14:二番手◆
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何度見てもその大きさは相変わらずである。庭には誰かの銅像が建てられているのを新たに発見した。
「映画で使われそうな雰囲気だよなぁ」
「実際に使用されたことが過去にあったと思います」
俺の後ろをついてきていた風花が事務的にそう告げる。
「え、そうなのか」
「はい」
「ふーん、まぁ、俺にはあまり関係なさそうだけどなぁ………ともかく、麻妃に会って話を聞いてみないことにはよくわからないからなぁ」
門に手をかけたところで携帯電話が鳴りだした。
「えーと、もしもし」
受話器に耳を付けると、久しぶりに聞く声だったりする。
『もしもし、お兄様ですか』
「ああ、麻妃か。ちょうどお前に用事があったんだよ」
『ええ、02さんに聞きました。残念ながら今は自宅のほうにいないんです。外国に行っていますので』
「え」
『私がお兄様のお見合いに立ち会う理由は簡単です』
そうそう、それを聞きたかったんだよ。別に会いに行かなくても電話で聞けばちゃちゃっと終わっていたことに今更気がついたぜ。
『私がお兄様の保護者ということになっているからです』
「えっとだな、悪いが俺の耳が悪くなっちまったみたいだ。もう一回言ってくれると脳みそがしっかりと判断してくれる」
受話器の向こうからはため息と、『はぁ、なんで私はこんな人の妹で、言うことをきいてしまったんでしょうか』と聞こえてきたりする。わざと俺に聞こえてくるように言っていると思う。
『私がお兄様の保護者だからです』
「おいおい、俺のほうが年上だろ」
『まぁ、そこはいろいろとあったんですよ』
「………まぁ、いいけどよ」
『本番にはきちんと戻ってきますから準備は怠らないで下さい』
お見合いの準備ってなんだよ………髪形とかだろうか。
――――――――
「どうでしたか」
アパートに戻ってきた俺を迎えたのは当然、留守を預かっていた02。結果はわかっていました、そういいたいようである。
「麻妃様から連絡を受けたので説明しなくても大丈夫ですよ」
「というか、さっさと電話してもらえばよかったんだなぁ」
「何を今更………と、言ってあげたほうがよいのでしょうか」
相変わらず減らない口を持っているなぁ。全く、こいつは本当に機械なのか首をかしげる始末だぜ。
「それでは、私もそろそろ帰るとします」
「お前は麻妃の世話係だよな。海外に行かなくていいのか」
「ああ、それは大丈夫ですよ。麻妃様は直接ゼロワン様に会って話をしたくないために海外に逃げているだけですから」
「…………」
金持ちは違うな。そんなことのためだけに海外に逃亡するとか本当もう、あきれるぜ。
「そこまでして俺と話をしたくないんだろうか」
「そうですね、ゼロワン様と話しているとついつい妥協してしまいそうだから嫌だと言っていました」
「まぁ、そんな理由なら………」
「嘘、ですけどね」
「…………」
全く、こいつを作った奴の顔を見てみたいが………爺さんがにやにやしながら俺を見ているだろうからやっぱり見なくていいのかもしれない。
「では、麻妃様によろしくと伝えておきますので」
「何をよろしくと伝えておくだよ。俺が麻妃にお前をよろしく頼むと言わなきゃいけない立場だろうけどな」
「そうですかね」
「そうだよ、気をつけて帰れよ」
玄関先で立ち止まり、02は俺の目を見て言うのだった。
「そういうのなら………」
「どうしたんだ」
「気をつけて帰れと言うぐらいなら、安全のために私を見送ってくれればいいのではないんですか」
「………それもそう………なんだろうか」
その気になれば機密情報なんてほいほいと持ってきそうなイメージがあるんだけどな。変だな、こんなときだけ可愛い顔をするから02は嫌なんだ。
「しょうがねぇ、風花、ちょっと02を送ってくるから」
「気を付けてくださいね」
ああ、それじゃあ風花が来てくれると安心だな……とは言わなかった。
「では行きましょう」
やれやれ、まさかまたあの場所に行くことになろうとは思いもしなかったな。
「ゼロワン様、変な話かもしれませんが………」
俺より先を歩く02はこちらを見ることなくまるで独り言をのように言うのだった。
「私はゼロワン様に会えたことを嬉しく思います」
「なんだか変な話だな。俺は02に会えてうれしかったけど」
「そう言っていただけると嬉しいです」
「嬉しい………ねぇ」
「ええ、そうです」
今、02はどんな顔をしているんだろうか。気になって追い越そうとしたら気がつかれたのか俺の歩く速さよりもさらに速度をあげて歩き始めた。
「あ、おい」
「このぐらいがちょうどいいんですよ」
「………そうかい、お前がそれでいいなら俺もそれでいいよ」
全く、誰に似たんだろうか。
ちまちまと次回作を書いているわけなのですがなかなか投稿できないですねぇ。毎日投稿出来るってわけでもない状況が続いていますからね。100話ぐらい書くか、いっそのこと終わりまで書いて毎日投稿したほうがよさそうに思えてきてなりません。まぁ、やるべきことは話を進めて駄目だったら全削除して、よかったら投稿………駄目な奴は消えるという悲しい運命にあるんですね。ああ、そうそう、最近起こった不幸な事件といえば壊れていた携帯電話が返却して帰ってきたのですが携帯番号の端末暗証番号が別の何かに変えられていたということでしょうか。ロックをかけていたファイルを開けようとしたらなぜか、開きません。不思議に思いつつ、自分が考えられるすべての番号を押してみましたが開きませんでした。まったく、DO○OMOは何をしているんでしょうか。きっと、陰で苦しむ姿を見て喜んでいるに違いありません。面倒ですが、持って行ってどうにかしてもらわないといけないですね。