ジャステイスファングの告白
正牙のアダ名をRGからジャステイスファングに変えました。
食事を終えた私は1人で自室へと戻って来ました。
久郎とかこちゃんは新しく取ったツインの部屋に、紅葉は昨日久郎達が使った部屋に泊まるそうです。
これで、ようやくあそこに行けます。
それは私が昔使っていた魔法研究室、触媒の加工が出来る上に風呂トイレ完備。
あの部屋の存在は私しか知りません…いや、知られてはならないのです。
大地の姿を変える程の威力がある広範囲魔法、ドラゴンさえ一撃で倒せる高位魔法、そして私のオリジナル魔法に使う触媒、これが世に出れば新たな混乱を招いてしまいます。
僕的敵を倒した時の格好良いポーズベスト5、ジャステイスファングのナイスな決め台詞集、街や村で見かけた可愛い娘100人、大人になったら行きたい娼館ベスト10、これが世に出れば私が街を歩けなくなります。
危険過ぎます、全て厳重に封印しなければいけません。
初日はヒデちゃんの事がショックで忘れていましたし、昨日は紅葉が部屋にいたので行けませんでした。
時空リュックから目当ての物を取り出しましす、それは牙を剥いたライオンのドアノッーカー。
これ使うのは勇気がいるんですよね。
「マジックルームよ、悪を切り裂く正義の牙、ジャステイスファングの呼び掛けに応えよ…」「せい君、寂しいから来ちゃいました…お邪魔でしたか?」
秘密にしたい研究室なのでパスワードを設定したんですよね。
正牙だからジャステイスファング…あの頃の私はお馬鹿でした。
気まずさから固まっている私と紅葉を無視して重厚な扉が現れます。
「紅葉…聞いてました?」
「あっ…えっとせい君、どこかに行かれるんですか?」
紅葉の挙動不審さはバッチリと聞いた証拠でしょう。
「ちょっと昔使っていた部屋に掃除に行ってきます。ほらっ、みんなお風呂に入りたいでしょうし。紅葉は疲れてるでしょうから休んで下さい」
「それなら私もお手伝いします。だって、せい君お掃除は面倒臭がって手を抜くじゃないですか」
「きちんと掃除しますよ」
「せい君、何時もそう言ってお掃除しないじゃないですか。お部屋、散らかってましたよ」
確かに紅葉と別れてから部屋が散らかり始めたのは事実…いや、あれは必要な物を身近に置いておく合理的な配置な訳で。
「行きますよ!!私もお風呂に入りたいからお掃除します」
過去の所業から掃除に関しては紅葉は私を信用してくれない様です。
しかし、忘れていました…紅葉の特殊能力を。
「せい君、この本はいりませんよね」
大人になったら行きたい娼館ベスト10を手にして笑顔を見せる紅葉。
笑顔だけど目は笑っていないその迫力に私は頷くしかありませんでした。
紅葉の本当のアーツはトレジャーハントじゃないでしょうか?
