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第九十五話◆:笹川のお家

第九十五話

 中間テストが散々だったのは俺が停学を喰らっていたためであり、俺の学習能力などなどが著しく低いというわけではないと信じたい。

 ともかく、終わったことに関してとやかく言うのはあまりよくない。次回のテストでいい点数を採れば借金帳消しちゃらちゃらばいばいということなのだ。要約するに、次でがんばればいいということなのである。

 お隣の笹川栞先生は国語が満点だった。当然だといわんばかりの表情で、俺のテストの成績をちら見した挙句に鼻で笑いやがった。

「はっ、笑うがいいさ。次のテストで笹川を超えるから問題なんて一切ないぜ」

「……雨乃にできるわけないでしょ」

「やってみないとわからんぜよ」

「……どうだか」



―――――――――



 珍しく笹川と下校していると前のほうから三人の不良っぽい生徒が歩いてきた。あ、あの人たちどこかで見たことあるな……何処だっけ。

「お前……」

 向こうも俺に気がついたらしい。まだ、俺は誰だったのか思い出せない。

「どなたでしたっけ」

「……ん、そういえば……」

 三人とも首をかしげて俺を見ている。

「だけどな、お前に何かされたことがあるのは覚えているぜ」

 三人いるのに結局、俺のことを思い出せなかったようだ。殴りかかってきたとき、俺の隣にいた笹川は機敏に反応した。

「ぐはっ」

「げはっ」

「あひゃんっ」

 鼻面、鳩尾、股間に一撃を叩き込んだというわけである。すばらしい手際だったな。

「雨乃、行くわよ」

 そういって笹川は走り始めた。

「え、あ、ああ……」

 とりあえず、両手を合わせておく。これ以上面倒ごとに巻き込まれるのも嫌だからだ。誰しも面倒ごとに好き好んで近づいたりはしないだろう。

「言い忘れてたけどな、ありがとよ」

 先ほどの三人組が見えなくなったところでそういった。

「当然のことをしたまでよ」

「でも、それでお前が面倒ごとに巻き込まれるのは勘弁してくれ……って、俺が悪いから面倒ごとに巻き込まれるんだろうな……悪い」

「変なこと言わないで」

 その後、なんとなく笹川の家まで来てしまった。

「……」

「何ぼさっと突っ立ってるの。行くわよ」

「え、いいのかよ」

「……今日は多分、兄さんがいると思うわ」

「そうなんだ」

 真先輩の姿がついつい頭の中で演説を行っていた。

「立てよっ、国民っ」

 そんな演説を今日も聴くのだろうか。

「さ、行くわよ」

「あ、ああ……」



――――――――



 本の森はあの時と変わらず俺を出迎えてくれていた。何処かに出張にでも行っているのか猫の姿は見当たらない。

「いやぁ、栞が零一君を連れてくるなんて実に珍しいことだね。正直、失礼だとは思うけど初めてなんじゃあないのかな。第一、君を此処に招いたのはうちの猫だ。どう考えても人間ではなく、なかなかいないのではないかとぼくは思うんだ。若干、というか、ぜんぜん現実味がなくなってくるけれどこれは妖精や幽霊に導かれるのと同じくらい凄いことだと思われるね、それに……」

「其処までにして、大人しく部屋に戻ってよ」

 自分の兄貴を押し出して部屋の扉を閉める。

「……」

「ん、何か読みたい本でもあったの」

「いや、そうじゃなくて……あの写真、此処に飾ってるんだなぁってな」

 写真の中では微妙な表情をしている俺に首輪がつけられていた。その隣では女王様が微笑んでいる。

 変な写真。

「……まぁ、捨てるに捨てられなくて」

「ふぅん……」

「雨乃はどうしてるの」

「ああ、写真か……そうだな、アルバムに大人しく収まってるぜ」

 出来ればこれ以上見たくないというのが素直な気持ちだけどな。まぁ、そうはいかないのであろう。今日もまた見ちゃったし。

 その後は特に何もなく、隣から聞こえてくる長い長い演説に耳を傾けながら笹川と話をして家に帰ることにした。



 笹川が、俺のケータイに電話をしてきたのはその日の夜のことだった。


さぁさぁさぁ、じゃんじゃん行きましょう。実際、じゃんじゃん行っていないのは気にしないでください。最近、後書きがもう私事に完全につかわれている気がして誰からから怒られそうだったので今回からは真面目にやろうと思います。これはなんとなくです。はい、笹川栞のご登場です。ヒロイン候補筆頭生ですね。彼女はツンデレではなく、ツンツンです。最後まで、ツンツンで押し通せるかは不明なのですがツンツンでがんばってもらいましょう。最近、クーデレがどうのこうのと……クーデレって何ですか、どなたがご存知の先生はどうかご教授お願いします。クー・フリンがデレることなのでしょうか……想像できない。クーデター……いや、違うな……なんだろ。まぁ、さっぱりですね。さて、ようやく第九十五話です。この小説が面白いかどうかはさっぱりわかりませんがここまでやってきたというわけです。面白いの?と聞かれた場合はこう答えます。さぁ、わからない。信じていればいずれは黒も白に見えるようになります。三月二十四日水曜、二十時五十三分雨月。

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