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第六十四話◆:世界を

第六十四話

 笹川栞、そして雨乃零一のクラスメート男子(一部女子)が栞に告白をした次の日、彼らはいつもより遅い時間帯に教室に入ってきた零一の胸倉をつかみ、囲んでいた。

「おいおいおいおいおいおいおい、お前は笹川さんに何て世界を教えているんだ」

「お前だけ笹川さんにぶたれて喜ぶとはひどいぞっ」

「笹川さんの愛の鞭は俺たちにも必要だろっ」

「……落ち着け」

「これが落ち着けるかっ。朝から栞ちゃんと一緒にきやがって」

 偶然下駄箱で一緒になった栞と教室に入ったのも零一にとってはマイナス要素の一つであった。栞は何処吹く風で自分の席に座って教科書を机の中にしまっている。

「お前ら、冤罪は一番罪深いぞ。これは勘違いという名前の悲しいすれ違いの末に起こった悲劇として扱ってやるから大人しくその包囲網を解けよ」

「いいや、そうはさせるかっ。お前の席の隣が栞ちゃんである限り俺たちは戦うぞっ」

「そうだ、先生に席替えを申し込むんだ」

「席替えだっ」

 まるで革命が起こったかのような嵐がクラスメート達を鼓舞する。その間に零一は自分の席についてため息をつくのであった。

「笹川、お前またあの写真見せたんだろ」

「……面倒だったから」

 悪ぶれた様子は一切無い。写真のことを便利な道具だと思っているようだ。まぁ、零一も写真を一つの道具と捉えているのでその考えを否定したりはしないのだが物は使いようである。



―――――――



「え~、今日の放課後席替えをするから帰らないように」

 担任教師がそう告げる。クラスメートの男子達はどうだと言わんばかりの表情を零一のほうへと向けていた。

 彼らに何の反応も見せずに零一は隣人を見やる。

「笹川、短い間だったが世話になったな」

「別に世話なんてしてないから」

「つれねぇなぁ」

 零一は回ってきた委員長から四つ折にされた小さな紙を手に取るのであった。その紙には二十二番と書かれている。栞のほうを見ると確認し終えたようでどうでもよさげに紙を机の上に乗せる。

「よし、じゃあ不正はするなよ」



―――――――



 零一は新たな場所(廊下側)でため息をついていた。前と後ろは違うクラスメート。お隣は無口で粗暴なクラスメート。

「笹川」

「何……」

「よろしくな」

「……」

 何をするでもなく、そのまま視線を前に戻す。零一も返事を期待していなかったようでそのまま同じように教壇へと視線を向けるのであった。先生の話が終わって結局、そのまま今日は解散となる。

「栞た~ん、僕と一緒に写真撮ろうっ」

「……」

 放課後になってすぐ満がカメラを持ってやってきた。すぐさま写真を撮る。

「おいおい、そういうのはちゃんと相手の……」

「じゃあね」

 それだけいって栞は席を立つのであった。



―――――――



「ああ、そういえば零一は知っているかい」

「何をだ」

 放課後、校庭の隅を歩きながら校門へと向かっている男子生徒二人組。零一と満である。あれから帰ることになったわけだがついてきてほしいとのことでこうして零一は満と一緒にいるわけなのだ。

「近くの絆公園って名前があってね、そこの噴水にツーショットの写真を沈めると……」

「彼氏彼女になれるってか」

 よくある話だな、そうつぶやいた零一に満は首を振る。

「いいや、そうじゃないんだよ。あのあの噴水に写真を沈めるとね……」

 満は絆公園にある噴水のまつわる話をし始めたのであった。


はい、今日は特別な日ですね。皆様も知っている通りこの小説の絵を描いていただいている無感の夢者さんの誕生日です、拍手!パチパチ。何歳になったかは定かではありませんがこれからも頑張ってもらいましょう。さて、笹川編も残り一話分。明日になれば投稿されるかもしれないので待っていてください。三月三日水曜、七時二十三分雨月。

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