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第五十三話◆:流れるままに、吹くままに

第五十三話

 ちゃぶ台をはさみ、俺の目の前には麦茶が、爺さんの目の前にはアイスコーヒーがおかれている。どちらも、コップが汗をかいている状態である。

「ふぅむ、いずれ人造人間作ってみたくてあのマネキンを作ったんじゃよ」

「はぁ……」

 爺さんはそんなことを言っていた。その足元にはあのおっさんが転がっていて、一切動かない。看板は元の場所へと戻され、喜んでいるように見えた。

「あ、人造人間を知らんのか。人造人間っていうのはな……」

「いや、知ってるから……で、何でそんなものを作ってみようと考えたんだよ」

「年寄りの楽しみじゃ」

 そういって茶をすする。年寄りの楽しみであんな謎のSF作品に出てきそうな(しかも敵役)人型兵器を作るものじゃないよ。年寄りの楽しみとかいって世界征服を始めるかもしれないぞ、この爺さんは。

 俺の心の嘆きを知ってか知らずか(どうせ知っていても無視だろうな)爺さんは話を続けるのだった。

「まぁ、あの子は殆ど完成に近い。ちょっと性格が悪い奴が出来そうじゃが結構いい線いっておったろう。後はわしの親友に外見を依頼するだけじゃな」

 ばっきゅっぼんにしてやるっていっておったからなぁ、楽しみじゃ。そんなことより俺は気になることがあった。

「……問題とかはないのかよ」

「ないぞ。ちょっと茶目っ気たっぷりで怪力じゃがな」

 言い切った爺さんが怖くて仕方がない。この人がやっぱり、世界征服始めたといったら俺はどう反応すればいいのだろう。嘘とは思えない。

「ま、ゼロワンは間違いなくニアに破壊されておろうな」

「そうだろうな。ニアに勝てるはずないし」

「もともと戦闘用じゃなく、介護用のロボットじゃ。そんなに戦闘能力は高くないぞ」

 介護用のロボットの割には結構強そうなんだけどなぁ。

「零一、戻ってきたぞ」

「ニア……怪我とかはしてないよな」

 ちょっと露出の多いくのいちの服装のニアを上から下まで見たが出血などはみられなかった。

「勿論だ。ニアがこの程度で怪我するわけ無いだろ」

 にっこりと笑ってそういうニアはいつものニアだった。ともかく、無事ならそれでよかった。勝てるというのは信じていたがそれが完全勝利なのか、ぎりぎりの勝利なのかはわからなかったからである。

「ま、今後も若造には色々と期待をしておるぞ」

 そういう爺さんはまだ何か隠しているようでもあった。出来れば、簡単にこなせる面倒ごとだったらいいのだが、人生そんなにあまくないよなぁ……

 まぁ、そういったこともあってニアと遊び俺は家に帰ることにした。

「今度は泊まりに来いよ、零一っ」

「考えておく」

 ぶんぶんと手を振るニアだったが、もし、あの家に泊まって俺は生きて帰ることが可能なのだろうか……そんなことを俺は考えてみた……が、生存率は限りなく低くなってしまうだろう。



―――――――



「ただいま」

「お帰り、遅かったわね」

「ああ、まぁ、ちょっと色々とあったんだよ」

 爺さんから口止めされているために色々と、喋ることはできなかったりする。日記帳にも書いちゃ駄目じゃよといわれているために体験談も書くことができない。結構おもしろかったんだけどな。まぁ、約束事を守れないようじゃ人としてやっていけないだろう。



―――――――



 人間って結構不思議な出来事に立ち会うことってあるものだ。俺の場合は三年前に一度、アンノウン・フライング・オブジェクト……って、UFOの正式名称だよなぁ……まぁ、ともかく。それを見たことがある。そして、今回不思議な出来事にもう一度であったのだ。

「はい、チーズ」

「……」

 俺、首輪されてます。そして、隣に立っている笹川はレザーの衣装を身に纏い、鞭を持って立っていらっしゃる。

「……」

 すっごく、お似合いだ。いや、俺じゃないぞ。首輪なんてしているが飼い主にだって俺はきっと噛み付くに違いないっ。笹川が、笹川女王様に鞭がお似合いだといっているのである。

「笹川、似合ってるぞ」

「……褒めても何も出ないわよ」

 もう、ね……今の笹川は通常の思考回路をもっていないのだろう。はにかんで笑っているのである。何処の世界に女王様の格好をほめて喜ぶ女子がいるんだよっ。

 どうして、どうしてこんな状況に陥ってしまったのだろう。


腹痛、頭痛、ついでに便意と昨日は戦いながらバイトをこなしていました。トイレの場所を聞きに先輩のところに行った結果、『そこにおいてあるやつを持って行け』と言われたので作業続行!重たいやつなのでお腹の爆弾がいつ破裂するかもわからない極限状態だったのです。トイレは早め早めを心掛けましょう。二月二十日土曜、七時十四分雨月。

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