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初めて見たしょうちゃん(佐藤夏子視点)

今回は佐藤夏子視点です、正牙だと戦いを伝えにくいんで

正牙が怖いって感想がきたので通常時の正牙のラフを追加しました


 僕にとってしょうちゃんは、兄貴の親友で人の良いおっちゃん。

 物心ついた時から知っているけど何時もニコニコ笑っていて、怒っている顔は殆ど見た事がなかった。

 ううん、本気で怒ったしょうちゃんは初めて見たのかもしれない。

――――――――――――――――

 今から1時間くらい前だと思うけど、しょうちゃんは砂山さんから離れて森に向かって行った。


「それじゃ、私は依頼をこなしてくる

から、久郎達は砂山さんと練習をしてろ」


「せい君、いってらっしゃい。ハニートラップに気を付けてね」

 紅葉は心配してるけど、しょうちゃんはお世話にもモテるとは言えない。

 男友達やおばちゃんや子供には人気はあるんだけどね。

 それから砂山さんと特訓をしていたら、あいつ等が来たんだ。


「おい、上玉が2人もいる。貴族に高く売れるぜ」


「親分、こいつらも捕まえますか?」

 見るからに悪党みたいな奴等が、僕達に近づいて来た。


「当たり前だ…処女じゃなきゃ、みんなで楽しんでも良いしな」


「かこ、満中さん、俺の後ろに隠れろ。砂山さん頼むっ」

 砂山さんは兄貴の言葉に反応すると壁に姿を変えた。


「兄貴、どうしよう?」

 男達は全部で8人いるし、武器を持っているし鎧も着ている。


「砂山さんがいるから大丈夫だよ。満中さん、ショウガに連絡をいれてくれ」

 兄貴は紅葉に通話石を手渡した。


「分かりました…せい君、変な人達が襲ってきました。早く来て下さい」

 紅葉がせい君に連絡をしていると男達は、次々に矢を射ってくる。


「砂のゴーレムだと?なーに、同じ所を攻撃しまくりゃ魔力が減って壁が削れるさ」

 砂山さんの壁が徐々に薄くなっていくのが分かる。


「ちっ、砂山さん俺も楯で防ぐ。俺の前の砂を他に移してくれ」


「下手に近づくなよ。ありゃ、高位のゴーレムだから近づいた瞬間に殺されるからな。男に矢を撃ちまくれ」

 兄貴も必死に防いでいるけれど、顔を矢が掠めて血が流れ始めた。


「ちっ!!なんだ、あの服は?布の癖に矢を弾きやがる」


「焦るな!!オリジンじゃないんだから魔力にも底がある。撃ちまくれ…な、なんだ!!この魔力は?」


「これは人の魔力じゃねえ!!化け物魔力だ」

 男達が怯えるのも無理がないと思う。

 ついこの間まで魔力を知らなかった僕でも分かるぐらいの、濃い魔力が辺りを包み始めている。


「紅葉、お待たせ。久郎、良く手を出さなかったな。かこちゃん怖かっただろ、もう大丈夫だよ…私の大切な人達に手を出したんだ!!楽に死ねると思うなよ」


「ショウガ!!ったく遅いんだよ」


「せい君、紅葉すごく怖かったんだから」

 来たのは確かにしょうちゃんだけど、僕の知ってるしょうちゃんとは違う。


「俺達を殺す?1人でか?笑わせるな」


「それに俺達には貴族様の後ろ楯があるんだぜ…ひぃ!!また魔力が強くなりやがった」


「馬車の中にいる犬人や猫人は貴族様に売るつもりか?だったら、その貴族も始末しなきゃ…砂山さんに魔力を再注入するから私の側に来て下さい」

 砂山さんはしょうちゃんの言葉に反応すると、しょうちゃんまで続く壁に姿を変えた。


「せい君、せい君、せい君」

 紅葉が泣きながらしょうちゃんに抱きつく、クラスの男子が見たら怒り狂うかもしれなかい…なんであのオジサンにって。


「紅葉、もう大丈夫だよ。久郎、強力なのを放つから私の盾になれ」


「分かったよ、何時でも良いぜ!!」

 兄貴は額や頬から血を流しながら笑った。


「砂山さん、壺に変わって下さい!!紅葉は牽制をかこちゃんは久郎の血を止めてっ」

 砂山さんが大きな壺に姿を変える。

 しょうちゃんは、その中に朝見せてくれた水の魔石を入れた。


「水よ、熱により湯となれ、湯よ熱により水蒸気となれ、水蒸気よ我が魔力で蛇となれ…スチームスネーク」

 しょうちゃんの魔力で熱せられた水はお湯になり、そして水蒸気になった。

 壺の中の圧力が強くなっているのか、大きく揺れ始める。

 壺が倒れるぐらいに激しく動いた次の瞬間、真っ白な蛇が壺から姿を現した。

 白く大きな蛇が、男達の顔に巻き付いていく。

 巻き付かれた男達は、苦しみもがきながら地面に倒れた。


「えげつねえな、壺の中で高温になった水蒸気で、あいつ等の喉を火傷させやがった」

 そう言えば聞いた事がある、高温になった水蒸気を浴びて亡くなった人がいるって。


「しょ、しょうちゃん何で蛇なの?」

 動揺しているのか、訳の分からない質問をしてしまう。


「巻き付く生き物と言えば蛇でしょ?自然なイメージの動きの方がスムーズに発動すんだよ。高速で真っ直ぐ翔ぶ蝶々なんてイメージしにくいだろ?」

 確かに蝶々はゆらゆらと翔ぶイメージだし。


「ショウガ、貴族の方は大丈夫なのか?」


「ああ、これが公になればキヨキ神皇国に戦争の題目を与えるようなもんだからな…私達が自分を殺してまで勝ち取った平和なのに、壊されていく」

 僕は怒ったしょうちゃんも始めて見たけど、あんなに悔しそうにしているしょうちゃんも初めて見たと思う。

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