待ち合わせ場所にいたのは
タクシーで久郎とかこちゃんが住んでる家に向かいました。
時間は夜の8時、かこちゃんが忘れ物を取りに来て私と久郎は夜道が危ないから着いてきたって話せば大丈夫でしょう。
「かこ、学校に行くぞ。ショウガがあの話協力してくれるってよ」
「兄貴、ショウちゃんに話したの?ショウちゃんも信じちゃ駄目だよ」
かこちゃんにしてみれば私を巻き込みたくないんでしょう。
「ショウガの奴、エレメンに行った事があるんだってよ」
「え、えー!!ショウちゃん本当に?」
そりゃ信じれないでしょうね。
「俺の知ってるエレメンか確認したいからかこちゃん契約書を見せて」
「う、うん分かった。ちょっと待ってて」
喜ぶべきなのか、悲しむべきなのか。
かこちゃんが持ってきた契約書は私の知ってる文字で書かれていました。
エレメン魔法文字、これを日本人が見せられて理解出来る訳がありません。
「ショウガ、何が書かれてるか分かるのか?」
「ああ、契約したらエレメンに行かないと死ぬらしい。ご丁寧に国に不利な行動も出来ない様にしてある」
サクセス神聖国か、あそこは比較的まともな国だった筈なんですけど。
「何とかならないのか?いや、何とかしろ!!何とかして下さい」
流石はシスコンぐま必死ですね。
「流石にマナが少ないから契約を無効にするのは無理だ。だけど国に不利なってのは書き換えれる」
体に残っている魔力をかき集めて手に込めます。
この程度の魔力で作られた契約書を書き換れるのは難しくありません。
「ショウちゃんの手が光ってる!!」
「ショウガ、本当に魔法使いだったのか?何で今まで言わなかったんだ?」
その答えは簡単です。
「異世界で魔法使いになって帰って来たって話したら信じたか?」
「いや、色んな意味で心配する」
まあ、それが普通の反応ですよね。
「次は潮騒高校に行って魔法陣を確認するぞ。それで明日は俺も休みだから必要な物を買いに行く」
親友がエレメンで生き残る為に知恵は貸し惜しみません。
でも私は行きません、私が行ったら面倒になるだけですから。
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魔方陣は潮騒高校の校庭に既に構築されていました。
「ショウガ、難しい顔をして校庭になんかあるのか?」
「魔方陣が隠してある。こっちにも制限が掛けられてるな…書き換えちまうぞ」
魔方陣で気になったのは言語変換の魔法式、ただしサクセス神聖国に不利な情報は変換されないというものです。
これだけ胸くその悪い魔方陣は久しぶりに見ました。
こんな魔方陣を構築したのが他の国にばれたら国際問題になるんですけどね。
「ショウちゃん、僕の友達も契約をさせられたんだ明日呼んで良いかな?」
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次の日、車で待ち合わせ場所に行くと久郎とかこちゃんと一緒に1人の少女が来ました。
抜ける様な白い肌に黒髪をポニーテールにした少女…嘘ですよね。
「ショウちゃんお待たせ。この子が昨日話した子だよ、満中紅葉って言うんだ。美少女だからって惚れちゃ駄目だよ」
「せ、せい君お久しぶりです」
「あれ?紅葉とショウちゃんって知り合いなの?」
知り合いと言いますか、元カノと言いますか…言えないですよね。
「ネットで知り合ったんですよ。私がモーさん牛乳の社員だって書いたら書き込みをしてくれて」
「紅葉、モーさん好きだもんね。それなら納得だよ」
かこちゃん、紅葉と付き合っていたって言ったら納得じゃなく白い目で見るんでしょうね。
紅葉はあの頃と同じ様に自然な感じで助手席に乗ってきました。
久郎とかこちゃんが後ろに並んで乗ったから何でしょうけど気まずいです。
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夏子ちゃんからお兄さん以外にも協力してくれる人がいるって聞いた時は驚きましたけど、待ち合わせ場所に行ってみたらもっと驚きました。
せい君がいたんです。
柔和な笑顔を浮かべて、あの車で待っていました。
つい、デートの待ち合わせを思い出してましまいました。
せい君の車の助手席に乗って色んな所に行った思い出が蘇ってきます。
でも
(もう紅葉って呼んでくれないのかな?…やっぱり私はまだせい君が好きなんだ)
私が悪くて別れたんだけど、やっぱり私はまだせい君が大好きです。
助手席の距離は変わらないのに2人の距離は離れたまま。
(せい君とまた会えたのに、仲直り出来ないままエレメンに行きたくないよ)
せい君、もうキスしてくれないのかな。
またギュッと抱き締めて欲しいのに。
感想お待ちしています
ちなみに正牙は紅しょうが
紅葉は紅葉まんじゅう→満中
久郎は黒砂糖、かこは砂糖菓子からつけました