第九十話◆:初めての停学
第九十話
『雨乃、停学になったって本当なの』
電話があった。相手は笹川だ。いつもと違う口調。心配してくれているのだろうか……いや、そんなわけないな。
「ああ、本当だ」
『何で』
「……何でだろうな、わからねぇ」
気がついたら停学になっていたというわけである。人生というのは何が起こるのか本当、わからないね。
『あの湯野花って奴が原因よね』
問いかけではなく、それは確認。きっと、笹川は湯野花さんに何かをするつもりだ。それがどういったものかは想像したくなかった。
「やめとけよ、お前何かするつもりだろ」
『……』
「その気持ちだけありがたく受け取っておくから笹川は……」
『あれがそんなに大切なの』
怖い声音……全く理解が出来ず、蔑むような感じの声だった。
「違うよ、大切だとかそうじゃない。お前が俺と同じように停学とかなったら大変だろ。俺が学校戻ってお前が隣にいなかったら寂しいぞ、俺は」
『……』
「それにな、俺に乱暴するのは一向に構わんが他のやつには手をあげるな。殴るんなら俺を殴れ……約束してくれ、友達として」
『……雨乃がそれでいいなら』
しぶしぶといった調子で頷いてくれる。まぁ、約束を破ることはないだろうから安心していいだろう。先に言っておくが、出来るだけ俺も殴られたくは無い。殴られて喜ぶという変わった人間ではないからだ。
「よし、聞き分けがよくて本当助かるわ。それよりさ、何か読むものでも貸してくれないか。ほら、停学だし、一応自宅で勉強はしてるけど暇になるんだよ。お前本読んでるから何か面白い奴知ってるだろ」
『わかった、今日持ってくるから』
「いや、別に今日じゃなくてもいいぜ……それじゃあな」
『うん、またいつか学校で』
一ヵ月後のことなのにそういわれると明日のことだと思ってしまう。今日もついつい夏服の袖に手を通してしまったが脱いだというちょっとした勘違いがあったのだ。
『全く、ゼロワン様は何一つとして悪いことはしていないのにどうしてなんでしょうねぇ』
携帯電話のディスプレイには困った表情をしているゼロツーがいる。今更だがこいつがいたんだなぁ。完全に、その存在自体を忘れていた。
「お前に勉強させろ的な事を爺さんは言っていたがどんなことを勉強させればいいのかさっぱりわからんぞ」
そういうとゼロツーはディスプレイ上で天使のような翼を広げさせる。
『教科書などを私に一度でも見せれば覚えますよ』
「え、そりゃ凄いな」
『すでに一般常識は知っています。あ、先に言っておきますがカンニングなどには絶対に使用しないでください。使用した場合はダニエル様が忍装束とやらを身に纏ってしまいますから』
「……命はまだ惜しいからな。肝に銘じておく」
意外と不正とか許さないタイプなのかよ。まだ、認めたわけではないのだが、忍者というのは不正をするために存在するのではないのだろうか。
そんな時、着信音が鳴り響いた。ディスプレイ上のゼロツーが受話器をとっている。
『お、若造か』
『ダニエル様ですか……ゼロワン様はすぐ近くにいますよ』
『それなら家に来て欲しいと伝えてくれ。おっと、今は学校があっている時間帯だったな……放課後、ニアの家に来るようにと伝えておいてくれよ』
『了解しました』
いや、俺ここにいるんだから別に……ゼロツーが対応しなくてもいいのではないだろうか。
『そういうことですのでこれから参りましょう。自宅謹慎とはいえ、ゼロワン様のことを見張っている方はいないと思われます、でも、自己責任でお願いしますね』
「お前って意外と横着なのな」
『ゼロワン様、失礼ながら私はお前ではなく、ゼロツーです』
「……ゼロツーって意外と横着なのな」
『ゼロワン様、残念ながら横着という言葉を私はまだ知りません』
「……」
全く、作った奴の顔を見てみたい。何でこうも反抗的なのだろうか……
――――――――
先生に見つからないようにニアの家までやってきた。俺はそこである人物を発見した。
「あれ、ニアじゃねぇか。何でここにいるんだよ」
「ここはニアの家だぞ」
「いや、そうじゃなくて今の時間帯は学校だろ……行かなくていいのかよ」
「むぅ、ニアは今停学中だ。それより、零一だって何でこんなところにいるんだ」
首をかしげ、本当に不思議そうだった。
「零一はサボるという言葉を知らないだろう」
「馬鹿にしてるのか……まぁ、俺も停学中だ」
「そうか、おそろいだな」
嬉しそうに笑っているが……多分、こいつと俺の停学理由は絶対に違うと思うんだ。
「二人で停学だからダブル停学だな」
「や、うまいことを言えとは言ってないぞ…ところで、爺さんはどこだよ」
「ん、じーじは今研究室に閉じ篭っているぞ……一緒に行くか」
階段下の扉を開けて手招きする。まぁ、どうせ研究室に行かなければ爺さんに会えないのだろう。それならいくしかあるまい。
