地獄の階段は賑やかに登れ(後編)
点けたままのテレビから放火殺人のニュースが流れた。
市内某所のアパートの一室から出火し、全焼した室内から二人分の死体が発見されたそうだ。一人は頭に銃弾を受けて死亡し、もう一人は紐状の物で絞殺されたという。
重要参考人として警察が行方を追っているのは、出火した部屋の住民。無論、それは俺のことではない。その住民とやらは随分昔に山中で埋まったままだ。
あの部屋の住民は背丈も顔立ちも俺に似ていたので、少々あの部屋を借りていたのだ。あのアパートでは住民同士の交流はほとんどなく、俺と元の住民が入れ替わったことに気付いた者はいなかっただろう。仮に入れ替わりに気付いた者がいたとして、今の俺の所在まで辿り着けるはずがない。
さて、瑣末な問題はさておき。
ブラッドの効果だが、これは強烈なアッパー系ドラッグだった。
アッパー系ドラッグとは気分を高揚させる効果を持つドラッグの俗称だった。覚せい剤、コカインなどがアッパー系に分類され、これらのドラッグを使うと異様に気が強くなり、何でも出来るような気分になる。
どうもブラッド使用者は随分と攻撃的になるようで、縄で縛られている状態でも俺に食って掛かるくらいに元気になった。これがいわゆる神如き力を得られるとデマが流れた原因だろう。
しかしながら、口から火が出る等のふざけた話は、言うまでもなくデマだった。もし、それが事実なら殺される直前に何かを出していたはずだろう。自分を縛る縄さえ切れずに死に絶えたのだから、あの話は誇張された噂に過ぎないことが実証された。
あぁ、そうそう。ブラッドの実験台に使ったのは、あのロクデナシの女だ。言うまでもなく今は立派な焼死体になっているだろう。犯人はあのアパートの住民らしいから、警察に頑張って捜査してもらうといい。
ニュースの途中でテレビを切り、安物のソファに身を沈めた。
あれから三日が経過した。
ロクデナシのケータイは何度か無関係な連中から連絡があったが、肝心の奴からの連絡はまだ来なかった。最近かけた番号に掛けてみたが、目的の相手ではなかったし、それらしい相手ですらなかった。
さすがに殺すのは早まったか。
そんな後悔が脳裏を過ぎるが、ロクデナシとまともにやり合う危険性を考えれば、あそこで殺しておく以外の選択肢はなかった。
あのロクデナシはヤクザを敵に回す寸前のヤバい橋を幾つも渡ってきた。銃に撃たれたくらいでは怯まない。危険を感じれば生存本能で暴れ出すのが目に見えていた。ましてアメフト選手並にガタイのいい奴と肉弾戦をすれば、結果は火を見るより明らかだったろう。
ブラッドの利潤を独占するためには、あそこで殺すことが最善だった。
そうして思考を幾度か巡らせていると、ロクデナシのケータイが突然鳴り出した。相手は非通知。これまで非通知の奴から何度が掛かってきたが、今度はどうだろうか。
不遜な笑みを浮かべながらケータイを取った。
「初めまして、東雲正義」
自分の笑みが凍りついたのを自覚する。
電話口から聞こえる涼しげな声を聞いた瞬間、背筋に極彩色の虫が這い回っているような悪寒が走った。
本能が逃げろと訴えている。
危険信号が激しい点灯をしている。
警鐘がけたたましく鳴り響いている。
とにかく全神経が危険を叫び、電話を切れ、と訴えていた。これまで俺の本能がヤバいと感じたことはなかった。
しかし、電話を切るという選択肢は有り得ない。
なるほど、これは予想外の挨拶だ。こちらが先手を取っているつもりが、いつの間に背後を取られていたという訳だ。面白い真似をしてくれるではないか。
「私がブラッドの製造者だ。君にブラッドの販売を委託したいと思っている。返答はいかに、東雲正義……?」
どうやら幻聴ではないらしい。
この蠱惑的な声の主は何故か、俺の名前を知っていた。
