第四十七話◆:真のための、真による、真だけの話
読む前のご注意:今回の話を読んで気分が悪くなった、世界が違って見える、小さな妖精さんが頭の中にいるなどの症状が見られた場合は最寄の保健室へ、または医療機関へ向かってください。なお、そのような症状が出ても当小説の作者である雨月は何ら責任を負いません。それを承知したうえでのみ、小説本文へといってください。
第四十七話
「やぁやぁやぁ、これはこれは……雨乃君じゃないか。おや、それに栞も一緒とは兄としては本当にほっとするよ。二人して図書館から戻ってきているところのようだね。両者とも手に図書館の蔵書を握っているから簡単に推理というか思いつくよ。うんうん、いやぁ、雨乃君がしっかりと栞と仲良くやってくれていると兄であるぼくとしても実に嬉しいし、友人がいるというのは改めて凄いな、そう思えてきてならないよ。しかしね、これは別に羨ましいというわけではないんだ。それを踏まえたうえで聞いて欲しい。なかなかどうして、ぼくには友人が出来ないんだ。ああ、勿論、雨乃君のことは下級生だが友達だとは思っているからね。安心していいよ。それで、話はぼくに友達が出来ないということに戻るね。自分のことを客観的に見ることができていないというのがぼくの悪いところなんだけれども……ああ、この意見は肉親達からいただいたものなんだ。客観的に何かを言うことができない人間が自分のことなんて客観的にみることは出来ないからね。栞は意外と疲れが顔に出るタイプなんだね。昨日の夜は結構遅くまで本を読んでいたのかな、凄く疲れているような表情を……おや、雨乃君まで疲れているようだね。ああ、もしかして二人で夜遅くまで話をしていたのかい。おっと、これは余計な詮索だったね。いちいち人の会話に首を突っ込むのはよくない。結構話が逸れてしまったね。ごめん。それを除いたとしても何処が悪いのかよくわからないんだ。顔も、自分で言うのもなんだけどひどくは無いはずだし、運動神経だって中の上のほうだと思うよ。たまにはクラスメートたちとも話をしたりするけれども、みんなぼくの話を聞いた後は実に疲れたような顔をしてしまうんだ。何故なんだろうね。それが全く理解できないんだ。率直に言ってほしいといっても彼ら、彼女らは困ったような表情をしてしまうんだよ。こればかりが本当に納得が出来ない。もう高校三年生になっているわけだけど笹川真=変人といった話をごく稀に聞くんだ。うん、ごく稀に……ね。陰口といったものじゃないだろうけど……その噂を聞いた人たちは、特に好奇心旺盛の人たちが本当に興味本位でぼくのもとを訪れ、結局はあれほど目を輝かせていたのに疲れた表情で帰っていく人たちを見るのは実に忍びないことなんだ。もしかしてぼくは天性として人を疲れさせる何かを持っているのかもしれないね。ああ、これはあくまで冗談だよ、冗談。ぼくと喋った人間全てが疲れてしまうというわけじゃないんだ。あ、そういえば雨乃君は校長先生と話したことはあるかな……ああ、あるんだね。そっか、君は転校生だから一度会っているんだ。どうだった、生徒の中には話が長いって愚痴を言う人たちもいるけどね、ぼくとしてはあのぐらいがちょうどいいと思うんだ。校長先生と話すときは実に会話が弾んでしまってね、おっと、勘違いしないで欲しいけど君たちと話すことだって充分楽しいんだ。時間を忘れてしまう。うん、ごめんね、言い換えよう。校長先生と話すのは雨乃君、そして栞と話すときと同じで非常に楽しい。おいおい、栞……そんなに照れなくても大丈夫だろう。別に照れてない、疲れているだけ……ふむ、こういったときにガラの悪い連中に出会ったら大変だろうから午後の授業はサボって寝ておいたら……何、余計なお世話だって……まぁ、そうだね、ちょっとお節介すぎるところがあったのかもしれない。雨乃君、栞のことをよろしく頼むよ。たまに無茶をしようとするとき、その時は、一緒に栞と無茶をやってほしいんだ。ふふふ、驚いているようだけどぼくは無茶が嫌いというわけではないんだよ。一人で無茶だったとしても二人だったら無茶じゃないかもしれないだろう。一人でやる無茶よりも二人で無茶をやるほうがリスクは低くなるはずだからね。ああ、先に言っておくけどどうしようもない時だってあるかもしれない。そんなときは最後の最後まで諦めちゃだめだよ。うん、諦めるのなんて本当に一瞬の間で出来るからね。