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アーツの危険性

久しぶりの更新です。


 若い騎士達が女性陣に良い所を見せようと、速攻で当たり屋とその仲間を確保してくれました。

 パラライズミストを軽めに掛けた事が幸いしたのか、当たり屋達が麻痺しているのに気付かなかったのは不幸中の幸いです。


「しかし現金だよな。彼奴等さっきまで具合が悪いって休んでいたのによ」

 久郎が溜め息を吐きながら話し掛けてきました。


「あれ位の年の時は女に良い所を見せるのに必死だったろ?それに必死にならなきゃいけない理由もあるからな」

 そして現実を知って無駄な努力をしなくなる。

 クラスのイケメンがキーパーをしている時に、ゴールを決めたら授業で本気になって赤井キモいって言われた時は秘かに泣きました。


「必死にならなきゃいけない理由ってなんだよ?」


「今回みたいな依頼はチャンスでありピンチでもあるんだよ。手柄を建てれば良縁も来るし出世も出来る。でも手柄を建て損なうと依頼にも呼ばれなくなるからな。下手したら一生冷飯喰いで終っちまうんだよ」

 婿を選ぶ時には娘の意見も重要視されるそうです…騎士の家に生まれないで本当に良かったです。 


「それでお前は手を出さなかったのか。それじゃワンコロを捕まえてる奴は貧乏をくじを引いたって事か…捕まえたワンコロはプレゼントにでも使うのか?」



「ピグミーウルフはティマーでも使いたがらない魔物なんだぜ。でも旅の貴重なたんぱく源にはなる。まっ、宿屋へのプレゼントにはなるか」

 地域によっては虫でさえ、たんぱく源として珍重されるんですから。


「魔物を使った当たり屋か。ティマーって動物好きがなれるんじゃねえのか?」


「確かに動物好きもティマーに向いている。ただし、非戦闘系のティマー限定だけどな…戦闘系のティマーに向いているのは魔物を道具として扱える奴さ」

 逆に言えば三米君の幼馴染みの瀬羽さんは大外れのアーツを手に入れた事になります。


―――――――――――――――


 レイク自治区の首都ラドロは独特の造りをしていました。


「塀のでかさに比べて街は随分と狭いんだな。妙に縦長な感じがしないか?」


「多分、周りはスラム街なんだろうな。ラドロはサクセスとリヤンの中継地点だから商人や旅人が多く泊まる。金をたんまりと落として貰う為に外観と施設を整えたんだと思うよ…正確にはスラム街の中にある宿泊客専用の街だな」

 普通の商人や旅人がスラム街に泊まるのは血を流しながら鮫のいる海で泳ぐ様な物です。


「それでさっきのティマー連中はどうなるんだ?当たり屋ぐらいじゃ死刑にはならないだろ?」


「微妙な所だな。サクセスに睨まれたくないからティマーだけでも死刑にするか…でも、あの中にスラム街の有力者の身内がいれば無罪放免になってもおかしくはない」


「無罪ってマジかよ?」


「この街の造りを考えてみろ。スラムの人達が暴動を起こせばこの辺りは直ぐに焼け野原にされみまうよ。まっ、官僚とスラムの有力者が繋ってるだろうから丁度良い落とし所を見つけるさ」

 あのティマー、逆恨みとかしなきゃ良いんですけど。


―――――――――――――――


 さて、どうしましょう。


「お願いです、俺に戦い方を教えて下さい。俺は流夏や季子を守りたいんです!!満中さんからも兄貴に頼んでくれ」

 紅葉と部屋にいると、突然三米君が尋ねてきて土下座をしました。

 ティマーとの戦いを見て私に実戦経験があると思ったらしいんです。


「せい君、この人と関わらないで。女の子を何人も泣かしてるんだよ」


「それは羨ま…三米君、助けたいのは木屋君じゃなく瀬羽さんですよね?きっと、君は瀬羽さんの事が昔から大好きなんですよね」

 危うく本音が漏れる所でした。


「えー、でも三米君は何人も彼女を変えてるんだよ。それに季子ちゃんは木屋君の事を好きだと思うな」

 一瞬、三米君の顔が歪みました。


「だからだよ。瀬羽さんに焼きもちを焼いて欲しくて彼女を作る。幼馴染みの関係を壊したくないから、わざとチャラい人間を演じる。そうしたら瀬羽さんに可愛いとか言っても本気にされませんしね。本当は真面目な子なんだと思いますよ…でなきゃスケープゴートディフェンスなんてアーツには目覚めませんし」


「むー、せい君また一人で納得してー」



「スケープゴートディフェンス、能力はそのまんま自分を身代わりにして他者を攻撃から守るアーツなんだ。一応、盾を持っていれば攻撃には自動的に反応出来るけど、盾が壊れたら体を盾にして守ったり、うまく制御出来ないと意識不明になっても発動し続ける…知り合いに同じアーツを持つ騎士がいたんだけど、半死半生になってもアーツが発動し続けて死んだよ」

 無表情のまま動き続ける姿は、まるで糸の切れた操り人形の様でした。


「だからせい君は高ランクのアーツには危険があるって言ったんだ」


「それじゃ季子のアーツにも何かあるんですか?」

 やっぱり三米君は瀬羽さんの事が大切なんですね。


「戦い方なら依頼の間で教えますよ。ただ、勘違いしないで下さい。瀬羽さんが紅葉の友達だから教えるんです…多分、このままじゃ彼女壊れちゃいますから」

 それに私的には木屋君より三米君の方が好ましいですし…ダチの気持ちに勘づいていながら優越感に浸っている様な奴は嫌いです。


――――――――――――


 その頃のラドロのスラム街では、例のティマーが巨大な檻の前で暗い笑顔を浮かべていた。


「俺を虚仮にした報いを味あわせてやる!!このキングレオを使ってな」


 檻の中では優に6mを越える獅子が虚ろな瞳で佇んでいた。


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