俺が今使っているケータイはロクデナシを殺して奪った物だ。俺が今ロクデナシのケータイを持っていることを知っている人物はいないはずなのだ。
にもかかわらず、この声の主は俺宛に電話を掛けてきた。
俺がロクデナシのケータイを持っていることを知っている。その事実を知っているということは、俺がロクデナシを殺していることも知っているということだ。
後手に回ったか……。
まぁ、それはいい。世の中、何もかも上手くいくとは限らない。先手を取られたのなら、それなりの対策を立てるだけだ。
「君の警戒心の高さは知っている。そして、我々はそれをいたく気に入っている。だが、その警戒心の高さがある故に、この交渉を持ちかける方法に困った。
私が直接君の前に現れ、ブラッドの販売委託を申し出ても、いい返事はもらえなかっただろう。だからこそ、君が自らの意志でブラッドに関わるように仕向けた。そして、その気持ちが確固たるものに熟成されるまでの時間を置いた。
もう君の中には、ブラッドに関わらないという選択肢はないはずだ。たとえ、どんな危険があろうとも、そこにある甘い蜜に囚われてしまったのだから」
初めに手の内をさらすのは馬鹿か正直者のすることだ。もしくは正直者を騙る偽善者か。
自らがフェアであることを示した上での交渉?
交渉はいかに相手の裏をかき、より多くの利益を得るためにする勝負のことだ。審判のいないゲームと同じだ。幾つかのルールがあろうとも、それを咎める審判はいない。要は勝てばいい。
初めから自分の手を晒すことに意味などない。
愚か過ぎて笑ってしまう。自ら犯してくださいと股を開く女より愚かだ。おっと、少々下品な表現か。つい最近あったことで言ってしまった。自らの棋譜を相手に渡すような将棋指しより愚か、ということにしておこうか。
生憎、馬鹿と商売をするつもりはない。
馬鹿は利用するか、肥やしにするかの二つしか有り得ない。
だが、問題なのはこの声の主がどれほどの馬鹿であるか、だ。無駄な知恵を付けた奴ほど扱い辛い。利用できないのなら、そもそも共に行動することさえ危うい。
「ふむ、行動を起こすのが早いな。あらかじめ窓から脱出する手段を用意していたか」
今の俺の行動を言い当てられても、決して驚きはしない。
この声の主は、すでに俺を監視していることを臭わせていた。ならば、当然今も監視しているはずだ。
今俺がいるのは、ロクデナシの女が住んでいたマンションだった。ごく平均的で特筆する点など何もないような1LDKの物件だ。部屋は五階にあり、普通なら窓から出られる高さではない。
だが、決して降りるのが不可能な高さではない。
脱出手段は、エレベーターの原理を利用したものだ。
ベランダの縁にロープを引っ掛け、一方の端に重りを付けて地上に落とす。そして、もう一方のロープの端を持ったまま地上に飛び降りる。
すると、天秤が重い方に傾くのと同じように、ロープの両端にある重りのより重い方が下へと落ちていく。この場合、無論俺のことだ。ロープの長さは地面には届かない程度。もう片方の重りがベランダに引っ掛かり、俺は地面スレスレのところで停止した。
と、同時にもう一つの仕掛けが発動する。
ロープの摩擦熱で発火するように作った仕掛けだ。灯油はすでに撒いてあるから、よく燃え広がってくれるだろう。立ち去る以上、証拠は一切残さない。まぁ、出来れば、もっと静かな方法で証拠を処理したかったが、今は時間がないので仕方ない。
少し派手に動き過ぎた。多少変装はしていたが、さすがに面倒なことになることを覚悟した方がいいかもしれない。
だが、今は脱出が先決だ。
すでに監視されている状況なのだ。それを理解したのなら一秒たりとも、あの場所に留まってはいられない。話している間に警察に取り囲まれていた、なんて事態になったら笑えない。いや、すでに警察の包囲を覚悟していた。
