正牙のロンギング対策
お陰様でザコ≧勇者と共にMF文庫一次通過しました。
ありがとうございます
今回こそは二次を越したいです
アイディアは出ました、出ましたが…私の役割はまだまだ終わりません。
「おい、ショウガ。アイディアが浮かんだ割りには手が動いてねぞ。ピンと来たら良いんじゃねえのか?」
「アイディアが浮かんだからって、直ぐに魔法やマジックアイテムを作れる訳ないだろ?それとピンと来たらは、心臓に悪いからやめてくれ」
紅葉と初デートした日、お巡りさんから電話が掛かって来たらどうしようとビビっていたのは私です。
「そうなのか?ゲームとか漫画だと戦いの最中に、新しい魔法が浮かんで大逆転してんぞ」
「新しい魔法を作るのは、商品開発と一緒なんだぞ。アイディアが出来てもクリアしなきゃいけない問題が山積みなんだよ。先ずは設計図を作って、使う素材を決める。それを元に試作品を作って、効果をテスト。更に修正やら改良を加えていく。今回の場合は、更に大量生産の道筋をつけなきゃ駄目だしな」
そして途中で、躓いて最初に戻るの繰り返し。
「素材から決めてくのか。随分と面倒なんだな」
「特に今回の場合は大量生産をしなきゃいけないから、作り易さとコストを意識しなきゃ駄目だしな」
ちなみに開発課の人に完熟マンゴー牛乳を提案して、怒られたのは私です。
醒めた目で、値段や廃棄品のリスクを考えてから言えって言われました。
「分かった、俺に手伝える事があったら言ってくれ。物作りなら手も口も出してやる」
「頼むよ…久郎、かこちゃんの事はどうするつもりだ?もう後には退けないぞ」
久郎達の場合、義理の兄妹ですから結婚は可能です。
でも、世間の風当たりは強いでしょう。
何しろ、歳の差が…今、私にブーメランが飛んできました。
「自分の言葉に責任は持つさ。でも、かこが卒業するまでは、今までの通り義兄妹を続けるつもりだよ。工務店は地域との信頼を大切にするから迷惑を掛ける事になったら県外に働き口を探すよ」
「まっ、私に協力出来る事があったら言ってくれ。金以外は協力する」
久郎達を祝福したくなるマジックアイテムを作っても良いですし。
「とりあえず友人代表の挨拶は頼むよ。お前が俺達の事を一番知ってるしな」
私の時は…かこちゃんの事を考えると挨拶はなしですね。
紅葉は違う誰かに幸せにしてらもらいます。
私が日本に帰れる保証もないですし。
――――――――――――――――
行き詰まりました…冒険の途中でたまたま手に入れた物が、偶然にも必要な素材だった。
そんな主人公補整なんて私にはありません。
私が今作ろうとしているのは、マジックアイテム。
これが出来ればロンギングを無効に出来る筈…。
目標は低コストで大量生産出来る事。
(一人で悩んでいても仕方ない…ここはナトゥーラ様に相談をしてみるか)
「あら、セイガさん。貴方が意見を聞きに来るなんて珍しいですわね」
「仕事で揉まれましたから。一人の限界は知ってます」
昔は、僕は何でも出来る魔法使いと自惚れていました。
でも、一人出来る事って殆んどないんですよね。
「まずはアイディアを聞かせて下さい」
「キヨキ聖皇のロンギングはウィルスに似た物質を作り出すアーツです。これを駆逐しようと思えば脳に負担が掛かります。ですから発想を変えました。私はロンギングウィルスを触媒に使おうと思うんです。ロンギングウィルスに魔法を掛けて、違う物質を作らせるんです」
普通のウィルスに魔法は効きませんが、ロンギングウィルスはキヨキ聖皇がマナを取り込む事によって生み出すいわばマジックウィルス。
魔法の影響を受けやすいウィルスなんです。
「ロンギングウィルスに不快物質を作らせるんですか?」
「いえ、それでは脳に負担が掛かり過ぎます…効果が反対の物質を作らせるのは困難ですしね。だから無害な物質を作らせるんです。これだとロンギングを実質無効化出来ます」
つまりキヨキ聖皇が好き勝手やっている事を醒めた目で見てもらうんです。
理想像に祭り上げられたヒーロー程、地に落ちた反動は大きいですんよね。
「そう来ましたか…セイガさん、魔石に術式を刻み込んで下さい。それを真似て大量生産します。その後、鍛冶職や建築関係者、馬車工房等各方面に配布し組み込ませます。セイガさん、大変でしょうが、フガク・オリベの救出作戦も進めて下さい」
英ちゃん、反動って怖いんですよ。
積もりに積もったフラストレーションが爆発したらどうなるか覚悟して下さい。
―――――――――――――――――
そこからは地獄でした…術式を複雑にしてしまった所為で、魔石に刻めるのが私を含めて二十人程度。
更に術式が無事に起動できるか確認を出来るのは五人くらい…。
久しぶりに眠気解消魔法が大活躍しました。
暖かいお布団が恋しいです。
ビールを飲んでゴロンと横になりたいです。
紅葉の膝枕でウトウトしたいです。
「セイガさん、手を動かしなさい。目標個数まで後少し、皆さん乗りきりますよ」
ナトゥーラ様、自ら陣頭指揮をとられているんでサボれません。
やはり、ブラック研究所でした。
―――――――――――――――
試作品一号はシェルムに使ってもらう事にしました。
ちなみに魔石はバングルに嵌め込んでいます。
「シェルム、魔石に魔力を流して下さい」
「ああ、分かった…これで、これでソウシの敵をとれる。やっと前に進める」
そう言ってボロボロと涙を溢すシェルム。
そりゃそうでしょう。
シェルムは脳内に浮かんでくるキヨキ聖皇を消し去る為に、体を苛める様に鍛練をしていたんですから。
健康的な体が痩せ細る位にハードなトレーニングをしていたそうです。




