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第二百四十九話◆:オマモリ2

第二百四十九話

 笹川の家から結構離れているのが高級住宅街である。正直、剣の家か、佳奈の家に向かったほうが時間的には省略出来たのかもしれないがまぁ、仕方がない。澤田の家にいる犬も見ておきたかったからな。まぁ、そんな高級住宅街。お金持ちのセレブやらなんやらが掃いて捨てるほどいるんじゃないのかと満がとある日、言っていたのだがそこに澤田が住んでいると言うとこう言った。

「人間、生まれた時が人生を決定するんだよね」

 実に、さびしそうな表情でそう言った。それなら、何になりたいんだと尋ねると奴は笑いながらこう言った。

「………ハーレムを築きたかったよ」

 まぁ、バカの言うことは放っておくことにしよう。生まれたころからハーレム状態の奴も見てみたかったのだが、それはそれでどんな赤ちゃんだよっと突っ込みたくもなったりする。

 そんなこんなをしているうちに高級住宅街の比較的中央………つまり、結構な豪邸へとやってきたわけだ。改めてみると、東家の館より小さいのだがそれなりに大きい。

 当然、チャイムは直接玄関にあるというわけではない。玄関から遠く離れたところにチャイムがあり、猛犬注意と言う札が貼られている隣に設置されている。そんなチャイムを押して、待たされるかもしれないと思っているとすぐさま返事があった。

『どなたでしょうか』

「俺俺、俺だよ、俺」

 そんなことを言っているとオレオレ詐欺を思いだしたりもする。今はふりこめ詐欺なる亜種が存在しているらしい。

『零一先輩ですか。ちょっと待っていてください』

 玄関のほうから澤田が出てくる。いつもと変わらぬ、可愛い笑顔である。

「今日は遊びに来てくれたんですか」

「ん、まぁ、遊びに来たかったと言えばそうだけどな」

「違うんですか………」

 なんだか、がっかりしているようだ。嬉しいねぇ、俺みたいな人間が来て心の底から喜んでくれるなんてよ。

「今日はな、澤田の写真を借りに来たんだよ」

「私の写真ですか」

「そうそう」

 不思議そうな表情をしながらも、何かを思いついたのだろうか………顔を一気に赤く染めた。

「な、何に使うんですか」

 やっぱり、何に使うか不安なのだろうか。

「変なことには使わないぜ。お守りぐらいだ」

「お守り………」

 再び、不安そうな表情へと変わった。

「何だよ」

「これからどこかに行くんですか」

「そうだな、まぁ、いろいろと回った後にちょっと用事が出来ているのは確かだな」

「私が直接ついて行ったら邪魔になりますか」

「…………」

 さて、どんなものだろうか。邪魔にはならないだろうけど、面倒事に巻き込まれるかもしれないな。人間、九割成功するとか五割失敗するとか………実際は、失敗するのか成功するかのどっちかだと俺は思う。

「写真があれば大丈夫ってことで。ちゃんと返しに来るから安心してくれ」

「わかりました」

「悪いな」

 家へと引っ込んだ澤田を待つ間、ふと、思いついたことがあった。

「零一先輩、どうぞ」

「おう、悪いな夏樹」

「え、今名前で………」

「まぁ、友達ってことで下の名前を呼ばせてもらうことにしたんだよ。嫌なら苗字で呼ぶけど、どうだ」

 そういうと実に嬉しそうに笑ってくれたのだった。

「もちろん、良いに決まってますっ」

「そっか、ありがとな」

 これからどっちに行ったものだろうか。たぶん、佳奈のほうに行くと面倒なことになりそうだから剣に会いに行くとするか。

「あ、あの、零一先輩っ」

 呼ばれたからには振り返らなければ人間的に問題ありだろう。写真も貸してもらったことだし。

「何だ」

「え、えっと………」

 もじもじとした後に、まるでごまかすようにこう言った。

「こ、今度一緒にどこか行きましょうっ。今日は天気が悪いですから」

「ああ、わかった」

 今日はいい天気だなぁ。どこかに出かけるならこう言った日がいいと思うんだが……まぁ、俺のほうもちょいと用事があるし、さっさと終わらせたいものだな。

 言いたいことはこれじゃなかったという表情をしている澤田の事が気になりつつも、時間が経過していることもあって俺は手を振った。

「気をつけて」

 切なそうな澤田の表情がちょっとの間、頭から離れてくれなかった。


まとまっているか、ばらばらになってきているのかはさっぱりです。さて、今回もあとがきいってみましょうか。だって、でも、だけど………これらを多用する大人はちょっと頼りないですね。もうちょっとしっかりしてほしいものです。雨月はごまかすほうですけどね。とりあえず、愛想笑いを浮かべます。とりあえず嫌いな友人の前でも笑いますが、すぐに別れるように努力します。それでも、相手が付いてきた場合は運命に身を任せます。それでは、また次回お会いしましょう。次回予告『雨乃零一、ペットボトルロケットを背中に装着し、向かうは太平洋。他国にミサイルと勘違いされ、迎撃される』と『朝、目が覚めると自分が二人になっていた』の二本をお送りします。なお、内容は変更となる場合がございますのでご了承ください。

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