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第三十六話◆:笹川は無表情

第三十六話

 日曜日、笹川と約束していたために俺は駅前で待っていた。休日ということで他にも待ち合わせの人たちが多い。家族連れの姿を確認することが出来るのだが大抵は男が一人で待っていることが多く、中にはでれでれした顔で待っている輩がいた。羨ましいなんてぜんぜん、思ってないからな。

「……」

 そう思ってなんだか、寂しくなってきた。あいつらは彼女を待っているのだろうが俺は友達を待っているのである。まぁ、あれだな。彼女なんていたら面倒なことになるだけだ。それに、俺みたいな男に彼女ができるというわけでもないだろう。いつの日か、独身貴族になって奥さんの飼い犬と成り下がった連中を見下してやるのだ。

 そう、何処にでもありそうな僻み屋の考えをしているとケータイが鳴り響いた。近くにいた男共が一瞬反応したがどうやら自分のではないと音で判断したようだ。

「……もしもし」

『雨乃、今から家を出るから五分ぐらい遅れるわ』

 ちっとも声色が変化なんてしていない。悪ぶれていないというか何と言うか……『ごめんね、雨乃君。ちょっと遅れちゃうの……お願い、わたしをおいて帰らないでよね』そのぐらい言ってくれてもいいのではないだろうか。まぁ、無駄だろう。第一、笹川にそんな事を期待している自分が薄ら寒くなってしまったが。

「ああ、気にするなよ。気をつけて来いよ」

『雨乃に心配されるまでも無いわ』

 そうやってぷつりと切れた。

「……」

 相変わらず愛想の無いやつだな。『悪いけど』って言ってくれればそれなりに許してやったのに。



―――――――



 きっちり五分後、笹川は姿を現した。そして、笹川が現れたことによってなんだかため息が聞こえた気がしたのだが……気のせいだろうか。それに、周りの男共の視線が笹川に釘付けである。

 笹川はジーパンにTシャツという実にシンプルな格好だった。俺も、大して変わらない服装だがスタイルのよい笹川はまるでモデルみたいだ……とは流石に言いすぎだろうな。

「じゃ、行くか」

「そうね、ぼさっとしていても時間の無駄だし」

 俺に無駄な時間をくれた張本人がそういうとは……相変わらず変わりのないやつだな。

 改札口を通り抜けて電車に乗る。人は思っていたよりも少なかったがやはり混雑はしていた。

「なぁ、さっき駅前で待っていた連中とは知り合いだったのか」

「誰も知り合いなんていなかったわよ」

「だってよぉ、お前のことずっと見てたし……あれか、あの年齢層にはお前の怖さがダイレクトで伝わるのかなぁ…ごはっ」

「……馬鹿なことを言ってないでしっかりつり革を持っていなさいよ」

 そういった直後、ゆれた。ちゃんとつり革を握っていなかった俺はそのまま笹川に抱きつくような感じになった。この一瞬の間にも笹川は俺を避けようとしていたのだが、隣のおっさんに身体がぶつかったために避けきれず俺が笹川にぶつかったのである。

「わ、わりぃ」

「……」

 無表情に見下ろしてくる笹川が怖かった。先ほどの振動で変なところに足が行ってしまった挙句、誰かの足と足がクロスしたその下にあるために動かせる状態ではない。クラスメートの胸に許可もなく顔をうずめるなんて何処の変態だよ、さっさとどかないと(どいても後で)笹川に天誅を下されてしまう。

 胸元に顔をうずめてしまうような形で三分ほど経った。そこでようやく足が抜けてきちんとたつことができたのだ。

「…本当、悪い。まさかああなるとは思ってなかったからよ」

 周りの連中に聞こえないようにそういってみる。

「………」

 怖い、いつもより更に無表情だ。これは後で天誅確定だな。嗚呼、短し我が人生は薄命たる所以が如く。

 さっきのような事故が絶対に起きないようにつり革をしっかりと握り締める。笹川の表情を盗み見る。

「……」

 なんだか、かなり傷ついたような顔をしていた。その表情はぜんぜん笹川ではなかった。というか……女の子の様だった。いや、笹川は女の子である。そりゃあ、そうだよなぁ……胸に顔をうずめられるとか俺も絶対に傷つくと思うもん。よく考えて欲しいが、男が自分の胸に顔をうずめるのである。想像してほしい、それが一瞬ではなくまじまじと、それこそ見ようと思えばずっと見れるような時間だったのだ。俺は絶対に耐えられない。下を見たら男がこっちを見上げているなんて……想像するなんて虫唾が体中を駆け巡って空港から全世界へ飛び出していってしまうぐらい……ああ、ぞっとするぜ。

 気分は最悪だ。きっと、明日のお昼には変態という仇名がつけられること確定だろう。


はい、第三十六話目の話ですね。今回こそは前と後ろに分けて投稿ということで。気がついてみたら二月に入ってもう七日経ってしまっていますね。時が経つのは早いものです。ついでに言うのならば、この時期の寒さは日本何処であろうと変わらないんじゃないかな、そう思えて仕方がありません。比較的温かいと思われている雨月の家付近でもひどい寒波で真っ赤に染まった自分の手に息をかけながら洗濯物を干しました。おかげで五分程度手が冷たすぎて何もする気が起きませんでしたよ。けどまぁ、今は何とか動いていますけどね。ああ、それと以前親知らずをぬいたといいましたが別に抜く気はなかったんです。虫歯が出来たということは言ったかと思いますがそれが処置不可能の場所で抜くことになったんですよ。たまにうずく程度で済んでいますが感染症にかかったりするとのことで抗生剤を飲んでいます。後、痛み止めですかねぇ。歯医者の痛み止めは結構早く効きますからすごいですね。生まれて初めて痛み止めなんて飲んだのですからびっくりしましたよ。こんなに効くのかよっと。それと、行きつけの歯医者さんであった一幕。呼び方が『さん』から『君』に変えられたのです。なんだか、凹みました。俺はそんなにガキじゃないぞぉっ。まぁ、そんなことはおいておきましょう。今日の投稿はこれでお終いにしようかと思っています。これまでのところを読み直して誤字脱字をなくそうかなぁと考えているわけです。それがどれだけ効果あるかはわかりませんがやってみようかなぁと。明日からは間違いなく更新スピードが停滞気味になるでしょう。ちょっと用事が入ってしまうので。多分、夜更新となると思いますので寝る前のひと時にどうぞお読みください。あ、感想なんかお待ちしておりますのでお暇なときによろしくお願いしたいと思います。今日は七日なのかぁ……二月七日日曜、十時四十一分雨月。

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