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再びサクセスへ

珍しく活動報告にリクエストが来たので

 サクセスの町は酔客とそれを誘惑する娼婦が姿を現し、喧騒が響く夜の町へと姿を変えています。

 どんな娼婦さんがいたのかは分かりません、そんな事をしたら正座三時間で済まなくなります。


「せい君、このままお城に行くの?」


「うん、でももう夜だから門番に連絡を入れて指示待ちだよ」

 お城に着くと以前より警戒が厳重になっていました。


「せい君、何かあったのかな?」

 

「城の周りに何台も馬車が停まっているだろ。多分、貴族を招いて夜会(パーティー)でもやってるんじゃないかな」

 招待された貴族は楽団が奏でる音楽でダンスをして、乾いた喉を美味しいお酒で喉を潤す。

 庶民の月収を軽く越すであろう贅を凝らした食事に舌鼓を打つ。

 恋の駆け引きに興じ、お互いの腹の探り合いが繰り広げる。

 

「戦争が始まるかも知れないのにパーティーなんかして大丈夫なの?」


「パーティーを開くのは王家の力を見せつける為でもあるんだ。力が弱ったと見ると、平気で寝返る貴族は珍しくはないんだよ」

 前の時は、ヘトヘトになって魔物を退治して帰っ来たら王様と貴族はパーティーに興じていた事もありましたね。

 私はダンスが苦手だから寧ろご褒美です…そう思えば悔しくありません。 


「カミカ・インシュタルです。今、リヤンから戻ってきました」

 カミカさんは兵士を率いている騎士に一礼すると帰還した事を告げました。


「ぶ、無事にお戻りになられ王も安心すると思います。しかし、もう夜ですので少しお待ち下さい」

 騎士はカミカさんに一礼すると、慌てて城内に姿を消しました。

 入れ替わりで近付いてきたのは、高そうな服を身にまとった薄笑いを浮かべた男性。

 男なのに肩まで髪を伸ばすなんて、私にケンカを売っているんでしょうか?

 

「おや?これは高貴な私の頬を叩いた無礼な女がいるじゃないか?」

 どうやら長髪の男性は紅葉にビンタをされた貴族の様です。


「それがどうかしましたか?」

 小憎らしい程に平然と答える紅葉さん。


「今からでも私の女になりませんか?何しろ、私は子爵なんですよ」

 これは丁度良い。


「貴方はお目見えの身分がありますか?それならこれを王様に届けて下さい…それとイッポ様は全てを把握してると」

 男の顔から薄笑いは消えて、一気に青ざめさせました。

 何しろ、私が見せたのはリヤンの親書なのですから。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


 サクセスのお城に無事入れたのは良いんですけど、人の輪に囲まれました。

 必死の形相の騎士団が私達と距離を取りながら包囲網を作り、パーティーに参加していた貴族様達は遠巻きに囲んでいます。

 そんな中先頭を歩くのは、どこか誇らしげな代表のカミカさん。

 次に無表情を貫いている紅葉と緊張で手足が同時に出ているカコちゃんが並んで歩いています。

 そして私と久郎は一番後ろ。

 ちなみにブリーゼ一家とシェルムにはマジックルームで待機中。


「前と違って随分と注目されてるな」

 久郎の言う通り、騎士は私達の動作を注視し貴族は私達を見てコソコソと噂話に花を咲かせています。


「護衛の騎士に置いていかれた素人パーティーが、賊の襲撃を無傷で切り抜ければ注目が集まるのは当たり前だよ。しかも、リヤンのイッポ王からの親書を携えて来たとなれば注目されない方がおかしいだろ?」


「親書か…ただの紙っ切れだろ?紙一枚でここまで変わるもんかね」

 確かに私の持っているのは、物質的に言えばただの紙。


「親書を預けたって事は、イッポがひいてはリヤンって国が私達を認めたって事なんだよ。言わばリヤンの代理って事になる」


「おい、それじゃ、あの襲撃はかなりヤバいんじゃないか?」


「そ、俺達を襲ったって事は、リヤンに戦を仕掛けたとの変わらないんだよ」

 今回の粗筋を書いた人は、失脚どころか一族郎党が処刑されかねない失態。


「しかも、世界を救ったパーティーのメンバーもいたと…ショウガ、お前わざと襲わせたんだろ?」


「あんな契約を私達に押し付けてきたんだ。それなりの報いは受けてもらうさ」

 今回の一件が明るみに出たら、サクセスは国際的に孤立します。

 それどころか、キヨキ聖皇国から宣戦布告をされるでしょう。


「かー、魔法使いってより、質の悪い詐欺師だな」


「善良な配達員を捕まえて人聞きの悪い。”赤井さんは営業も兼ねてるんだから、もう少しずるくなりなさい”とか言われてるんだぞ」

 後、早く彼女を見つけなさいも良く言われました。

 流石に高校生の彼女がいますとは、言えませんでしたが。


「確か、お前営業成績が良いんだよな?」


「牛乳が美味しそうに見せる魔法があるんだよ。使うマナも魔力も少ないから効果は少しだけどな」

 お陰で”赤井さんが持ってくる牛乳は良く売れる”と大評判。


「お前の趣味のアウトドアってマナを補給する為だったのかよ?美味しそうに見せる魔法って…やっぱり詐欺師だな」


「何を言う!!モーさん牛乳は魔法を使わなくても美味いんだよ。俺がイケメンに変身したら詐欺だけど紅葉が化粧をしても詐欺とは言われないだろ?」

 紅葉と一緒に迎えた朝に飲むモーさん牛乳は正に至福。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 私達は城内にある一室で待機をする様に言われました。

 ちなみにカミカさんは旅の詳細を報告をしに行っています。


「せい君、サクセスに残ったみんなは元気にしてるかな?富楽先生と季子ちゃんには会う必要があるんでしょ?」


「ああ、富楽先生にはオリヤンやブリーゼの事を瀬羽さんには三米君の事を伝えなきゃいけないからね」

 どっちも納得してもらうのは大変だと思いますが。

 そんな話をしていたら扉をノックされて五人の男女が入ってきたました。

 部屋に入ってきたのはサクセスに残っていた冨楽竜、 寺柳淳子、館老瑠璃、 木谷流夏、瀬羽季子。


「失礼するよ、佐藤と満中は無事に帰って来たみたいだね。それで三米はどうしたんだ?」

 どうやら、冨楽先生は私と久郎を心配してない様です。 


「彼はリヤンに残って修行をするそうです。詳しい話は紅葉から聞いて下さい…冨楽さんに私から話があります。オリジンこと冨楽織部は貴方のお兄さんなんですよ」

 冨楽先生の顔に驚きと喜びが浮かび、それは哀しみと怒りへと変わりました。


「ふざけるなっ!!なんで、お前がお兄ちゃんの事を知っているんだ!?」


「その辺も含めて貴方を案内したい場所があるんですよ」

 マジックルームでは義姉と姪っ子さんが待っています。

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