だけど、諦めが悪いとよくないよ。男と女の中だったら、片方があきらめ切れないで相手を追跡して、ストーカーに……おや、雨乃君なんだか顔色が悪いようだけど体調がやっぱり優れないのかい。もしかして、誰かにストーキングされているというわけではないだろうね。そうか、そうじゃないんだね、それならいいけど悩んだときはぼくか栞に相談してくれて構わないよ。栞相手だとちょっと相談しづらいことはぼくに言ってくれるといい。おお、そういえば携帯電話番号を教えていなかったね。ついでにメールアドレス、略してメルアドも教えておこう……いやぁ、実にいい世の中になったものだよ。携帯電話が普及して、更には赤外線を備えたものまであるからいちいち紙に書いたりして渡す必要が無いからね……おっと、携帯電話のことについてだらだらと喋ってしまった。そういえば、栞は雨乃君に電話番号やアドレスを教えたのかい……何、まだ教えていない……栞、まだぼくは雨乃君の友達になって日が浅いが彼は今や広大になりすぎた小宇宙であるネット中に君のアドレスや電話番号を貼り付けるような悪者ではないよ。彼はそんな事を出来るような人間じゃない、こう見えてもぼくは人を見る目はあると思うんだ。何……そんなことはわかりきっている……じゃあ、何で教えないんだい……困ったときに助けは必要だろうに。栞は友人の助けが必要なときだってあるんじゃないのか。ふむ、まぁ、あまり口出しするのもやめておこう。悪いね、雨乃君。別に栞がアドレスや電話番号を教えないのは君のことが嫌いだというわけではないと思うんだよ。ちょっと恥ずかしがり屋な部分があるからね。そこも栞の魅力だと思って許してやってほしい。だんまり決め込んでいるところがあるけれど気分のいい時は話しかけてあげれば結構答えてくれるから。ま、機嫌の悪い時に話しかけるのは自殺行為だと思うよ。雨乃君はもう知っているだろうけど栞の拳は固くて非常に痛いからね。何度も味わっているぼくから実体験を言わせてもらえばあれを鳩尾に喰らったら次の日も尾を引くんだよ。トイレを我慢しているときにあれをくらってしまったら……流石に兄としては君に謝るしかないね。しかし、ぼくは何か面倒ごとを身内が起こしてしまったとしても基本的には起こした人間の責任だと思っているほうなんだよ。だけど、一回ぐらいは謝ってあげよう。おっと、その表情はすでに拳を栞からプレゼントされてしまっているようだね。どうだった、癖になるものだったかい……そうか、まぁ、ぼくも特殊な趣味を持っていないからね。普通に殴られたら痛いと思うだけなんだけど……ちょっと、雨乃君耳を貸してくれないか……あのね、栞の拳を受けてなお、あの子に喧嘩を吹っかけるものの多くが癖にある拳だった、何度も喰らいたいと語っているんだ。全く、変な男がつかないようにしっかりと雨乃君が見張っていてやってくれよ。おっと、もうこんな時間だ……それじゃ、二人とも仲良く授業を受けるんだよ」
なれない肉体労働が身体に出るのは基本的に二日目。というわけで身体の節々が、特に腰がやばい作者雨月です。中腰なんていたくて出来ません。さて、今回の話はどうだったでしょうか。初めての試みです。失敗だったら失敗だった、成功だったら成功だった。誤字があったら誤字があったと連絡ください。真みたいなキャラが好きだと感想がもし、あった場合はヒロイン並に登場します。本当かよ~、そう思った方は是非とも連絡お願いいたします。話は変わりますが今日はバレンタインデーですね。どうせ、もらえる数なんてわかっていますがそんなものなど消えればいいのですよ。何、ホワイトデーは三倍って。赤い彗星のあの人だったら三倍でしょうが、白い悪魔は三倍じゃないでしょ。しかも、あれって三倍じゃなくて三倍に見えるだけだったはずだし。重要事項ですが無感の夢者さんより色つきの絵がみてみんのほうで掲載されています。やっぱり、色つきはいいですよぉ。しかも、海水浴の絵だったし。と、いうか……今回の話をちゃんと読んだ上で後書きを読んでくれている人っているのでしょうかねぇ。全くもって面倒な話だな、おいとか思っている方もいらっしゃることでしょう。次回はまだ完成していませんが一日一回は更新したいと思っています。まぁ、バイトが立て込んでいますので難しいかもしれませんがやっていきたいものです。それでは、また次回。二月十四日日曜、九時十七分雨月。