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パーティーと招待状

ようやく書けました

 あれほど憧れていた筈のシチュエーションなのに、いざ大人になって経験すると結構きついです。

 私は今、ネサンス城でパーティーに参加しています。

 昔からパーティーが苦手でよく逃げていたんですけど、今回は強制参加。

 何故ならパーティーの名前はジャスティスファング復活記念パーティー。

 文字通り私が主役、だから今回は英ちゃんの添え物扱いじゃありません。

 昔は気が付けばボッチになる事が多かったんですが、今は右隣にはナトゥーラ様、左隣には紅葉と見た目だけは両手に花と言っていいでしょう。

 でも私が置かれている状況を正確に例えるならば、まな板の上の鯉ならぬまな板の上のナポレオンフィッシュ。

 次々に各国の代表が挨拶をしてくるんですが


「ナトゥーラ様この度はお招きありがとうございます。そしてジャスティスファング様お目にかかれて光栄です。…実は今回は私の娘も連れて来ておりまして」

 愛想笑いを張り付かせた貴族の男性が挨拶をしてくれたんですが、肝心?の娘さんは泣きそうな顔をしています。

 

(せい君、あの娘はなんで泣きそうな顔をしてるの?)

 女の子が華やかなパーティーにそぐわない表情をしている事を不思議に思ったらしく、紅葉からの切ない質問が飛んで来ました。


(あー、娘さんを私と結婚させるつもりなんだよ…紅葉、痛いって。なんで、つねるの?)

 私の腕を笑顔でつねる紅葉さん…ちょっと怖いです。


(今にやけたでしょ?せい君の浮気者っ)

 

(あの子の表情を見たら喜んでないのが丸わかりだろ?)

 試しにアーツを使ってみたら娘さんの心境は人身御供レベルでした。

 私は鬼とか魔物扱いなんでしょうか。


「今回は弟子の為、ご足労ありがとうございます。ゆっくりとパーティー楽しんでいって下さいね」

 

「ありがとうございます。ところでジャスティスファング様の隣におられる方はどなたですか?」

 私と結婚を企ている男性にしたら紅葉は見逃せない存在なんでしょう。


「ああ、弟子の婚約者です。漸く弟子にもいい人が出来て一安心しております」


「それはそれはおめでとうございます…」

 ナトゥーラ様の言葉を聞いて、あからさまに落ち込む男性とあからさまに喜ぶ娘さん。


(せい君、ナトゥーラ様は私達の事を認めてくれたの?)


(認めたってより見合い話を断るのに使ったって言う方が正確だな。今の断り方なら角が立たないだろ?)

 下手に断れば貴族のプライドが傷ついてキヨキ聖皇国に寝返りかねませんし。

 そしてそれから娘を連れた貴族や騎士の方々が次々に挨拶に来ました。

 その勢いは料理を一口も食べれない位です。

 皆さん、私が未だに独身で結婚に食い付くと思ったんでしょうか?

 私より年下の娘さんもいれば、私と年が近い出戻りの方まで様々です。

 

(せい君、モテモテですね…)

 紅葉フィルターを通すと、この切ない状況もモテてる様に見えるんでしょうか。


(正確に言うとジャスティスファングがモテモテなんだけどね)


(せい君とジャスティスファングは一緒でしょ)


(あの人達が欲しいのはジャスティスファングの庇護と私が持っているマジックアイテムやオリジナル魔法なんだよ。特にマジックアイテムなんて国宝級の物もあるから)

 英ちゃんの場合は勇者の肩書きとイケメンさが相まって人気でしたが、私の場合は遺産目当て。


(負けない…そんな人達には絶対にせい君は渡さない!!)

 気合いが入りまくる紅葉と、それを見てほくそ笑むナトゥーラ様。

 海千山千のナトゥーラ様に掛かれば、紅葉を操るのも簡単なんでしょう。

 ちなみに私が逃げようとしたら、ナトゥーラ様がバインドを掛けて来ました。


(セイガさん、主役がいなくなったらパーティーの意味がないじゃないですか!!いい年なんですからご飯は我慢しなさい)

 

(せい君、紅葉との仲を皆に認めてもらう為に頑張るよっ)

 どうやら、私はこの二人から逃げれないみたいです。

 そんな中、一人の騎士が近付いて来ました。

 光輝く金色の髪を肩まで伸ばした美男子。

 

「ナトゥーラ様、アカイちゃんお初にお目に掛かかっちゃいますー。ぼくちんはキヨキ聖皇の名代を申し使っちゃったリナカ・ラオチャですー」

 使者?いやいや英ちゃん、何を考えてるんですか?

 敵対してる国に使者?しかも、カナリチャラいじゃないですか?


「キヨキ聖皇国には招待状をだしておりませんわよ。色々と聞きたい事はありますが帰ってもらえませんか」

 努めて冷静に対応するナトゥーラ様…下手に対応したらキヨキ聖皇国と対立が決定するから仕方がないでしょう。

 一番の問題は招待状を持たないこの男性がどうやってネサンスに入ったのか。


「ナトゥーラ様、それ厳しくなーい?でも怖いからちゃんアカイに、これを渡したら帰りまーす」

 挑発する様な言動で男が手渡してきたのは一通の手紙。


(英ちゃんとフィルの連名?英ちゃん、王様ならもっと空気を読みましょうよ)

 私の呆気とする姿を見てにやつくチャラ男騎士…それだけ見てくれたら充分にアーツを発動出来ます。


「認識疎外のアーツを使って従者と入れ替わったみたいですね…返事は中をよく見てからしますよ」

 中身は恐らくキヨキ聖皇国への招待状、これはチャンスですね。

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