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第三十九話◆:満に質問

第三十九話

 昼休み、珍しく弁当を持ってきていた満と一緒に食べることにした。笹川の姿が見えないのはちょっと用事があるからだそうである。勿論、腕っ節関係の用事だ。もはや、結果が見えているために追跡する必要も何も無いといった調子だ。それに、今回は絶対についてくるな、ついてきたら素っ裸にした後で屋上に吊るすぞと脅されている。そんなローリスク・ハイリターンなことはしたくない。

「僕はされたいな」

 そんなおバカなことを口にするのは決まって満である。冗談であろうと俺は信じているのだが恍惚の表情を浮かべているところを見るとひょっとしたらひょっとするかもしれない。

「なぁ、満……」

「ん、どうしたの」

 何処か遠い土地へと旅立っていた友人に声をかけるとすぐに戻ってきてくれた。よかった、こいつはまだまだいたって普通の常識人だ。

「ツンデレってなんだよ」

 テレビでこの前言っていたがよくわからなかった。そういうわけで、人に聞くしかないと思ったわけである。

「いやぁ、まさか君からそんな言葉が出るとは思わなかったよ」

「そっか、で、それの意味って何なんだよ」

「まぁまぁ、ちょっと待っていてよ。これは人によって化ける言葉だからねぇ」

 どうしたものかと悩む姿が珍しかった。普段、勉強中でもそんな表情見せないくせに。きっと、この顔のままで行けば結構もてると思うのだが。



――――――――



 教室、昼休みが終わって笹川が戻ってきた。

「お、帰ってきたか……で、どうだった」

「……どうだった、って何のことかしら」

「怪我とか……おい、怪我してるじゃねぇか」

 すその部分が擦り切れて血がにじんでいた。

「別に、この程度いつものことよ」

「馬鹿、っと……今、治療してやるから……動くなよ」

「別にいいわ」

 振りほどこうとするがこっちももはや意地である。引っ込めないところまできていたために強引にでも消毒してついでに包帯までしてやった。

「ほら、終わったぞ」

「……お、お礼なんていわないわよっ」

「へぇへぇ、別にお礼なんていわれなくていいぜ」

「……雨乃の馬鹿……あんたが大怪我したときはわたしが真っ先に治療してやるんだから覚悟しておきなさいよっ」

「はいはい、その時はよろしくお願いしますねぇ」



――――――――



「ってな感じが一つの例だね」

「……う~ん、絶対ありえなさそうな状況だな」

 そんな事を話していたら笹川が戻ってきた。

「……どうかしたの、雨乃」

「ん、いや……お前は健康体ですばらしいなぁって思ってよ。怪我とかしてないよな」

「するわけないわ」

 流石、笹川……怪我一つ負ってはいない。一騎当千、獅子奮迅。一人で相手を四面楚歌という凄い女子生徒である。ちなみに、この四面楚歌に陥った項羽は一度四面楚歌を突破しているそうだ。

 笹川が俺の隣につく。そして、笹川をちらっとみた俺の肩に満の肩が乗るのだった。

「ま、あれだね。最初はツンツンしていても時が魔法をかけちゃう時もあるんだよ」

 知ったような口を聞いているがどうなのだろう、俺はあまり詳しく知らないために突っ込みようが無かったりする。

「そうかぁ、俺はそう思えないんだけどなぁ」

 笹川はいつまで経っても笹川だと俺は思うのだが。隣の笹川と目があった。

「何か用でもあるのかしら」

「いや、別に」

「大切なのはきっかけさ」

 そう言う満はいつもより格好いい。だが、普段が普段だけにこの表情を知り合いに見せたところで特殊メイクだといわれるだけだろう。

「たとえば、尾行したり、待ち伏せしたりして偶然を装って一緒に帰るとか」

 笹川のジトッとした目が俺を見る。

「お、おいっ、俺はまだそんなことをしたこと無いぞ」

「まだ……へぇ、じゃあ……」

「誤解するな、俺はそんな事をする人間じゃないぞっ」

 あのいつもの人を見下したような目は……俺のことを信用してくれていると思っていいはず……だろうか。


不定形の言葉だそうです、『ツンデレ』って。雨月もよく把握していないためにそうかぁ、これって違うなぁ、という方はご連絡ください。もう、すっごく詳しく書いてくれると嬉しいです。さて、雨月が住んでいる地方では今日も雨です。雨が長引くと洗濯物は乾かないし、バイトが休みになって仕事がたまって日曜返上という結果になってしまうこと大でしょう。まぁ、小説書いているからチャラということで手を打つのもいいかもしれませんけどね。ともかく、次回で第四十話ということでそろそろ深く掘り下げたような話を書いていこうと思っていますので今後もどうかよろしくお願いいたします。二月十日水曜、七時四十三分雨月。

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