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第七十六話◆:湯野花さんが興味を持った事

第七十六話

 休み時間、背後から声がした。気配がしていたから驚くことはない。

「どうしたんだよ、湯野花さん」

「いえ、ちょっと聞きたいことが」

 手がおいでおいでをしている。そっちに行ったら襲われるって事はないよなぁ。まぁ、大丈夫だろう。

「で、何さ」

「ちょっと教えて欲しいことがあるんですよ。今朝集団登校になったじゃないですか」

 しばしの間、思い出を反芻する。

「ああ、そうだな。それがどうした」

「あの時いた女子のことを教えてほしいんですよ」

「……気になるなら自分で調べたほうが早いんじゃないのか。ほら、俺から聞いたらその人の視点からってわけだから客観的な……」

「いえ、それじゃあ意味がないんですよ。それに、調べている途中ですし、客観的な意見はすでに頂いています」

「佳奈……についてもか」

「ええ、お願いします。佳奈から笹川栞、ニア・D・ロード、そして……湯野花朱莉、あたしについてもお願いします」

「……おいおい、何で湯野花さんについてまで……」

「自分の評判っていうやつを聞いてみたいじゃないですか。御礼はします」

「……まぁ、いいけどよ」

 これも一つの自分探しなのだろうか。ともかく、何かと湯野花さんにはお世話になっている……かどうかはさておき、聞かれたならば答えるしかないだろう。

「佳奈についてだな……ちょっとだらしないところがあるなぁ。部屋は汚いしそれに」

「ちょっと待ってください」

 せっかく、佳奈についての愚痴を永遠と、それこそ放課後になるまでしてやろうと思っていたのにスタートからこけてしまった。

「何だよ、せっかく……」

 そこで押し黙ってしまう。ぎりぎりまで湯野花さんの顔が迫っており、目が見開かれている。ひぃっ、そんなに近寄ると……こ、こわっ。

「……佳奈の、部屋に入ったことがあるんですか」

「あ、ああ……たまにって言うか、大体一ヶ月に一回ぐらいは俺が掃除してるから…」

「へぇ、掃除までしているんですかぁ……あの佳奈がぁ……まぁ、いいです、続けてください」

 な、なんだか今日の湯野花さんは怖いな。変な迫力があるぞ……よ、よし、これからはスタートダッシュをかけるしかない。

「そ、それとだな、飯がまずいだのどうのこうの……」

「ちょっと待ってくださいっ」

「え、こ、今度は……なんだよ」

 またもやずずいと顔を近づけられる。ち、近い……

「零一君は佳奈にご飯まで作ってあげているんですかっ」

「ま、まぁ、休日のときだけだけどな。佳奈の両親がいないときに……あいつ、料理が出来ないから」

「以前、あたしの家に来て夕飯作ってくれましたよね。あれ、結構おいしかったですけど」

「ああ、あれと大して変わらない味なんだと思ったんだけどなぁ……こればっかりはわからねぇ。それからずっと料理本を紐解く毎日だ」

「……話を続けてください」

「そ、そうか……」

 三度目の正直。こうなったら佳奈のおかしさを少しだけアピールさせてどうにかしてもらおう。あいつも俺の言うことではなく友人の言うことなら素直に聞いてくれるだろう。ましてや、女子だし。

「聞いてくれよ、湯野花さん……佳奈のやつ、たまに風呂上りにわざと下着で……」

「下着で、何ですか」

 其処には、般若の面をしたおっそろしい方が腕組みをしていらっしゃった。こ、この程度で負けては駄目だ、雨乃零一っ。しっかりしろ、そうしなければ佳奈のあの横暴はこれから先も続けられるぞっ。

「し、下着で出てきてニヤニヤしてるんだ。どうにかしてくれ」

「……変態っ」



ぱしんっ



「……」

「次、笹川栞について教えてください」

「……はい」

 今日の湯野花さんは虫の居所が悪いようだ。左頬に紅葉を貼り付けながら俺はため息をついた。

 その後、二人のことを聞かれたので俺が思っていることを話すと湯野花さんの眉毛が斜になっていく。機嫌がよくないようだ。

「で、あたしについてはどうですか」

「湯野花さんについてかぁ……」

「零一君の考えていることを素直に言ってください。冷静に受け止めますから」

「そっか、それなら仕方ないな」



―――――――



「零一……僕はこれから決戦に臨むよ。ん、その両頬の手形はどうしたんだい」

「……湯野花さんにやられた」

「ははぁ、それは残念だったね。告白してそうされちゃったんだろ」

 見ててよ、僕は彼女の彼氏になって見せるから……そういって出て行った満がすぐに帰ってくる。

「……零一、伝言を預かったよ」

「何だよ」

「湯野花さんがね、『女の子に向かって変な人とはなんだっ』って言っておいてくれってさ」

「…」

 理不尽だ。そして、満の両頬に真っ赤な紅葉が張り付いているのは何でだろう。

「三度目の正直なんて……ウソなんだよ」

「そうだよな、俺も今日、それを身を持って体験したよ」

 満としっかりと握手し、友情を深め合ったりした。


今日はホワイトデーでしたねぇ。いや、家に帰り着くまでまったく知りませんでしたよ。どうせ、チョコなんて親戚のおばちゃんのものと姉ちゃんのチョコしかもらっていないから……踏み倒しますか。まぁ、それはともかくメガネを新調しました。小説が第九十話までたまりました。バイトが残業でした。今日はいい夢を見ることが出来たらいいなと思いました。ましたましたのいいわけです。さて、以前も言ったとおり重ねて雨乃零一がどのような人物であるかをメッセージで送って欲しいと思います。毎回お世話になっている方からはメッセージをいただきました。この場を借りて先にお礼を述べておこうと思います。ありがとうございました。もう一つ、何か雨月に一言言いたいときがあったらお気軽にメッセージをご使用ください。自分が書いた小説を読んでくれぇとか、愚痴を聞いてくれぇとかそんなので構いません。え、何でこんなことをいっているかって……今日がホワイトデーだからです。三月十四日日曜、二十時二十六分雨月。

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