11:閑話休題◆
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「おお、若造ではないか」
「爺さん、相変わらず元気そうだな」
「そうじゃな、死神が来るのはまだ先の事じゃろうなぁ」
河川敷、何となく歩いているとニアの家の爺さんに出会った。相変わらず元気そうで白衣を纏っているために藪医者に見えなくもない。
「そういえば若造、お前さんこの前中学校の旧校舎に女の子を連れ込んだじゃろ」
「え、なんでそれを………というか、別に連れ込んだわけじゃないぞ」
捉え方によってはそうかもしれないが俺はどちらかと言うとあの満にはめられたきがしてならなかった。
「あそこには秘密兵器が隠されておるんじゃよ」
「へぇ………」
頭の隅でマネキンが踊っていた。
「まさかマネキンみたいなのじゃねぇよなぁ」
「ああ、あれを見たのか」
どうでもよさげにつぶやかれた。
「あれってなんだよ」
「あれはな………」
「………」
ものすごーく、真剣そのものだった。ここまで真剣な顔が出来るのかよ、この爺さんは………きっと、全世界の人がそう思うであろう。
「妖怪か、人間かを見極める三番目の機械人形じゃ」
「………妖怪ねぇ」
ものすごく胡散臭そうな答えが出てくるとは思いもしなかった。
「妖怪に反応すると動き始める予定じゃ。まだ完成しとらんわい」
「妖怪なんているわけないだろうに」
「いいや、いる。火のないところに煙は立たずということじゃよ。きっと雪男はおるわい」
「………」
イエティ………は、UMAだったから妖怪じゃないな。
「まぁ、爺さんが目指している先が何なのかは置いておくとして、危うく地下室に閉じ込められそうだったぜ」
地下室で一生を終わっちまうのかとは思わなかったのだが、面倒だなぁと感じたのは確かである。
「安心しろ。しっかりとした安全装置があの地下室にはあるんじゃよ」
「本当かよ」
「本当じゃよ」
「信じられないんだが」
「信じてくれんでもいいわい。で、お前さんは連れ込んだ女の子とよろしくやったんじゃろうな」
じーっと見てくる爺さんにチョップを繰り出したら見事に止められてしまった。
「するわけないだろ」
「不安になった隙をつく作戦じゃがな」
「何だよそれ………ともかく、俺と一緒に地下室いった子は不安になってすらなかったぜ」
「ふむ、それは残念じゃったな」
「そうだな………ってなわけないだろ」
「これはいかんな。何かとニアがお世話になったからのう、たまには恩返しをしてやったほうがいいだろう」
こんなときだけ優しくなる爺さんがはた迷惑以外の何でもなかったりする。
「気持ちだけ受け取っとくから何もしなくていい」
「安心せい、今度は彼女の一人や二人……いや、もしかしたら新しい生命が生まれるぐらいのシチュエーションを………」
「だーっ、いいって、その代わりにさっき言っていた秘密兵器が何なのか教えてくれよっ。それでいいからさ」
「ああ、秘密兵器か」
しばらくの間、爺さんは顎を撫でていたのだがいっちゃった目をして言うのだった。
「あそこには最終お仕置き兵器、『メタル・ニア』がおるんじゃよ」
「は、『メタル・ニア』って………」
「今のニアよりも数倍強いぞ。01、02等の技術に変形までこなすんじゃっ。目からレーザーはもちろん、口からは何だかこう、得も言わぬビームも発射出来るんじゃよ」
「なんだか曖昧だな」
しかし、お仕置き兵器ねぇ。
「腕はもちろん飛び出すぞ」
「ロケットパンチかよ」
古い。
「で、一体何のお仕置き兵器なんだよ」
「そりゃ、もちろん浮気対象者を襲うためじゃ」
爺さんのほほ笑みが俺には悪魔のほほ笑みにしか見えなかった。まぁ、なんだ、ともかく俺には全く関係のない秘密兵器だと言うことが分かった。
「まだ試作じゃからなぁ、何かいいアイディアが浮かんだらわしに教えるんじゃよ」
「わかった」
浮かんだとしても絶対に爺さんにいうわけがない。
「じゃあな、爺さん。俺これから用事があるから」
「そうじゃな、わしもそろそろ家に戻るかの」
そういえば02は何をしているんだろうか。麻妃………俺の妹のところで働いていると思うんだがどうだろうなぁ。
次回作について書き始めました。7回ぐらい書き直して最初だけ納得いくものに変えていたりします。次回作はちょっと日常系とは違うかもしれないですねぇ。ええ、全部は02の存在が影響していたりしますが、02っぽい話じゃなかったりします。絵を描いてもらっている夢者さんに意見でももらおうかなと思う日々ですが………悩みますな。そんなわけでニアの祖父と零一のお話でした。どうでもいいような話だけで終わっている気がしないでもないですね。うん、この小説もよく続いているものです………いつもいつも、どうでもいい話ですいませんねぇ。あとがきに書くことがないのもいつものことですけどね。ええ、無理にでも埋めます。白いところをみると汚したくなるんですよ。次回もまた更新が長引くんだろうなぁと思うと心が痛………くもないですけどね。ゾンビ連載になったら大変ですが、ころ合いを見計らいたいと思います。