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瀬羽さんのアーツ

 三米君が部屋に戻ってやっと紅葉と二人っきりになれました。


「せい君、季子ちゃんのアーツは危険な物なの?」

 瀬羽さんのアーツはSランクの通じる心。

 

「瀬羽さんのアーツ通じる心は、術者と魔物がテレパス念話で会話を出来る様になるアーツだと思うんだ」

 瀬羽さんの目を見て、アーツを発動させなきゃ正確な事は分かりません…瀬羽さんを見つめた時点で叫ばれてお仕舞いですけど。


「うーん、季子ちゃん良く動物の気持ちが分かったら楽しいと思うって、言ってんだけどな。ペットショップの子達も可愛がっていたし」


「本当に楽しいと思う?ペットショップの犬にしても猫にしても親から離されて狭い檻に閉じ込められた上に見も知らない人に売り渡されるんだよ。しかも自分を可愛がっていてくれた人が笑顔で引き渡す。裏切られたと思うんじゃないかな」

 ペットショップの動物を人に置き換えれば奴隷商、奴隷商人に感謝する奴隷なんていません。 

 外国にはペットショップがない国もあり動物をお金で売買するのを嫌う人が少なくないそうです。


「それはそうだけど…ティマーならずっと一緒にいるから大丈夫だよね?」


「ティマーは魔物を戦わせる職業でもあるんだ。もし、瀬羽さん達が強い魔物と遭遇したらどうなると思う?瀬羽さんの魔物は自分より強い魔物と無理矢理戦わされるんだよ。そして木屋君が危険に晒された瀬羽さんはなんてお願いすると思う?」

 可愛がり絆を深めるペットとは別物なんですから。


「多分…お願い、流夏を守ってかな?」


「そうすれば瀬羽さんの魔物は身を呈して木屋君を守るでしょう。その魔物や魔物の恋人や家族の気持ちが瀬羽さんに伝わったらどうなると思う?何よりテレパス系のアーツは制御をうまく出来ないと相手の気持ちがもろに伝わるんだよ」

 哀しみ、憎しみ、怒り、怨み、嘆き、全てが混ざり合った負の感情…瀬羽さんの心は壊れるでしょう。


「せい君、せい君は凄い魔法使いなんだよね。何とかならないの?」


「その為にはティマーの事を知らなきゃいけないんだけど、エレメンでは大抵の職業は口伝で教えるから、素人には何も分からないんだよな。知ってそこから新しい魔法を創って、それを三米君でも使える様に改良しなきゃいけない」

 乗り掛かった船とはいえ、我ながらお人好し過ぎる気が。


「何で三米君に教えるの?季子ちゃんにアーツの使い方を教えた方が早いんじゃないの?」


「私は助けを求めて伸ばされた手は振り解かないけど、払われると分かっていて手を差し伸べる程お人好しじゃない。Dランクのアーツしか使えないおじさんが、アーツの使い方を教えてあげるなんて言っても信用されないよ」

 下心があるって、勘繰られるのが関の山です。


「あーあ、季子ちゃんにせい君を自慢したかったのにな」

 断言します、私を紹介したら紅葉が心配されるでしょう。


「紅葉もアーツの使い方を覚えないとな。明日から訓練を始めるよ」


「せい君お願い…だけど今は二人っきりだから、紅葉を可愛がって…」

 紅葉はそう言うと私に抱きついてきました。


「紅葉…」「昼間の魔法使い出て来い!!でなきゃこの餓鬼を殺すぞ」

 甘い空気をぶち壊して、聞こえて来たのは昼間のティマーの声。

 窓から除くとそこにいたのはティマーと少女、そして6メートル近い雄ライオン。


(あれはキングレオ…力を隠したままじゃ勝てないな)


「せい君、あの大きなライオンさんは魔物なの?」


「キングレオ、マナを取り込む事で素早さを維持したまま大きい体に進化したライオンだよ。前衛職がいないから不意をつくのが一番安全だけど、それじゃあの子の安全が保証出来ない」

 下手したら呪文唱えている間に私が襲われるかもしれません。

 

「駄目っ!!せい君、ライオンと戦ったら殺されちゃうよ。そんなの絶対に嫌だよ…」

 既に涙目の紅葉…私はこれだけでも戦えます!!


「でも、あいつは私を指名してきたから無視は出来ないさ。何よりティマーの秘密を探る事が出来る。それに今だけ追い払っても被害が拡大するだけだしな」


「せい君、どう言う事?」


「キングレオは肉食の魔物なんだよ。当然、あの巨体を維持するには大量の肉を食わなきゃいけない。ピグミーウルフの肉さえ珍重されるラドロでどうやってそれを手に入れていたと思う?」

 ティマーは魔物を捕まえる以上に魔物を飼うのが大変だって聞きます。

 魔物は言わば野性動物みたいなものですから。


「お店で買ってる訳ないよね…せい君、まさか?」

 紅葉の顔が見る見る青ざめて行きます。


「ああ、多分、スラムの人間や旅人を餌にしてるんだよ。大丈夫、私が本気になればキングレオ程度に負ける事はないから」

 問題は正体を隠したまま戦えるかなんですよね。



―――――――――――――――


 ティマーの所に行く前に何の魔法を使うか決めておく必要があります。

 

(火炎系だとキングレオが暴れ回ったら危険。光や雷系は夜だと目立ち過ぎる。土系は町で使うと後片付けが大変。冷却系は空気が乾燥しているラドロだと効率が悪いし、射出系で即殺は難しい…乾燥か、それならあれを使うか)


 杖に着けている魔石を取り換えて外に向かいます。

 あえてキングレオの正面に立ちます。


「来たな、禿げ魔法使い!!お前の所為で俺は部下を失うし恥をかくし…ムカつくんだよ」


「………」


「ブツブツと何を言ってんだよ」


 マナを筋肉に循環させて一時的に運動能力を高めます。

 危険なやり方だから紅葉に叱られるのを覚悟しなきなゃ駄目ですね。


―――――――――――――――


 それは一瞬の出来事でした。

 キングレオがせい君に襲いかかったと思ったら、地面に倒れていました。

 

「ショウガの奴、何をやらかしたんだ?ライオンの口に杖を突っ込んだだけで、どうやって倒したんだ」


「紅葉、ショウちゃん何か言ってた?」



「何にも…でも、後からお説教だよ。ライオンに正面から挑むなんて」

 分かるのはキングレオが荒い呼吸をしながら動けなくなっている事とティマーの男が麻痺させられている事。

 そしてせい君がティマーをじっと見つめている事だけ。

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