しかし、幸いなことに騒ぎ立てるような人影はなかった。
俺はケータイを片手にしたまま素早く駐車場に駆け込んだ。人がいないことを軽く確認する。ついている。誰もいない。ならば、手早くすべきだろう。
無作為に選択したセダンに目を付け、窓ガラスを叩き割った。あとは対して難しい作業ではない。あらかじめ脱出の工具は用意していたので、イグニションを点火するのは十秒も掛からなかった。
「……見事なお手並みだ。それでこそ我々が見込んだ相手だ」
それはどうも、と心の中だけで呟いた。
運転席側の窓は全開放にした状態で車を発進させた。さすがに割れた窓を見せてのドライブなど出来るはずがない。
目的地は一つしかない。
セーフハウスの中でも万全のセキュリティが敷かれる場所だ。
すでに行動が監視されているのなら、全てのセーフハウスの位置を知られている可能性もある。さすがにそれは警戒し過ぎと思えるが、油断ならない相手なのは間違いないので、最悪の仮定を前提とした行動をする。
「それで、返答はどうだ?」
「…………」
「随分な用心深さだ。だが、話が進展しないな。そろそろ何かを話してはくれないか?」
「……何故、俺を選んだ」
「君の能力を評価したからだ。過去の実績を含め、申し分ない。まぁ、君の不興を買いたくはないので、過去の話はひとまず捨ておこう」
不愉快な野郎だ……。
どうやら随分と俺を調べていやがるようだ。
利用するには少々知恵を付け過ぎた奴かもしれないな。
「我々の目的は財を成すことではない。ブラッドをこの風城市全域に蔓延させることだ。それ以上でもなければ、それ以下でもない。だから、君に対する報酬はブラッドでの利益全てだ」
「胡散臭いことこの上ないな」
だが、ブラッドの販売利益を全て与えるという言葉は耳に残る。それが本当なら凄まじい額の金が一挙に手に入るだろう。
普通、末端の売人の報酬など売上の一割程度かそれ以下だ。その上にさらに売上を回収する役がいて、大元の組織へと献上される。麻薬売買の利益のほとんどは組織にわたるが、それでも末端にも美味しい汁は充分に届く。実際の金額で言うなら、百万単位だ。
「だろう? だから、直接君の元に現れ、同じような交渉をしたとしても君は受け入れなかっただろう。くくく……」
蠱惑的な声の主は声を殺して笑う。
何を企んでいるのか、今一つ理解しがたい相手だ。
声からして八割方は男だと思うが、こういう声の女がいても不思議ではないかもしれない。おそらくは若いが、幼くはない。二十代か三十代以上だろう。
「我々にとって、これは一つのゲームなのだよ?」
「ゲーム?」
「そう。王の戯れの一つ。この風城市とチェス盤に見立てたゲームに過ぎない。だから、利益など求めていないのだよ?」
王、その言葉にブラッドの由来の一つを思い出す。
その鮮烈な紅色は、崇高なる王の血が混ぜてあるからだ。
「王? 王だって? はっ、それはいいな。庶民が薬中になるのを高みの見物ってのか?」
「あぁ、そのとおりだ。愚民が落ちぶれていく様ほど笑えるモノはない。せいぜい足掻き苦しめ、人間よ。貴様等の絶望と怨嗟の声が我等の糧なのだからな」
言ってくれるね、このゲス野郎は……。まぁ、ゲスという意味では俺も相当なものだが。
「さて、どうするのかね、東雲正義? 我等のゲームに参加するか否か? まぁ、君には劣るだろうが、代理の駒は幾つかある。君が断るのならそれでも構わないだろう。今君の手元にあるブラッドは駄賃代わりだ。どうせ、幾らでも製造することが出来る」
「…………」
「王は君を大変気に入っている。狂気と理性を併せ持つ君のことを」
「光栄だね、全く……」
「ゲームに参加するか否か、そろそろ返答をしてくれないかね? 我々が今見せられるカードはすでに見せた。これ以上のカードの提示は、君が参加の表明を示してからだ。一切の譲歩はしない」
