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第九十六話◆:勘違い

第九十六話

『雨乃っ、無事なのっ』

「え、あ、ああ……どうしたんだよ、そんなに慌てて」

 風呂上りに笹川から電話があったのだ。いつもの冷静な声調ではなく、アップテンポの激しい……難しいたとえは自分で言っていてわからなくなるな。無理はやめておこう、身体に毒だ。

「もう一度聞くが、何かあったのか」

『何もないのならいいわ……』

「どうしたんだよ」

『詳しいことは学校で話す……おやすみ』

 それだけいって電話が切られた。

「……何なんだよ」

「あら、零一君……彼女からの電話かしら」

「え、ああ、いや、違います」

 鈴音さんがテーブルのほうから話しかけてきたので対応する。

「何だ、お前は佳奈がいるのに他の女にちょっかいだしたのか」

「いや、違いますって」

 達郎さんはこの手の話が大好きなのだろう、ニヤニヤしながら喋っている。うぅん、この表情はまさしく佳奈のそれと大して変わりの無いものだ。

「佳奈に聞いたけど、結構女子の知り合いがいるんだってなぁ、いやぁ、うらやま……しくもなんともないぞ。俺には鈴音がいるからな。うははははは」

「……」

 鈴音さんが怖かったのは一瞬だけだ。達郎さんは空気を読めるいい大人である。

「ん、何かあったの」

「いや、何も」

 佳奈が自分の部屋から出てきて首をかしげている。

「達郎さん」

「はい」

「ちょっとこっちに行きましょう」

「……はい」

 まるでしかられた犬のように鈴音さんについていった。

「……零一、お前は結婚する相手のことを事前に調べ上げろよ。仕事も勉強も大事だが、それは生活の……」

「行きますよ」

 引きずられていってしまった。

「……なんだったんだろうな」

「さぁ、私がわかるわけないじゃない」



―――――――――



 次の日の朝、達郎さんの顔面に傷跡があったのは何でだろう。猫にでも引っかかれたのだろうか……

「……聞くな、そのまま黙って学校に行って来い」

「わかりました……さ、佳奈行こうぜ」

「え、ええ……」

 佳奈も自分の父親の顔をまじまじと眺めて俺の後ろへと追いつく。

「あれ、なんだったんだろうな」

「さぁ、でも、多分あれって……」

 佳奈が何かを喋ろうとしたとき、真先輩が現れた。

「やぁ、零一君に佳奈君だったかな…おはよう」

「お、おはようございます。なんだか傷がありますけど……」

「昨日、君と勘違いされて男達に襲われたんだよ。十人くらいだったけど難なく撃退できた。栞の陰に隠れがちだけどぼくは一般人よりも喧嘩とかは強いんだよ。おっと、そんなことはいいんだ。問題は君だ。今日の放課後辺りにもしかしたら……襲われるかもしれないね。じゃ、気をつけて」

 それだけ言って先輩は学校のほうへと走っていった。その後ろを三人の男子生徒が追いかけていく。

「あれって近くの工業の生徒じゃないかな……」

 なるほど、言われて見ればそのようだ。先輩のところまで追いついて肩をつかんだが先輩に一蹴される。

「……笹川にいつもぼろぼろにされてるけど真先輩って強いんだなぁ」

 柔和そうな顔立ちが笹川みたいに鋭くなっている。う~ん、格好いいな。



―――――――



「笹川、そういえば昨日は何で俺に電話をくれたんだよ」

「あ、あれね……」

 ちょっと苦々しげな表情をして困っている。どうも、あまり訊ねられたくないことのようだったが昨日の夜は明日詳しく事情を話すといっていた気がするのだ。

「……わかった、ちょっと場所を変えるわよ」

 笹川が席を立ち、俺も続く。

「お、何々、告白かい」

「どうだろうな」

 そんな事を満に言ったら何故か、親指を立てていた。

「がんばって来い、少年っ」

「お前と何ら変わらんぞ、俺は」

 まったく、笹川が俺なんかに告白するわけ無いだろうが。


はい、リミッター解除です。そういうわけで、第百話、今日中に更新します。よろしくお願いいたします。ああ、余談ですがディスプレイをアマゾン○で頼みました。三月二十四日水曜、二十一時三十三分雨月。

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