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第七話◆:逃げるに逃げれない。

第七話

 転校二日目、いまだに俺の周りには友達がたくさん……とは言わないが、いてくれる。いやぁ、転校って意外と良いかもしれないね。

 授業の鐘が鳴り、友達となったクラスメートが去っていく。

「……転校生君、昨日のこといってないわよね」

「言ってません」

 隣を見ることなく、喋る。きっと、いや、絶対、隣にいるのは蛇だ。哀れな蛙を食べようとその隙を狙っている。

「…笹川栞様が鬼か、魔王のどっちかの生まれ変わりなんて誰にも言ってませんから。安心して授業を受けてください」

「ん、よろしい」

 うわ、もう、あれだよ。爆弾が隣にいるじゃん。怖いよ、怖いよ、いつ爆発するかわからないし……

「ん……鬼、魔王……転校生君、次の休み時間覚えてなさいよ」

「いえっ、忘れますっ」



――――――――



「きり~つ、れいっ」

 ありがとうございました~という間延びした声が終わった後に、俺はそれとなく立ちあがる。

「さぁてと、ちょっとトイレにでも……」

「逃がさないわよ」

 まるで猫を掴むようにして俺を掴む。おいおい、俺は猫じゃないんだぞ……

「ちょっと、お話しましょうよ」

「え、あ、あはは……」

 うっわぁ、満面の笑みを浮かべらぁ……笑顔が素敵ですね、そういったら許してくれるだろうか……。

「お、うらやましいねぇ、早速笹川さんに目をつけたのか」

 友人の一人がニヤニヤしてこっちを見ている。

「吉田、吉田満っ……た、助けてぇっ」

「嬉しくて泣いてる、がんばれよっ」

 ち、違うんだぁ、そういう仲じゃないんだよぉ……手足をばたばたと動かしても俺の腕力では笹川栞に勝てることもなく……

「い、いやぁぁぁん」

 そんな俺の声が校舎中に響き渡るのだった。



―――――――



 傷は男の勲章さ……、ああ、確かにそうかもしれない。けどな、ちょっと傷が多すぎるというのも問題かもしれない。

「うわ、その顔どうしたんだ……」

 友人、満が心配そうに、というよりも面白そうに、愉快そうに俺を見ている。

「……階段から転げ落ちたって言うことにしてくれ」

 隣にはちゃんと監視員がいるために本当のことは言えない。

「本当にね、残念よ。せっかくわたしがいいところに案内してあげようと思ったのにね」

 にこっと微笑むその顔が怖い。ああ、俺もこんな風に真顔で嘘をつけたら良いのになぁ。世の中そううまくはいかねぇか。

 そんな何処にでもあるような話をしていると(ちょっとありえねぇか)乱暴に教室の扉が開けられた。

「ここに、笹川栞ってやつと転校してきた雨乃零一っているだろうっ」

「……」

 クラス中がしーんとなった。廊下にいたのは身長二メートルほどのスキンヘッドの上級生と思しき男子生徒。あらまぁ、山が人間になったような顔に身体をしていらっしゃる。

「お前らだな…ちょっと用事があるから屋上まで来てくれや」

 そういって扉が乱暴に再び閉められる。

「ねぇ、あれって暴力事件起こしてたここの番長じゃないかしら」

「そうだよなぁ、何であの二人なんだろ…」

「あ、きっと喧嘩して相手をぼこぼこにしちゃったのよ。ほら、雨乃君の制服汚れてるし」

「なるほど~」

 納得しないで、これはまったく関係ない相手からぼろぼろにされたんですよっ。

「いやだぁ、満、変わってくれっ」

「それは……無理だ。指名を受けたのは君だからね」

 にこっと笑って親指を地面に向ける。ああ、笹川栞を追跡なんてしなけりゃよかった。

「さ、呼ばれたんだから行くわよ」

「えぇ、そりゃないよぉ。だって、だって、というか……なんで俺の名前まで……ちょっと、気安く触らないでよっ。怒るわよ、ぷんぷんっ」

 そんな抵抗むなしく、つかまれて引きずられていく。

「後生じゃあ、嫌じゃあ俺はまだ、いきたくないっ」



→逃走。


 覚悟をきめる。


逃げようとしたけど、逃げることが出来なかった。よくありますよ、ええ。雨月もありますよ。どっちかを選ばなければいけないのに逃げてしまったり、約束していたのをすっぽかしたりします。人間として最低ですが、そのおかげで人間のいろいろな表情を見ることが出来ます。怒った顔、とっても怒った顔……種類がとても多彩ですね。先日、小説をどうやったらうまく書けるかどうか自分なりに勉強してみましたが駄目ですね、なかなかうまくいきません。頑張りが結果に反映されると思っている方は努力家ですよ。えらいです。その頑張りをぜひとも雨月に分けてもらいたいものですね。二月一日月曜、十六時二十五分雨月。

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