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第三十四話◆:礫の間

第三十四話

 六月終わりの週。俺は佳奈に思い切りほっぺたを叩かれた。突然で驚いたことだろう。勿論、叩かれた俺が一番驚いている。



「さいっていっ」



「……」

 しかも、それはクラスで、お昼休みだった。殆どの生徒がお弁当のためにこの衝撃的な瞬間を目撃しているというわけである。救いというか、なんというか……笹川がいなくてよかったなぁ、そう思えた。

「……あ、おい、佳奈っ」

 佳奈はそのまま自分の教室へと帰還。ほほに立派な紅葉をつけられた俺は立ち尽くすしかなかった。周りのクラスメート達も唖然と言った感じで俺をみていた。

「え、な、なんで俺……叩かれたんだ……」

「「「……さぁ」」」

 さっぱり、理解が出来ない。



―――――――



 満と佳奈は以前から知り合いだったらしい。中学時代から同じだったそうだ。

「いやぁ、あの怒気っていうのかな……纏っていたオーラは間違いなく、鬼そのものだったよ。うん、あれは最高ランクに位置する怒り具合だね」

「……いや、なぁんで、あんなに怒っているんだろうな」

 いまだに紅葉が俺の頬に張り付いている。まったく、何故俺が頬をぶったたかれなければならないのだろうか。責任者、今すぐ出頭しなさい。

「満、出来ればそれとなく佳奈が何であんなに怒っているのか調べておいてくれないか」

「ええっ、僕がぁ……」

 台詞は嫌そうなのに目はきらきら、そしてやりたがっている節がある。

「お高くついちゃうよ」

「……いくらだよ」

「女子の生写真だよ」

「……いいだろう」

 勿論、となりに笹川はいない。笹川がいたら俺のことを侮蔑していたに違いない。

「雨乃も大変ね」

「のわっ、笹川……お前いたのかよ」

「さっきからずっといたわよ」

 どうでもよさげにそうつぶやく。ぬぅ、こやつ……忍者かっ…いや、忍者はニアか。

「女子の間で噂になってるわよ、雨乃が路上で女子生徒に襲い掛かったって」

「……はぁ、ってなんだそりゃっ……あ、満、原因わかったからさっきの話はなしの方向で」

「ええっ」

 満の叫びより、笹川の話を聞いておかなければならない。

「ただじゃ教えないわよ」

「ええっ、いいじゃん」

「駄目よ、また今度の日曜日に初版を探すのを手伝ってくれたらいいわ」

「よし、飲んだ」



――――――――



 昨夜、八時過ぎに家の前で女子中学生が襲われたそうである。異変に気がついた家族が家の前に出たところ犯人と思しき男は逃亡。

 ここからが、重要なところだ。

 その少女は俺っぽかったといったらしい。何処のどいつだよ、そいつは。

 そう思って襲われた少女を調べた結果が……なんと、澤田だった。何故、澤田が襲われたことを佳奈が知っているのかはわからなかったが……

 澤田を襲うとは何処の誰だか知らないが……いい覚悟をしているとだけ言わせてもらおう。先ほど、澤田に確認したのだがあくまで俺のような背格好で、俺より格好いい顔をしていたとのことである。くそ、尚更許しておけん。



――――――――



「で、貴方が今度の依頼主なんですか」

「ああ、そうだ」

 ともかく、犯人を絶対に捕まえたいのだ。警察以外にも意外と役に立つかもしれない友人にお願いしてみた。

「……仮にも、女子中学生を襲った変質者なんですよね。あたしが襲われたらどうするんですか」

「大丈夫だよ、俺もいるから」

「……零一君、腕っ節が強そうには見えないんですけど」

「そのときは……あれだ、片方が襲われているうちに片方が逃げて警察に連絡……」

「わかりました、無駄かもしれませんが一応、探しましょう」

「悪いな、湯野花さん以外に頼れる相手がなかなかいないんだよ」

 すでに指名手配もされているため安心だろうが念には念を入れておきたかった。


第三十四話目ですね。あ、たった今無感の夢者さんから新たに『雨乃佳奈』、『笹川栞バージョン2』がみてみんの方に投稿されたとのことです。いやぁ、どうしたものか……気がついたら事件の話になってしまいました。すごく、リアルな事件ですよ。最近こういったのが多いですからね。皆さんも気をつけましょう。そういうわけで、次回も今回の続きです。しばらくの間、多分続きますのでよろしくお願いしますね。二月六日土曜、十九時二十分雨月。

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