的確に私が見られたくない本を探しだしては処分していきます。
付き合っている時も掃除をすると隠してあるお宝(本、DVD)を見つけては処分していましたし。
「せい君ってジャステイスファングさんとお知り合いなんですか?」
そう言いながらジャステイスファングのナイスな決め台詞集をペラペラとめくる紅葉。
何時までも隠しておける事じゃないですよね
「知り合いと言うか本人と言いますか…」
「それならこの本もいりませんよね」
フィルへの愛の言葉と書かれたページを笑顔で切り裂く紅葉さん。
「ですねー、昔の話ですから」
決して怯えたんじゃありません。
「せい君、本当にせい君はジャステイスファングさんなんですか?」
元カノに真顔で呼ばれるのが、こんなに辛いとは。
「ええ、そうですよ。キヨキ聖皇国の聖皇清木英雄と共に戦い魔王カイラインを倒した魔導士ジャステイスファングは私です。詳しい話をしますので久郎達を呼んで来てもらえますか?」
「分かりました…でも、その前にこれ燃やして良いですか?」
紅葉の目線の先にあるのはジャステイスファングのナイスな決め台詞集…私が実験室でファイヤーボールを使ったのは証拠隠滅であり紅葉の迫力に負けたからじゃありません。
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「ショウガ、お前がジャステイスファングってマジなのか?正義の牙だからジャステイスファングって痛すぎだぞ」
「若気の至りだよ。お前だって昔はヤンキー漫画に影響されまくって制服の前ボタン全開にしてたじゃねえか!!」
醜い大人の口喧嘩が見る堪えなかったのか、かこちゃんが止めに入りました。
「ショウちゃん、何で今まで言わなかったの?僕達の事を信用出来なかったの?」
「サクセス神聖国はキヨキ聖皇国と対立状況にあります。私がジャステイスファングってバレたら良くて軍に強制加入、下手すれば拘束されて殺されちゃいますよ。いえ、サクセスだけじゃなく各国が私を手に入れようと動きます、紅葉やかこちゃん達を人質にとってもね」
「そこまでするのか?」
今の日本じゃ、裏の動きなんてドラマや漫画の世界。
「するんだよ。魔王を倒した魔導士ジャステイスファングは名前だけじゃなく、それだけの価値がある。聞いてなかったのか?何千もの魔物を一瞬で殺したって。私は敵に回るくらいなら暗殺したい存在なんだよ。怪しまれない為に対象者の知り合いの女をたらしこんだ後にハニートラップを仕掛けさせるなんて平気でするんだぞ」
ブサメンに理由もなく近づく女性は危険、それがエレメンで覚えた教訓。
「それはせい君の体験談ですか?」
ジト目で睨んでくる紅葉さん。
「新しい魔法を覚えるのに忙しくてそんな余裕はなかったよ。私達には常に護衛騎士がいたし。私を可愛がってくれた兵士の人がそれではめられたんだ。幼馴染みと恋人になれたって喜んでたのに、私達の行動をばらした罪で投獄されたんだよ」
彼は彼女を頑なに庇っていましたが、私はアーツで全てを知り黒幕を倒しました。
「お前が前に戦ったのは魔王軍なんだよな。何で人間がそんな事をしたんだ?」
「その貴族様は異世界の人間が活躍するのが気に入らなかったらしい。高貴な血筋が全てって馬鹿だった。貴族や騎士の嫉妬は怖いぞ、何しろ名誉に命を懸ける方々だからな」
魔王軍との戦争の最中に名誉の為に決闘とか勘弁して欲しいですよね。
「お前はキヨキ聖皇国には行かないのか?昔の知り合いがいるんだろ」
「本に書いていたせい君の護衛騎士をされたフィル・スカイさんですか?僕が君を守るって言ったフィルさんですか?せい君の最初の彼女のフィルさんですか?」
紅葉の言葉には棘が満載。
「行かないよ、何で侵略を始めたのか分からないうちはな。ちなみにフィル・スカイの今の名前はフィル・キヨキ。キヨキ聖皇の第2皇妃だよ」
そりゃ冴えない魔法使いより、イケメン勇者の方が良いに決まってます…。
「ショウガ、今晩飲むか?」
そう言えばお互いに何かある度に久郎とは酒を飲んでいます。
「久郎、俺が怖くないのか?」
言ってみれば私は何時でもバズーカーや爆弾を使えるのと一緒。
「お前にびびってどうすんだよ。餓鬼の頃からツレじゃねえか」
「僕も平気かな。ショウちゃんは意味もなく怒る人じゃないもん」
この2人には昔から助けられっ放しです。
「わ、私も平気ですよ。私は今でもせい君が大好きですっ」
紅葉、今なんて言いました?
更新速度が遅いって感想がありましたが、5作を同時に書いてるのでこれが精一杯です。
良かったら、そっちも見て下さい。