「……いいだろう。参加してやるよ」
どのみちブラッドの利益は享受するつもりだった。ゲームに参加しないという選択肢はなかった。
「その返事が聞けて嬉しいよ、東雲正義。
ではもう少しゲームの説明をしよう。これはゲームである以上、絶対にルールを遵守してもらう。どんなルールであっても決して破らない。それが大前提だ。ルール違反者には容赦なき死が与えられる。理解したな?」
「道楽であるが故のルールか。まぁ、いいだろう。ルールの遵守は了解した」
この電話の相手が今までにないほど危険な相手だということは本能的に感じていた。敢えて危険を犯してルールを破る意味はない。どんな馬鹿なルールであっても、それを守ることでこの電話の主を敵に回さずに済むなら、充分以上に意味がある。
「ルール一、ブラッドの販売範囲……、いや、蔓延範囲は風城市を限定とする。先程も言ったが、我々のチェス盤はこの風城市のみだ。この風城市に住まう者のみを対象として、ブラッドを売り捌いてもらいたい。それ以上の範囲は必要ない。
君は目先の利益で先走るタイプではないと承知しているが、それでも無理な範囲の拡大は許さない。これは全てのルールに通用する大前提だ。この風城市というチェス盤以外に駒が立つようなことは無粋極まりない。何より、相手方の協定を破ることにもなる」
「……面倒な制約だが、了解した」
風城市の総人口はおよそ三十万。
元々は地方都市の一つに過ぎなかったが、ここ数年での都市化計画の発展に加え、近隣の市町村との合併によって急激に人口を増やしていた。駅を中心とした区画は高層ビルによって占拠され、昭和の名残を残した商店街はことごとく踏み潰されていた。
都市化が進むにつれて、多くの企業がこの風城市を拠点とするようになり、国内でも珍しく発展著しい土地だった。
人口の流入も激しく、だからこそ、風城市を限定とした範囲というは面倒なルールだった。
高層ビルの乱立と共に繁華街も巨大に発展した。そこには風城市以外に住む者も多く溢れている。その中から風城市に住む者だけを抽出してブラッドを売りつけるのは面倒極まりない。
だが、売上利益の全てを手にすることが出来るのなら、そうした手間も仕方ないと割り切ることが出来るだろう。
「ルール二、ブラッドによる利益は全て君に与えるが、ブラッドを使用した人物については全て報告すること。これは購買した者に限らず、君が善意でプレゼントした人物も含まれる。とかくブラッド使用者の報告を徹底すること」
「まぁ、別に構わないさ。業務日誌でも書いて送ればいいのか?」
「君の好きな形式を取ればいい。報告さえあれば充分だ」
「ゲームならではのルールか。まぁ、いい……。いろいろ面倒ではあるが、それもゲームだからと割り切ってやるよ」
どういう意図があるにせよ俺には関係ない。今は従順にルールに則ってやろうではないか。今のところ、そのルールに縛られることで俺にとって不利益は生じていない。まぁ、範囲が風城市限定とされていることで多少稼ぎが小さくなるかもしれないが、それでも最初の予定と比べれば想像以上の額だ。反論する必要は、今のところない。
何より今はこの人物と敵対することは得策ではない。
今は雌伏の時。耐えて力を蓄えようではないか。出し抜ける時が来れば、その喉笛に牙を衝き立ててやればいい。
「ルール三、相手側に君を追う者がいる。それは警察でもなければ、暴力団でもない。だが、それは確実に君を殺す者だ。君はそれから逃げ続けなければならない。まさか怯えたりはしないだろう?」
「なるほど。まぁ、ゲームと称していた時点で多少は有り得ると考えていた。お前達はお前達の都合があって行動をしている。それを邪魔する者もいる。……つまり、そういうことだな?」
