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第三十八話◆:夏の暑さと女子達

第三十八話

 七月一周目。空調システムがおじゃんとなっている我らが一年G組には暑さで机に突っ伏している連中が多い。教壇で喋っている先生も心なしか暑そうで(汗が額に浮かんでいるわけではない)授業自体を放り出して真夏のバカンスに旅立ちたいといった印象を受けた。勿論、俺もその考えに賛成ではあるのだが例外というか、何と言うか……暑さに耐えることが得意だという人は何処の時代にもいるわけである。

 昼休みになっても暑さは変わらない……というか、逆に暑くなっているために“涼”を求めて一年G組ゾンビは図書館や他の教室に向かってしまった。この暑さに耐えることができる連中と暑くて動きたくないと考えている連中は教室にいる。

「いやぁ、みんな苦しそうだね~」

「………」

 この暑さに耐えることができる満は暑くて動く気さえ起きない俺の元へとやってきた。いや、本当はその隣にいる暑さに耐えることができる笹川に用事があるのだろう。

「笹川さんって暑いの大丈夫なんだ」

「うん」

「へぇ、僕と一緒だ。運命を感じるね」

「……ううん別に」

「そっか、だけど同じことには変わらないよね」

「うん」

 そんなやり取りを俺は隣で聞いている。勿論、何かを言うつもりもないし、ついでに言うならば余所でやってほしかった。



――――――――



 放課後になってようやく身体を動かす気が起きてきた。さっさと家に帰るとしよう。暑さは変わらなくても風呂に入ってさっぱりしたいものだな。

 そんな事を考えながら廊下に出て下足箱へと向かう途中に見知った顔が目に映る。

「あ、零一君」

「湯野花さん……」

 暑さはましになったとはいえ、まだ暑い。それでも湯野花さんは元気であった。

「……元気だねぇ、暑くないのか」

「この程度の暑さ、なんともありませんよ」

 タフだな~、この人は。ま、俺もちょっと気合を入れればクールな男子高校生にはや変わり可能だけどな。

「一学期最後のイベント、期末試験が近づいていますからあまりみっともない点数は採らないでくださいよ」

「……ああ、問題ないぞ。任せろ……」

「目が危ない人になっていますけど……実は、七月の終わりぐらいからまた依頼が入っていますから覚悟しておいてくださいね」

「……あいよ……」

 忘れないでくださいよといわれて俺は湯野花さんと別れるのだった。この暑さ、誰かに肩代わりしてもらいたいものだな……



―――――――



 校門辺りに誰かがいた。

「零一っ、今帰りかっ」

「ん……ああ」

 ニアだった。暑いというのに汗一つもかかずに手を振りたくっているのである。う~ん、まぁ、ニアだったらこの暑さに普通に対抗できそうだな。それこそ、陸、海、空とどこにいても異常は起さないかもしれない。

「一緒に帰ろうっ」

「……ああ、いいぜ」

「元気ないな、どうした」

「暑い。それが原因だな」

「あ、それよりニアの家に来るか」

 それよりって……ニアが聞いたんだろうよ。まぁ、どうせこのニアが俺の話をちゃんと聞いてくれるとは思っていないから別にいいか。

「……お前の家か…」

「我慢大会やってるんだ。夏の暑さよりも暑いようにコタツとかストーブ沢山出ているぞっ」

「……」

 それ、絶対干物になっちまうよ。



――――――――



 ニアの魔手から逃げ出すことに何とか成功して、俺は家へと無事帰還。暑さでどうかなっちまうんじゃないかと思いながら自室に戻ろうとして佳奈に会った。ついさっき帰ってきたところなのか水を飲んでいる。

「あれ、今日は部活じゃないのか」

「……う~ん、顧問の先生が熱中症で倒れちゃって解散になっちゃった」

 佳奈は弓道部である。弓道部が何をしているかはまぁ、その名のとおりのことをしているのだろう。運動場のかなり隅の方に陣取っており、熱中症とは無縁っぽい感じだった。

「そうなのか……まぁ、世の中何が起こるかわからないからなぁ……佳奈も気をつけろよ」

「あんたに言われたくないわよ。鏡を見たらどうかしら……今にも死にそうな目をしているわよ」

 そういって佳奈は水を飲み干すのだった。そんなに危ない顔をしているだろうか。

「ま、私はそんなに暑いとは思わないけどね。暑い暑いって言っているから暑いんだろうけど」

 それは一理あるかもしれない。そう思って俺は自室へと戻ることにしたのだった。



――――――――



 夕飯も終わって自室に戻っているとケータイが鳴り響いた。暑くてイライラしているときに誰だろう……夏なんて大嫌いだ。相手が誰であるかも確認せずに俺は通話ボタンを押す。

「もしもし……」

『あ、零一先輩』

「澤田……どうした、こんな時間帯に……」

『あの……なんだか機嫌悪くありませんか』

「んにゃ、暑くてちょっとぼーっとしているだけだ。で、用件は」

 そういうと電話向こうの相手は慌てたように声を返す。

『こ、今度の土日にうちのママが湯野花さんと零一先輩を誘って欲しいって言っていたんです』

「ん、どういうことだ」

『湯野花さんがどういった方かは知りませんが、その、大変お世話になった方だって言って……別荘にご招待したいといっています』

「いいのか……」

『ええ、ママもパパもいいって言っていました』

「……う~ん、でも迷惑になるんじゃ……」

『大丈夫ですっ』

 結局、澤田に押し切られるような形で俺はうんと言ってしまった。年下相手に押し切られるなんて……

 その後、湯野花さんに連絡を入れて何とかよい返事をもらって今度の土日に別荘へいくことになった。ちょっと早いが海に入るとのことである。

 夏、いいねぇ、夏。俺、夏大好き。


先日、バイトがどうのこうのといっていましたがちなみに、こんなバイトをしています。いや、別に聞きたくないよと思うかもしれませんがまぁ、あれですよ。話す事が思いつかないのでバイトの話でお茶を濁すという奴です。時給不明、午前八時から午後五時まで(十時休憩、正午昼休み、賛辞休憩)たまに残業あり。月、火、水、木、金、土……日曜も忙しい時はやるそうです。雨の日が平日、休日問わず雨月のおやすみ日です。まぁ、こんなものですかねぇ。ではまた次回お会いしましょう。誤字を発見した場合は突っ込みどうぞ遠慮しないでください。『こいつぅ、誤字ってるぜ……プププ』といった感じでも構いませんのでどうぞお一つ、よろしくお願いいたします。二月九日火曜、七時三十九分雨月。

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