今日のバイトが非常に身体にこたえました。基本、十時半前には雨月は寝ているためにすでに視界が狭まってきています。以前は感想を書いていただけたら次の話を更新するといっていましたが撤回します。やめるんなら最初からやらなければいいのにとか言わないでください。若気の至りです。まぁ、溜まっていたら更新しますから安心していいですよ。感想を書いていただけたら五割以上の確率で更新すると思ってください。眠っていたら無効になりますからね。さて、いつも空振り気味に終わっている感じのする作者からの質問ですが(一部の方にはいつもお世話になっています。ありがとうございます)今回もお願いがあります。エンディングがどうのこうのといった気がしますのであの子のエンディングがみてぇよと思った方はご連絡ください。いや、終わりませんがやります。エンディングをやっちゃいます。百話前後でエンディングをやるという愚行、まだ二年生にもなっていませんがエンディングはどうよと思うかもしれませんがやりますとも、ええ、やってみせますやりとげます。寝る前なのでめちゃくちゃいって夢の中で読者様に頭を下げて朝起きたら忘れています……といったことがおきないように努力の汗を流したいと思います。もう、寝ますけどね。ああ、エンディングで『笹川栞をヤンデレみたいにして欲しい』とか『笹川栞を生徒会長にしてほしい』とかでも大丈夫です。『雨乃零一を宇宙に打ち上げて欲しい』や『地底怪獣と対決させて欲しい』はさすがに難しいです。一応、この小説では『魔法や幽霊、非常識的なものは駄目』ということになっていたりします。あ、勿論『ゼロツー』は今のところ大丈夫です。ニアは忍者ではありませんのでセーフです。この小説にはいきなり美少女がふってきたりはしないでしょう。金髪が出てくることはあるかもしれませんが絵にかいたような金髪ロリっ娘は出てきません。それならスーツ姿の長髪姉ちゃん出してくれと作者は心の底から願います。あ、年上でロリみたいな姉ちゃんは遠慮します。雨月の姉はそんなのです。最後に叫ばせてください。眠いんですからいえます。普通の雨月は言いません。『どうして世界はこうもうまくいかないんだよ~』。はい、すっきりしました。今日の後書きは結構がんばったほうですかね。ああ、一度、後書き選手権ってやったらおもしろいかもしれませんね。小説は面白くないが、あの作者の後書きを読むのは好きだとかそういった感じのやつです。そういえば、前々から思っていたことをここについでに書いておくとしましょう。オタクの認識って本当、人それぞれですね。バイトの後輩が今日、『以前付き合っていた彼女がゲームを持っている自分のことをオタクだと思った』そうで、その後、別れたそうなのです。うん、その人はいたって普通の人。バンドのヴォーカルをやっているような人です。いやぁ、本当、オタクって人それぞれですわ。若干ガンダ○オタク気味の(人は雨月のことをたまにオタクみたいだというが、まだまだ、オタクになりきれていない)雨月がある日、プラモデルを買いに行ったときに一人でぶつぶつ行っている年上と思われるちょっと太目の御仁を発見。ぶつぶつ言っているわけだが、何を言っているのかは不明。そして、次の瞬間……目が会いました。きっと危ない人だと思って急いで目をそらし、別の場所へと移動。その後、またもや遭遇。先ほどみたいにまたもぶつぶつ言いながら近づいてくるのです。お、恐ろしい……勝手に身の危険を覚えて逃げました。雨月の知り合いにもオタクはいますよ。ええ、どれもいいオタクです。周りの人関係なく、電車の中でもばりばり、知らないアニメの話を永遠と聞かせてくれます。次の駅で降りないといけないんだといってもまだ、親切に話してくれるぐらいのいい人です。もう一つ、思い出しました。姉から子の前『何処からがオタクなのか』と聞かれました。心の中で言いました。『大丈夫、男が男を後ろから抱きしめているような小説を持っている姉ちゃんは一般人から見たらオタクだよ』と。多分、腐女子というやつでしょう。いや、それはおいておくとして実際は何処からが境界線なのか微妙です。『ガン○ムが好きな男の子』はアウトだという気がしますが『DBが好きな男の子』はセーフという気がします。まぁ、人それぞれの偏見でその人物がオタクかどうか違うものです。雨月が通っていた高校は『オタクはご法度』という高校だったためにガンダ○大好きがばれないように『隠オタ』やっていました。以前から知っている友人もいましたが雨月がガンダ○大好きだということをばらさずにスルーしてくれました。ええ、彼は今、オタクとなってしまい……何処に行ったんでしょう。気がついたら雨月よりれっきとしたオタクになってしまって何故だかあせった気がします。まぁ、所詮はガンダ○以外よくわからない人間ですので仕方ありません。突然ですが話は変わります。以前、従姉妹と一緒に長家を飲みました。ペースが速くて、相手は雨月の二倍のスピード。お酒に飲まれてしまい、先日、おばさんに会ったところ『あの時は顔が青白くなっていて見ていて可哀想だった』といわれました。雨月は酒に弱いです。チューハイの缶、半分で顔が真っ赤になります。はい、先に言っておきましょう。お酒は二十歳になってからです。話は戻りますが青白くなった雨月はトイレに行きました。そして、用を足し終えた瞬間、倒れました。誰かが名前を呼ぶ気がして目を覚ましたら……トイレで倒れていたということです。生まれて初めて倒れたのが酒かよ……とはまぁ、情けのない話ですが急性アルコール中毒、よい子のみんなは気をつけましょう。酒と美人は遠くから見るだけで充分だ。二十歳になったら気をつけようと心に決めました。さて、最後になりましたがいずれ、雨乃零一には変化が訪れます。一歩間違えればシリアスになりかねない(書く人が書いたらシリアス、雨月がかいたら失敗)物なのですが、彼ならがんばってくれることでしょう。生まれて初めてこんなに長い後書きを書いた気がします。もう、目の前が殆ど脳みそで認識されていないに違いありません。いや、文字を打てているのだから大丈夫なのかどうなのか……今の雨月に出来る判断はこれだけです。イエスorはい。三月二十二日月曜、二十一時五十一分雨月。