生きをするから、道を極める人が多いんだよ…ナトゥーラ様みたいに」
ちなみにナトゥーラ様が極めたのは、政治手腕だと思います。今回のラシーヌに行きにも見事としか言い様のない政治手腕か発揮されていました。
「物語だと美人が多かったり、争いを好まなかったり排他的な性格だったりするよね?」
確かにエルフは、容姿が整っていて他種族との交流を好まないと思われています。
「美人やイケメンは文化や個人の好みで違うから、エルフに美人が多いとは一概には言えないよ。性格もナトゥーラ様みたいにドSでアグレッシブなエルフもいるし」
筋肉質な男性がモテる国もありますし、ふくよかな女性が好まれる国もあります…額の広さでイケメン度を決める国はないんでしょうか?
「でも、エルフの人達って、あまり種族の人と交流しないんだよね?私達が行っても大丈夫かな?」
「交流しないってより、どうしても寿命に違いが出来るから他の種族と深く交流を避けてるって話だよ。嫌でも残されるのはエルフの方なんだし。だから、ラシーヌから出てくるエルフの人は少ないんだよ」
ラシーヌにいれば自分が邁進する道の先達やライバルがいますから、わざわざ国外に出る必要がないんでしょう。
そしてナトゥーラ様も、旦那様や多くの友人を見送っています…そして私もナトゥーラ様より先に旅立つでしょう。
「そっか、仲良くなっても辛い別れが待ってるんだ…私達の話を聞いてもらえるかな?」
「聞くさ。かつての英雄二人がラシーヌ王の妹に当たるナトゥーラ様からの書状を携えてくるんだし…それも含めてナトゥーラ様の計算なんだけどね」
ナトゥーラ様にとってネサンスは、亡き家族との思い出が詰まった宝物。
「計算?」
「エルフは魔力が高いから幻惑や変装の魔法が効きにくい。つまり、ネサンスが協力するって事は、私や織やんが本物だって証明になるんだ。そしてエルフが加わる事で対ロンギング用のマジックアイテムへの信頼度が格段に上がる。そして、同盟に参加する国には原価に近い金額でマジックアイテムを売ると思うよ」
つまり、参加しない国や部族はネサンス同盟とキヨキ聖皇国との板挟みになってしまう。
「せい君、待って。織部さんがこっちにいるって知ったらキヨキ聖皇は怒るんじゃないの!?そうしたら、せい君が真っ先に疑われるんだよ」
確かに、私が疑われでしょう…私が犯人ですし。
「怒るかもね。でも、キヨキ聖皇国は何も言えないよ。何しろ織やんを使ったマジックアイテムはキヨキ聖皇国の大切な駒なんだよ。それが、稼働出来ないなんて言えないさ」
「でも、ネサンスに宣戦布告をするんじゃないの?」
紅葉が私に抱きついてきました。幸いな事に織やんは馬車の中にいますから、怒られる心配はありません。
「それこそナトゥーラ様の思う壷さ。キヨキ聖皇国は騎士王国ブランゾンと戦争中だし、間には神聖ミーゼル共和国とサクセスがあるから直ぐには攻めて来れない。ナトゥーラ様はキヨキ聖皇国と他の国が争っている間に、ネサンスに有利な場所を確保するつもりなんだよ」
私ならネサンスとの国境付近に滞陣します。
そこに辿り着くにはブランゾンやネサンスと戦わなくてはいけませんし、いくらロンギングに感染者しいてもジャンティー・ミゼルが降臨した教会に攻め込むのは抵抗があるでしょう。
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ラシーヌに向かう旅の初日の夜がやって来ました。恐らく、織やんは家族と過ごして冨楽先生は生徒と過ごしでしょう。
つまり、紅葉とイチャイチャするチャンスなんです!!
しかし、現実は甘くありませんでした…
「正牙さん、今後の事について相談したいんだけど」
私の部屋に織やんがやって来たんです。
「今後?昔みたいに二人で頑張ろうじゃ駄目?」
「私も頑張りますが、今聞きたいのは竜と竜の生徒の事です」
織やんの話だと、生徒の保護者である冨楽先生は戦争を前にして焦っているとの事。
「無理に戦わせなくても良いんじゃないか?生き物の命を奪うのはトラウマになるんだし。私としても紅葉の手を血で汚したくはないですんよ」
彼氏の身勝手なのは分かってますが、紅葉の白い手を血で汚したくはないんです。
「竜は先生なんですよ。生徒を無事に親御さんの元に帰したいんです。色んな意味で汚さずにね…その為には、力がいるんです。私は竜に後悔をさせたくない」
「まあ、今回の旅は冨楽先生達の修行も兼ねてますからね。戦争に参加しなくても高ランクのアーツ保持者は牽制になりますし」
一応、紅葉と冨楽先生パーティーに関する腹案はあります。
「それなら装備一式を出してもらえますか?確か、正牙さんは永久凍土の剣とブリザードタイガーの手袋を持ってましたよね」
永久凍土の剣、永久凍土から発掘された貴重な魔石を使って作られた氷属性の剣。
ジャスティスファング、魔石加工コレクションの一つ。
ブリザードタイガーの手袋、ブリザードタイガーの毛皮を惜しみ無く使った防寒性の強い手袋。
ジャスティスファング、モンスター加工コレクションの一つ。
どちらも滅多に手に入らない貴重品なんですよ。
ポケ○ンで言えばホウオウレベル。
家庭持ちパパにはコレクター魂を理解して貰えないでしょうね。
作者はポケモン未プレイですので、ホウオウが貴重でなかったら教えて下さい




