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第八十一話◆:他の方の意見を聞いてみましょう

第八十一話

「あのぅ、よくわからなかったんですけど」

 一人首をかしげる澤田のために、俺はケータイを取り出した。確かに、あれだけでは意味がない。

 もう、そこでオレンジジュースを口に含んでいる笹川なんて気にしちゃいけない、意見を聞いちゃいけない。

「安心しろ、まだゲストは終わっちゃいないからな」

 今度はまともな人間を呼ぶことにした。それに、澤田が知っていたほうが何かと都合がいいだろう。

 俺が呼んだのは湯野花さんだ。この人ならばきっといい答えを導き出してくれるに違いない。一度、俺からの電話をきったが、しつこく何度もかけたら観念したかのように応じてくれた。人間、諦めが早いとあまりいいことはないな。

「なるほど、告白されたんですか」

「ええ、そうなんです。朱莉さん……どうしたらいいんでしょう」

「まずは相手の素性をはっきりとさせることです」

「え、そ、それはわかってます。隣のクラスの……」

「そういうことじゃないです」

 澤田の言葉をさえぎって彼女は続ける。ちょっとだけ、嫌な予感がしてきた。

「まずは簡単に相手の家を調べ上げ、次に父親の職場を調べ上げて会社でどの程度の地位を持つ人なのか、お小遣いはどのくらいか、休日はどういったことをするのか、一週間のうちに何処に行き、何をして、どういったことに笑みを浮かべ、部屋はあるのか、綺麗好きなのか」

「はいはいはい、そこまで……澤田、今のは悪夢だ、お前の見ていた悪夢だから気にするなよ。其処のおねえさ~んっ、オレンジジュースくださいっ」



―――――――



 全く、湯野花さんのことを普通の女子高生だと思ったやつはどこのどいつだ。乱暴なイメージの笹川よりも警察にお世話になっているような女子だぞっ。

「あの、零一先輩……」

「ん、ああ、気にするな。まだ俺の友達で告白された奴はいるからな」

 不安そうな澤田に内心の焦りを気づかれないように俺はつとめて冷静に笑ってやった。

「次に呼ぶ奴は信頼できる奴だからな……」

 ニアはまだケータイを持っていないためにどうしようもないので自宅に電話。すぐに来ると答えてくれた。

「ふんふん、なるほど……告白されたんだな」

「そうです……あの、ニア先輩……は、告白されたとき、どうしましたか」

「ニアか……ニアはな……連続コンボにはめて、倒したぞ」

「は、倒した……」

 しししししししししまったっ。この馬鹿は満をコンボでぼこぼこにしたんだったっ。ついこの間のことだったのに忘れてしまっていた俺も馬鹿だっ。

「うん、まずは相手を宙に浮かせて……」

「必殺技の伝授なんてしなくていいからなっ」

「失礼だな、零一。ニアは男をしっかりさせるために……」

「もういいっ、其処に座ってジュースでも飲んでなさいっ」

「わーい、ジュースだジュースだ」

 いつの間にか近くにやってきていたウェイトレスのお姉さんにオレンジジュースを一つ注文した。



――――――――



「全く……澤田、悪いが次が最後だ。まぁ、こういっちゃあ何だが、次の奴が一番普通だ」

「あ、佳奈先輩ですよね」

「ああ、そうだ」

 もはやあのペーターをここに光臨させるしかいい方法は思いつかなかった。

 佳奈を呼び出して澤田に向かわせた。

「なるほどねぇ、夏樹ちゃんも告白されるんだ」

「そうなんです。私みたいな地味な子が告白されるなんて……その、思わなくて」

「そうかなぁ、俺だったら普通に可愛いって思うけどなぁ……ん、何だみんなして人を犯罪者でも見るような目で見やがって」

「ともかく、夏樹ちゃんの好きなようにすればいいんじゃないかな……ん、どうかしたの、夏樹ちゃん」

 澤田はぼーっと俺を見ていたのだが佳奈の声で急いでそっちのほうへと視線を動かした。

「あ、はい。私の……私の気持ちに素直になって答えたいと思います。佳奈さん、他の皆さん……今日はありがとうございました」

 全く、澤田って本当にいい子だよなぁ……

「零一、夏樹ちゃんを見る目が危ないわよ」

「おいおい、だから俺を犯罪者でも見るような目で見るんじゃねぇよ」

「そうよねぇ、零一ってばすぐ鼻血出すし」

「……零一君、それってどういう……」

「雨乃、変態ね」

「零一……後で注射をさしてやろうか」

 災難だ、その一言に尽きるといわせてもらおう。



―――――――



 深夜、電話が鳴り響いた。

「んを、どうかしたか……澤田」

『あ、わかりましたか』

「当たり前だ……で、この前の告白騒動はどうなった」

『無事、フリましたっ』

 少しだけ間があいて、その後こう言われた。

『……あの、先輩……待っていてくださいね。あ、あ、わ、私何言ってるんだろ』

 慌てたように通話が切れ、ツーツーという音だけが俺の耳朶に残る。

「……はて、待っていてくださいってなんだろうな」

 眠たい頭で考えていてもしょうがない。俺はまた、布団にはいって眠ることにした。

 今日は、しっかりと眠ることが出来た。


ええ、もう、ね、約束どおりと相成るわけですよ。特にこれといって何かを言う必要も無いんじゃないかなぁと……そういえば、モンハンサード出るそうですね。いやぁ、知らなかった。そうだなぁ、他には何か……うぅん、ああ、そうだ、そうだった……笹川がやたらと強いような表現がされていて小説の話だろと思っている方がいるかもしれませんが実際に空手の有段者の方とかとやってみればわかります。勝てません、ええ、勝てませんとも。やるときは自己責任でやってください。作者雨月は剣道部での実力者に挑んでみましたがこちらの攻撃が一切当たりませんでした。当たりそうなのに当たらず、避けられ、気がついたときには背後にいて……やられました。戦国時代に生きていたら多分、死んでいただろうなぁ……三月十六日火曜、十九時四十二分雨月。

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