シェルム・コムスビの想い
短いですが、頑張りました
頭の中で色んな考えがグルグルと回っています。
今の私にとって最優先するのは紅葉達を無事に日本へ帰す事。
きっと、英ちゃんが変わった原因は私にもあると思います。
だからといって、今の英ちゃんの味方は出来ません。
…オリやんを助ける、それはキヨキ聖皇国と敵対するという事。
(私に英ちゃんとフィルを殺す事が出来るのか?それに私が参戦したら、悪戯に戦禍を広げるだけなんじゃ…どこの国に所属すればキヨキ聖皇国を牽制する事が出来る?)
もし勝てても英ちゃんの子供達に、どう償うべきか。
「せい君、顔が真っ青だよ…ブリーゼさん、せい君は前にフィルさんや英雄さんに裏切られて凄く傷ついたんですよ!!これ以上私の大切なせい君を傷つけないで下さい」
大魔導士ジャスティスファング、年下の彼女に庇われる。
年上の威厳が、紅葉との恋愛で私の強みは年が上で大人だってだけなのに。
「フィルの事は同じアバターの人間として謝っても謝りきれません。でも、フィルも苦しんだんです。あの子はアカイさんの事をとても大切に思っていたんですよ」
大切でしょうね…高位魔法を使える貴重な魔法使いですもん。
「本当に大切なら裏切りません!!なんで、本命のお姫様がいるのにせい君を裏切れるんですか?男性としてせい君のどこが英雄さんに負けるっていうんです?」
顔と優しさと会話のうまさと爽やかと勇気と…逆に私が英ちゃんに勝っていた所があるんでしょうか?
ああ、紅葉は英ちゃんを見た事ないんですよね。
「えーと、ですね…アカイさんの方が真面目ですよね。男性はそれが一番です、見た目とかは重要じゃないですし」
ふと、イッポを見ると目を剃らしました…ちょっと、泣きそうです。
「ブリーゼ、その辺で止めておけ。アカイがへこみまくってるぞ。アカイの彼女モミジって言ったよな…これがキヨキ・ヒデオのアーツの怖さだよ。旦那を石にされたブリーゼでさえキヨキの呪縛から逃れられないんだ」
部屋に入ってきたのは幽鬼の様に痩せこけた女性。
頬は痩け落ちて眼窩は窪んでいます。
しかし、赤い髮と浅黒い肌、そしてこの喋り方は…
「もしかして、シェルムですか?」
「ああ、アカイ久しぶりだな。変わっちまったが俺はシェルム・コムスビだよ」
コムスビですか、シェルムまだそう君の事を吹っ切れていないんですね。
「変わったのはお互い様ですよ。今度、そう君のお墓に連れて行ってもらえませんか?色々と話したい事もありますし、向こうから持ってきた物をお供えしたいんですよ」
その為に、そう君がもう一度食べたいって言っていたお菓子を買って来たんですから。
「俺からも頼むよ。きっと、ソウシも喜ぶ」
喜ぶと言った時のシェルムの笑みは、悲しいものでした。
「せい君、この人がシェルムさん?初めまして、マナカ・モミジです」
挨拶する紅葉をしげしげと見るシェルム。
「モミジに聞きたい事がある…この禿げたおっさんのどこが良かったんだ?お前ならもう少しましな男を捕まえる事が出来るだろ?あれか?見た目が良い男に飽きて毛色の違うのに手を出したのか?」
久しぶりに会ったと言うのに、人を箸休めみたいな扱いして。
「違います!!私はせい君が初めての彼氏です…当然、最後の彼氏にしますし。それに理由がなきゃ人を好きになっちゃいけないんですか?私の気持ちは顔が可愛いとか優しいとか、そんなんじゃ表現は出来ません。私がせい君を好きでお嫁さんになりたいから彼女になったんです」
「…合格だな、てっきり命を守って欲しいからアカイに媚を売ってると思ったんだけどな。モミジ、俺とソウシのダチを頼む」
そして笑いあう二人、そして話の主役なのに空気になってる私。
でも、これで紅葉に嫌われる覚悟が出来ました。
私は紅葉に嫌われても、彼女を日本に帰します。
新作を連載しました
イエローにも花束を
良かったんだ読んで下さい




