2話
「まぁまぁ、元気を出したまえよ少年。過ぎたことを気にしても仕方ないぞ!」
落ち込んでいる俺に対してそんなことを言う幽霊女。
「うるせぇ。何様だよ…」
そもそもこうなってる犯人お前だし…。
「つうか、お前ほぼ俺と同じ年齢だろ。なんなら学校一緒だろ。その制服的に」
「どうかな~?コスプレ大好きなお姉さんだったりするかもよ?」
「そりゃまぁ、ずいぶん痛い趣味だな。しかもそのまま死んじまってるし」
うっふ~ん、的な感じで─全くできていないけど─セクシーポース?をする幽霊女に冷たく返す。
反応がつまらなかったからなのかむす〜と頬を膨らませる。
「のりが悪いなぁ。そんなんだから君は友達できないんだよ〜だ」
「うっせぇ!それとこれは関係ないだろ!つうか、なんでそんなこと知ってんだよ!?」
「だってほら、去年同じクラスだったし」
「同じクラス…?」
そう言われて幽霊女をじっと観察してみる。
よく見るとこいつ…可愛いな。スタイルいいし、顔も整っている。肌だって雪のように白くてきれいだし。
まぁそれよりも目に入ってくるのは長い赤髪なんだけどな…。
赤い髪とかそんな珍しいもの忘れないと思うのだが…。
うーん、と唸っていると
「じゃぁほら、これで分かるかな?」
そう言って幽霊女はメガネをかける…というよりいきなり出現した。
現実離れしたそれにちょっと驚きつつ見覚えのある姿になったそいつのことを思い出した。
「お前!バカみたいに勉強ばっかりしてた地味っ子じゃねぇか!」
「君…その覚え方はいくらなんでも失礼じゃないかな?」
と苦笑を浮かべる幽霊女。
男子の間でも一時期話題に上がっていたのだが休み時間まで勉強するようなやつで近寄りがたく、特段目立ってことをしていたわけでもないので見た目は目立つのに記憶に残ってなかった。
「まぁ、思い出してくれただけでもいっか。これからよろしくね。神里駿くん」
「なんで俺の名前知ってるんだよ…話したこともないだろ?」
「クラスメイトの名前くらい覚えるの普通でしょ?」
やれやれという様子の幽霊女。
いや、普通関わらないやつの名前まで覚えないって…。
「ちなみに私の名前は何でしょうか?」
とクイズみたく言ってくるので
「知らねぇよ…」
バッサリ切り捨てる。
「ちょっとは考えてくれてもいいんじゃないかなぁ?」
ぷく〜と頬を膨らませる幽霊女。
「人の名前なんて何も知らずに当てれるわけ無いだろ…考えるだけムダだって」
「ほんと、ノリが悪いなぁ君は」
バカにするようにそう言ってくるので少し腹が立つ。
「へーへー、ノリが悪くてすみませんねぇ」
皮肉交じりに返してやる。
「私は零架。花園零架よろしくね!」
胸に手を当て、さっき見た眩しすぎるあの笑顔でそう言う零架に
「あ、あぁ」
とまた言い淀んでしまうのだった。