表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
67/290

第六十七話◆:知る者、知らぬ者

第六十七話

 今日も平和に学校が終わったある日、ケータイに新着メールがやってきていた。確認するとどうやら湯野花さんからで、仕事の依頼が入ったとのことである。メールの内容を確認するところによると少し遅くなってしまいそうなので先に佳奈にメールをしておくことにした。佳奈が俺の世話をいろいろと焼いてくれるために帰りが部活をしている佳奈よりも遅くなるとメールが来るのである。もしも、そのメールを無視した場合は何十件と送ってくるというストーカーより性質が悪くなるのだ。素早く今日は遅くなると送信すると、何を思ったのか『朱莉と一緒なら……私も一緒に行く』と返ってきていた。

 まぁ、別に構わないだろうということで湯野花さんに会う前に下駄箱で待ち合わせをしていると佳奈がやってくる前に湯野花さんに出会った。だが……ちょっと彼女の様子がおかしかった。

「あの、何で俺に近づいてこようとしているんだよ」

「いいじゃないですか、あたしと零一君の仲なんですから」

 じりじりと寄ってくるのである。俺を見つけたとき、いきなり抱きついてこようとしたし、胸を腕にくっつけてこようとしていたのだ。絶対に何か裏がある。そう思ってならなかった。多分、俺を無償でこき使おうという魂胆なのだろうが、そうはいかない。相手との間合いを一定に保ってぐるぐる円を描くようにして消耗戦へ。そうこうしているうちに佳奈がやってきて変な目で俺を見ている。

「あんた、何してるの」

「別に、なんだか湯野花さんがおかしいんだ。どうかしたのかよ」

 勿論、この間も相手に気を許してはいけない。あっという間に相手の思う壺だ。当たっただけなのに『故意に触ってきた』とか言われて痴漢扱いを受けてばらされたくなかったら馬車馬のように働けといわれるに違いない。

「零一君、お金って大切だって思いませんか」

 唐突にそういわれた。

「は、そりゃあ、大切だろうけどよ」

「実はあたしの家、色々と大変なんですよ。経済力の無い父を持っている所為で……しくしく……ですがね、零一君がうんと言ってくれれば玉の輿になれるんですよ」

 何の話をしているのかはさっぱりわからなかった。わかったことといえば、彼女の家はあまりお金持ちではないということと、湯野花さんは玉の輿になりたいということぐらいだ。

「ちょっと、朱莉……」

 湯野花さんが俺に話しかけたのに佳奈がこの言葉に反応した。何か事情を知っているようなのは彼女が湯野花さんの友達だからだろうか。そのまま佳奈は湯野花さんの腕をひっぱってどこかへ行ってしまう。流石に女子同士の話を盗み聞きするほど俺は野暮な奴じゃないが、どうしても聞こえてくる単語や文があった。跡継ぎがどうのこうの、今のうちに懐柔しておけばうんぬんかんぬんといったあまりよくなさそうな話が聞こえてくる。それから数分後、やつれた佳奈とにこにことした湯野花さんが戻ってくる。

「それで、どうですか…今度からあたしの家でお世話になってみませんか。あんなことやこんなことをして差し上げますよ」

 相変わらず人のよさそうな微笑を浮かべているが危なさそうだ。かもがねぎをしょってやってきたといったような表情をしているところを見ると意外とこの人、黒いな。それよりも俺は気になることがあった。

「あんなことやこんなこと……って一体なんだよ」

「それは……ご想像にお任せしますよ」

 はて、あんなことやこんなことって何だろうか。一瞬だけピンクの妄想が脳内を駆け巡るが違うだろう。それなら何だろう……ああ、あれか。帰ったら料理を作ってくれるとかそういったのか。もしくは、肩を揉んで貰ったりするのだろうか……でも、どちらも佳奈にしてもらっているから別にして欲しいとかは思わないよなぁ……前者は失敗作の味見ばかりしているし、佳奈の力が意外と強かったりで肩が逆に凝っているような気がしないでもない。

 結論は出た。

「いいや、佳奈で間に合ってるし」

「なっ……」

「え……」

 二人の顔が驚愕に染まる。特に佳奈のほうは顔を真っ赤に染めていた。何か俺は変なことを言ったのだろうか。

「それにだな、俺は佳奈の家が好きだから。家族だって言ってもらえたし」

「零一……」

 ちょっと恥ずかしいが、言ってもらえたのは本当に嬉しかった。佳奈のほうも少し照れているようだったがまぁ、いいだろう。

「くっ、すでに佳奈さんによって其処まで懐柔されていたとは……佳奈さん、あたしはちょっと貴女のことを見くびっていたようです。あんなことやこんなことをすでに零一さんと……」

 湯野花さんは親指を噛んでじっと佳奈を見ていた。もはや、俺がこの人についていくのはこの話だけは無理だろう。

「ご、誤解よっ。大体零一は下着姿で鼻血を出しちゃうぐらいなんだからっ」

「し、下着姿っ……零一さん、それは本当なんですかっ」

「え、あ、あれは事故だ、過ちだぞ。俺は別に見たくて……」

「あ、過ち……佳奈さん、詳しい話は図書館で聞きます。ちょっと来て下さい」

「え、ちょっと……」

 今日の湯野花さんは何処か変である。これ以上面倒ごとに巻き込まれないように俺は去っていく二人の背中に敬礼をしてそそくさと立ち去ったのであった。


昨日は実は休みでしたがやりかけのゲームをやっていたというわけです。ダンテ〜どうのこうのというやつで、最後までいきました。小説書いてぱぱっと十話ぐらい更新しようかとも思ったのですが、全くいいアイデア〜が浮かびませんでした。結局、買ってきていたもやしもんを1〜3まで読破。そんな日でしたね。ああ、振り返ってみてちょっと勿体ない休日のすごしかたをしてしまった気がします。次回はなんと、あの人が登場しちゃいます。いや、その次だったかな…。三月六日土曜、七時十六分雨月。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