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第五十八話◆:本棚の森で探して

第五十八話

 夏休みもとっくの昔に八月に入り、中間ほど。そんなある日、俺は笹川家にお呼び出しを喰らった。何故か、というか、知り合いだったのか満も其処にいたりする。

「やぁやぁ、これはこれはしばらくだったね。実は今日、君たち二人に手伝ってもらいたいことがあるんだ。ああ、安心していいけど勉強の件じゃないから。君たちはまだ高校一年生だからね。ぼくは君たちの年上に当たってしまうからまだ、内容が違うからきっと解くことはできないだろう。しかしね、世の中には例外というものがあって隣町の高校には飛び級して、いまや外国の高校に留学している女の子が二人もいるそうだ。もしかしたら君たち二人も飛び級出来るかもしれない頭脳を……持っているのかもしれないね。だけど、今回はそういった頭脳じゃなくて探し物をしてほしいんだ。しかも、難易度がかなり高いものでねぇ……」

 まぁ、その後も色々と話しが続くのだが日本の景気の話に傾いた後に昨今のアニメの話でしめるという相変わらずの凄さだった。暑さで猫が丸くなるのを却下して走り去っていった。

「ともかく、妹の栞の本棚においてあるエロ本を持ってきて欲しいんだ」

「……」

「了解しました、お兄様」

 満はやる気満々だった。まぁ、俺も本棚においてあるエロ本をとってくるぐらいならいいだろう。そう思って承諾したわけだが……

「すごいっすね、本棚」

「ああ、二十個以上はあるね」

 本棚を数えるのが『個』であっているのかどうかは置いておくとして、この数は以上だった。本棚に隠れるようにしてタンスや質素な机が置かれており、本棚の上に布団がおいてあるという異空間といっても差し支えの無い部屋だ。

「で、エロ本はどこの本棚に隠しているんですか」

「いや、これがばれないように栞が手をつけていない本の間にページを一枚ずつ忍び込ませているんだ。表紙はぼくの部屋においてあるんだけどね」

「……」

 この人、凄いんだか凄くないんだか……よくわからないや。



―――――――



 ともかく、笹川が外に出ている間に本棚という世界に散らばったお宝を回収するという苦行が始まったのである。

 半分ほどエロ本が回収され、形を成してきたところで俺は手を止めた。

「今さらですけど、何で妹の部屋にエロ本を隠しているんですか」

「ああ、そうだね。説明が遅れてしまってすまない。それは実に簡単で、でも、実はかなり複雑な背景が存在しているんだよ。最初のほうは一生懸命自室に隠していたんだけどね、これがまた、なかなか隠す場所はないし、栞はそういった本が嫌いのようですぐさま、目の前で燃やされてしまったんだよ。それでだね、ある日ぼくは画期的な先人の言葉に出会ったんだ。木を隠すなら森の中……エロ本を隠すならば隣の本棚に……しかしね、一冊置いていてもすぐさまばれて燃やされてしまう。それならば一ページずつ挟み込んでいれば他がやられても他のページは助かる、そう考え付いたんだ」

 相変わらず凄い発想である。

 俺が言うのもなんだけど、隠し場所には苦労しているんだな~。



――――――



 最終的にページは全て回収されて合体して本となった。

「うほほほっ」

「にょほほほほっ」

 そんな声が俺の近くから聞こえてきている。まったく、変な鳴き声をしている生命体だ。生物学会とかに発表したらいいのかもしれないな。

「やっぱり、姉系万歳ですね、先輩」

「そうだな、満君。妹萌とか言っている奴は夢の見すぎだよなぁ」

「ですよね、実際の妹なんて面倒なだけで」

「可愛くないものなぁ」

「それに比べて姉は……」

 俺は猫と遊んでいた。どうも、俺にはあまりついていけない内容だったようだ。ついでに言うなら、猫は暁、常夜とは違う猫で白夜というそうである。真っ白な猫で、大人しい。

「満、お前妹がいたのかよ」

「ああ、いるよ。僕に似てる妹がね」

「……そりゃあ、かわいそうに」

「何でだよっ」

 まぁ、そんな感じで一日が過ぎていった。結局、一日をエロ本探して後はだらだら喋るだけという最も勿体無い一日の使い方をしてしまったのではないかと後悔した。

 後で聞いた話だが、笹川兄のアイディアも笹川に露見して酷い目にあったらしい。かわいそうに。


時間がないので今回後書きなしです!やっぱり、朝食パンは焼いたりしないといけないから無駄に時間を食われます。朝食だけに。二月二十五日木曜、七時二十五分雨月。

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