第三話◆:放課後は息継ぎ
第三話
プライドなんていらないから実が欲しいという人は迷わず、土下座。しかし、この土下座というものは難しいもので同じ相手にはあまり効果がないので気をつけなければならない。まぁ、一回目ならば許してくれるだろう……そして、屋上から飛び降りるのはさすがにきついだろう。軽い傷で済むとは到底思えない。
「って……ありゃ、笹川さんじゃんか」
「……転校生くん……なんで、あんなところにいたの」
鉢巻を巻いている少女、笹川栞。一体全体、何故、彼女がここにいるのだろう……辺りをきょろきょろ見渡してみたが不良の姿は何処にもなく、あるものといえば汚く散らかされたゴミだけだった。
「まさか、これ……笹川さんが散らかしたのか」
「……ふざけたこと言うと、ぶっ飛ばすわよ」
「いたたたっ」
腕をつかまれたかと思った次の瞬間、俺は汚れた屋上の床に押し付けられていて腕がきめられていた。ちょっとでも動こうとするならば折れる。右に動こうが、左に動こうが、これは、間違いない。
「あと、さっきの事、他の人に喋ったらどうなるか……わかっているわよね」
「わかりましぇ……にょはははははっ。わかってますって」
さっきの事ってどういったことでしょうか……わからないんですけど。
「嘘、ついたらどうなるか……」
すごまれて、頷く。こ、こんなに怖い人だとは思いもしなかった。ちょっとした冗談すら通じてないぞっ。
「じゃあ、教室に帰ろうか、転校生君」
「え、えーと、俺はまだ風にあたっていたいかな……」
「そんなの、許すわけないじゃない」
更に力を入れられてどうしようもない。一瞬だが、常世が見えた気がする。
「かっは……りょーかいしましたっ、教室に一緒に帰りましょうっ」
「わかればよろしい」
全く、何て恐ろしい奴だっ。
―――――――
放課後、俺は隣の少女にとらわれると思って急いで教室を後にした。足には自信があるので素早く校庭へと逃げ出すことに成功する。
「……よかったぁ、死ぬかと思った」
辺りにあの少女の人影はない。
確認し終えてほっと一息。
「零一」
「ぎゃっ」
声がしたほうを見ると其処には一人の少女が立っていた。先ほどの少女ではなく、唯一といっていい見知った顔。
名前を、雨乃佳奈という。俺より身長が低くてちょっと実年齢よりちょっと幼く見られることがあるが同級生である。
「ちょっと、驚くなんてちょっと酷いじゃないっ」
人差し指を俺にむけ、そんなことを言う。
「えっとだな……俺も色々とあるんだよ」
「意味のわからない事を言わないで、ほら、帰るわよ」
「あ、ああ……」
急かされて校門のほうへと向かう。やれやれ、酷い目にあったものだな。
校門を出ればセーフだろう。そういうことで俺は校門を出て辺りをきょろきょろとした。
「何、何できょろきょろしてるのよ」
「えーとだな、まぁ、その、あれだ。変質者がいないかどうかを……」
「変質者はあんたでしょ」
失礼なことを言う奴だ。俺は変質者ではない。ちょっと追跡癖がある高校一年生、男子だ。
「今日は町を案内するって約束しちゃったから仕方なくこうしているんだからねっ、ちゃんとついてきてよ」
「へぇへぇ」
居候の身はつらいもので、ちゃんと言うことを聞かないといけないのである。けどなぁ、面倒だもんなぁ、佳奈ってうるさいし。どうしたものか。
→逃亡。
大人しく従う。
さて、第三話です。人は一日に何回更新することが出来るのでしょうか……溜めておけばそりゃあ、たくさん、それこそ五分単位でぱっぱと更新することが可能でしょうね。やりたいですけどやるほどストックがたまってないのでご勘弁を。二月一日月曜、九時四分雨月。