第八十話◆:深夜の電話はあの子から
第八十話
『た、助けてください、零一先輩っ』
深夜、そんな電話がかかってきた。俺は眠っていたのだが、起こされたというわけなのだ。
「何さ、どなた」
『もう忘れちゃったんですかっ。後輩です』
「……俺、高校一年生だもん。後輩なんていないし」
前いた場所でも後輩なんて一切いなかったし。
『澤田ですよ、澤田。澤田夏樹です』
「………ああ、澤田ね」
脳内には誰だったかなぁといまだに探している俺がいたりする。深夜にかかってくる電話って本当、性質が悪くて面倒で眠くて……ふぁっ。
『寝ないでくださいっ』
「……寝てねぇよ。で、何だよ。何が大変なんだよ」
『誘拐されちゃったんですっ』
目が一発で覚めた。
「……おい、そんなに大声で喋っていいのかよ。いいか、あんまり逆らったりするなよ、澤田。犯人の言うことを素直に聞いていないとお前……」
『やっと、目が覚めたんですね。よかったですよ』
「……」
ああ、以前はとても聞き分けのいい子だったのに。きっと、湯野花さん辺りが悪いことをしこたま教え込んだに違いない。そうでなければあの澤田が俺に対して嘘をつくなんてぶつぶつ……
「で、本当はどうしたんだよ」
『実は、告白されちゃったんです。どうすればいいんですかっ』
「……あのよぉ、今何時だと思ってるんだよ。明日日曜だろ、そうしたらちゃんと話を聞いてやるからよ……」
『じゃあ、朝の八時にまた連絡します』
そういって一方的な用事を言いつけると切れた。
「……俺にもし、妹がいたら聞き分けのいい子がいいな」
夜中に一度おきてしまうとなかなか寝付けず、俺は澤田のことをのろった。
―――――――
『じゃあ、零一先輩、今から駅前の喫茶店に来てくださいね』
がちゃりとそのまま切られた。おはようとも言ってくれなかったな……がっかりだ。まだ朝食を食べていなかったので慌てて押し込み、お茶で飲み込む。まぁ、可愛いかはおいておくとして後輩の頼みだ。たまには聞いてやらねばいかんだろう。
「何処に行くのよ」
「ちょっと、後輩のところにな」
ふーんと言ってくる佳奈を残して俺は靴に足を滑り込ませるのだった。
―――――――
「で、その告白してきた相手は何だ。何処のやつだ」
「あの、こ、告白に対してどうやって対応したらいいんですか」
これまた、不思議なことを聞く小娘だ。というか、俺だって告白されたことなんて一度もないからそんなの、わかるわけがない。
「ちょっと待て、今……俺より頼りがいのある……女子を呼んでやるよ」
ケータイを取り出して笹川の番号をプッシュ。なだめすかしてようやく来てもらえた。
「……で、何」
「この子がな、告白されたそうなんだ」
「そ、そうなんです」
怖そうに笹川を見ている。そして、笹川も澤田のことを睨みつけているような感じだった。これは怖いな。
「澤田、この笹川はな、俺のクラスメートの殆どが告白するほど人気なんだぜ。だからよ、すでに三十以上という告白タイムを経験している」
「す、すごいですねっ」
「そうだろう、凄いだろ」
「零一先輩もふられた一人ですね」
「いや、俺は告白してないぞ」
「ええ、何でですか」
「何でって……おい、話がずれてるぜ。笹川、恋の悩みを解決してやってくれ」
「……写真よ」
「「え」」
唐突にそういわれた。俺も澤田も勿論わけがわからないために聞き返すが、俺はその後にすぐわかって笹川の口を閉ざした。
「ははは、ありがとう、笹川。お前の意見はとても参考になった。そういうわけで、此処に座って……そこのお姉さん、オレンジジュースを一つくださいっ」
俺は両手を振りたくりながらウェイトレスのお姉さんを呼ぶのであった。
感想もらったら嬉しくなって投稿するという思考回路が若干単細胞と変わらない雨月です。小説一日中書き続けるとか開始一時間でネタ切れです。喉は痛いし鼻水止まらない……風邪かな。まぁ、そんなことはいいんです。ここ四年間、本格的に風邪をひいたことはないので大丈夫でしょう。そんなことより第二回目の笹川長編を書き始めました。正直、手詰まり状態ってわけなのです。MHってわけじゃないけど、少しぐらいは人気があるでしょう。気がついてみたら八十話どういうことでしょうか、一日二回以上更新してきたってことになりますかね、いや、まぁ、そうか。そういえば、ジンクスにスプレーかけてみました。つやを出してみたというわけですが変にテカッってまぁ、いいか。最後に、この小説はきちんと読まれているのか……いや、ちゃんと読んでくれている方がいるのはわかっていますっ。いつもありがとうございますっ。読者がいるというのは非常に嬉しいことですっ。うんっ、なんだか言うタイミングがずれてしまったので今度言おうと思います。感想をもらった日には出来るだけ二回目の投稿をしたいと思います。勿論、気がつかなかったら意味が無いですけどね。三月十六日火曜、銃六時十二分雨月。