大魔導師ジャステイスファング?
アーツが公表されるとワッと歓声が上がりました。
何しろAランクのアーツに目覚めるのは1万人に1人ぐらいの割合だと言います。
ましてや、SSやSSSクラスになると100年に1人出るかどうかなんですよね…ただし、エレメンに限定したらの話なんですけどね。
案の定、高位のアーツに目覚めた人の所には黒山の人だかりが出来ています。
「よお、暇そうだな。しかしお前がDって本当か?」
Bランクでも久郎の適正ジョブは鍛冶屋。
ちなみに私はフェイクローブを使った事もあり、アーツはDランクのファイヤーボールで適正ジョブはウィザード。
本当は適正ジョブはミルクマン(牛乳配達員)にしたかったんですけどね。
「ノーコメントって言いたい所だけど、お前の想像してる通りだよ」
「ショウちゃん、Cランクは役立たずなの?」
そしてかこちゃんのアーツはCランク。
現金なものでも2人の周りには殆んど人がいません。
「かこちゃん、もし俺がこの中でパーティを組むとしたら久郎とかこちゃんを選ぶ。仲が良いとかじゃなく使えるアーツを持ってるからだよ…かこちゃんは一緒に来た人で仲が良い人はいる?」
「紅葉ぐらいかな?後の人達は関わらない様にしてたから」
つまり、かこちゃん伝いで言うのは無理と。
「私がアーツをあまり過信しない方が良いですよって言ったら聞いてもらえるかな?」
「紅葉以外は無理かな。瀬羽さん以外はみんなプライド高いし、瀬羽さんは木谷君に合わせちゃうから。多分、Dランクの負け惜しみとか言われるかもね」
まあ、初めて会ったおじさんの忠告なんて聞いてくれないですよね。
でも、きちんと忠告をするのが異世界経験者の責任なんですから。
「ショウガ、俺のアーツでかこを守れるのか?」
こんな時でも久郎はかこちゃんの事を一番に考えているみたいです。
「使い方、訓練次第だな。お前のアーツはハンマー上級者って事、鍛冶にも使えるけど戦いにも使える。でもアーツには頼りすぎるなよ」
「ハンマー上級者?俺は毎日大型ハンマーでコンクリを砕いたり杭を打ってるプロだぜ」
久郎の勤務先は工務店ですからアーツがハンマー関係なのは納得なんですよね。
「あのな戦いの時は相手が動いてんだよ、お前はハンマーで生き物を叩き潰した事ないだろ」
「だよな。ショウガ、今すぐ俺を訓練をしてくれねえか。頼む」
久郎はそう言うと私に頭を下げてきました。
「言ったろ、私とパーティを組むんだから泣こうが喚こうが強くなってもらうからな」
「ショウちゃん、僕もお願い。兄貴に守られているだけなんて嫌だよ」
この2人は本当にお互いを思いあってる癖に一歩を踏み出せないんですよね。
「分かったよ。多分、この後なんで喚ばれたか詳しい説明があるだろう。それから城で訓練をして実戦になると思う。2人が訓練をしてる間に私は1人別行動を取って生活基盤を安定させておく」
お城なんて伏魔殿なんですから早く離れた方が安心なんですから。
________________
30分程たった頃でしょう、カミカさんが私達を呼び集めました。
「これから皆様にサクセス神聖国の現状を説明させてもらいます。まず、会議室に移動しますので私に着いて来て下さい」
会議室に着き椅子に座ると、紅葉が私の隣に座ってきました。
「せい君、お隣失礼しますね」
座ってから言われたら断れないんですよね。
「まず、事の始まりは14年前になります。その頃、エレメンは魔王ライカインの恐怖に包まれていました。そしてある国がライカインを倒す為に異世界召喚を行ったのです。異世界から現れたのは光の導き手ヒーロー、無限の魔力をもつ僧侶オリジン、無敵剣術の使い手ソード、何千もの魔物を一瞬にして倒す大魔導師ジャステイスファング。4人の若者は魔王軍を次々と倒しやがて魔王も倒しました」
…いや、日本名ってファンタジー世界に合わないからお互いをアダ名で呼びあっていたんですよね。
正牙だからジャステイスファング…なんで、こんな所で私の黒歴史を発表するんですか!!
大魔導師なんてノリで言っただけなんですよ。
「そしてヒーローは自分を召喚した国の女王ディップル・アバターと結婚し国名をキヨキ神皇国に改めて王となりました。最初は平和な良い国だったそうです。しかし、4年程前から周辺の国を侵略する様になったんです。このままでは近いうちにサクセス神聖国も狙われてしまいます。だから皆様の力をお借りしたいんです」
4年前ですか…4年前に英ちゃんに何があったのか?
織やんがいるから確実に止めてる筈なんですけどね。
そう君が生きてたら、ぶん殴ってでも止めたでしょう。
私はどうするべきなんでしょうね。
「せい君、せい君、せい君…無視するんですか?そんな事したら紅葉泣いちゃうんだからね」
泣いちゃうって言った紅葉は既に目を潤ませています。
「紅葉違いますよ。ちょっと考え事をしてただけですって。それで、どうしました?」
紅葉はごく親しい人には子供口調で甘えてくるんですよね。
普段は薙刀部に所属してキリッとしてる紅葉が子供口調で甘えてくる…はっきり言って反則的な可愛さなんですよ。
「せい君、辛そうな顔をしていたから心配になって…余計なお世話でしたか?」
ヤバイです、振られたのが分かってるのに紅葉をさらに好きになりそうです。
感想お待ちしています。