「そういうことだ。ちなみに君が誰に襲われようと、我々は君を助けるつもりはない。先程も言ったが、代わりの駒はいるし、何よりこれはゲームだからな。負けたところで我々は構わない。まぁ、勝つための最善手は指しているがな」
「ふん……」
不愉快そうに鼻を鳴らし、俺はハンドルを大きく切った。
こいつ等の都合など知ったことではないが、どうやらゲームに関わる以上は俺も無関係ではいられないようだった。
しかし、ブラッドという巨大な果実を得るために仕方のないリスクだ。熊が出ようと蛇が出ようと蜂が出ようと、進む以外の選択肢はない。
そうして話しているうちに、俺は目的地まで到着した。先程ハンドルを切ったのは居住者専用の特別駐車場に入るためだった。
ここ数年で劇的に変化した風城市のシンボル、バベル・タワー。
俺のセーフハウスの中でも最高のセキュリティを誇る場所だ。どういう経緯でこの場所を手に入れたかは自由に想像してほしい。少なくも家賃を払っているのは俺ではない。
「そういえば、フォースという手品を知っているか?」
駐車場に車を止める時、電話の相手は突然このようなことを言い出した。
フォースは、マジックの一つだ。マジシャンが選ばせたいカードを無意識のうちに相手に選ばせる手法だ。ダースベーダーの使う怪しげな力を違い、マジシャンの技量で相手を誘導する高度な技術だ。
それを思い出し、俺の背筋に再びあの極彩色の虫が這い回った。警報はすでに鳴っていたはずだが、それを無視して突き進んだのは自分だった。虫が背中を食い破ったとしても、それは俺自身の過ちだろう。
「ブラッドはその車の後部座席に積み込んである。バックミラー越しからでも見えるだろう? そのジェラルミンケースがそうだ」
「…………」
無作為に選んだ車だった。
しかし、その車の後部座席には、薄い鈍色を放つジェラルミンケースが鎮座していた。あたかも登場を待ち侘びていたかのように、その存在を誇張して輝いていた。
あの時、駐車場には七台の車があった。この電話の主は俺がその中のどれを選ぶか予見していたのか。いや、それ以前に俺が部屋から脱出して駐車場に行くことまでも見通していたということだ。
なるほど、釈迦に踊らされた孫悟空の気分はこんな感じだったのか。
「……お前、名前は?」
「偉大なる災禍の王に仕える従者が一人、黒澤拓摩。君に名乗れる名はこれだけだ。我が真実の名は、君には少々重過ぎる。
……そうそう連絡先は君の部屋に置いてある。業務日誌なり、口頭連絡なり、好きな方法で報告してくれ。……では、失礼する。なるべく長く生き残ってくれよ、東雲正義。
くくく……、はーっはははははははははははははははははッ!!」
不愉快な高笑いをしながら、黒澤は通話を切った。後に耳に入るのは無機質な電子音のみ。
これまでの全てが黒澤の掌での出来事だった、と思い知らされた。
「……くそがッ!!」
俺は激情に任せてケータイを駐車場の壁に投げ付けた。コンクリートの壁に叩き付けられた衝撃によってケータイは自身のハラワタ、レアメタルで構成された電子部品を撒き散らした。
それでも怒りは収まらず、俺は二度ハンドルを殴り付けた。無論、憎悪の炎は消えることはなかったが、少しだけ落ち着きを取り戻した。
本当の意味で、面白くなってきた……。
あぁ、面白いね……。
踏み躙られるのは、もう二度と御免だ。今度は俺が踏み躙る立場になると決めた。この俺の全ての力を駆使して、無能な連中を蹂躙すると誓った。だが、それでもまだ俺の上を行く者がいる。
蹂躙してやる……。
どれだけ雌伏の時が長くとも、必ず這い上がって全てを踏み躙ってやる。必ず、だ……。
一踏みで俺を潰したと思うなよ、黒澤……。
王だか、ゲームだか知らんが、お前の好きなようにしてやらんよ。俺をゲームに巻き込んだことを後悔するといい……。
Tell the continuance in hell…