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第二百四十七話◆:独り立ちと心の支え

第二百四十七話

「一体、二人とも何をやらかしたんだよ~」

 場所はニアの家、ニアの部屋。地下室に行くものと思っていたのだが、既に埋められていて今は地下室がない状態らしい。どうせ、嘘だろうけど。

 テレビに自分が映っているのを見ながらため息をついた。だが、ニアは何かを一生懸命やっているし、02はコンセントに自分のお尻から生えているプラグを突っ込んでいる。

「なぁ、ニア」

「ちょっと待ってくれ。今終わるから………よし、終わった」

 何やら図面に書き足しており、それらは人の形を………正確には、いろいろと書かれている設計図のように見えた。

「零一を巻き込んでしまったのはすまないと思っている」

「すまないと思ってるだけ、だろ」

「………そうだけどな」

 ばれたかという表情はやめてほしい。いや、実は零一が必要だったんだと言われたほうがまだ慰めにはなるからさ。

「ニア様はダニエル様の試験を受けていただけですよ」

 自らプラグを引き抜いて02は立ち上がった。

「お前、電気で動いているのかよ」

「いえ、これは演出ですよ」

 スカートの中から取り出したのは携帯電話。先ほどのプラグはこれのものだったらしい。

「どうですか、近未来を連想できましたか」

「いや、お前がいる時点ですでに近未来も何もねぇだろ」

「それは残念です」

「その割にはあまり残念そうじゃねぇな」

「機械ですから、表情は得意じゃないんですよ」

「嘘つけ………それで試験の内容は何だよ」

 ニアのほうに視線を向けると、何かの設計図を手渡された。

「じーじが、これを東家の機密情報保管庫の中に隠してくるから、とってこいって内容だ」

「…………」

 隠すのを見つけるのと、隠すこと自体、どっちが大変なんだろう。

「補足として言い添えておきますが、東家の警戒レベルは最高ランクのS+状態となっております」

 もはや、声も出ない。

「いやー、しかしこれでニア様も独り立ちが出来ると言うわけですね」

「そうだな、これからはじーじの指令がなくなると思うと少しさびしいかもしれないけど………ニアは頑張るぞ」

 まぁ、ニアは特に何かを盗ってきているというわけでもなさそうだし、一日時間をロスしてしまったがもう東家に行ってもいいのだろうか。

「じゃあな、二人とも。俺は東家に行ってくるから」

「お供しますよ、ゼロワン様」

「いや、お前も侵入者の一人だろ」

 そういうと首を振られた。

「それは違います。筆頭としてニア様を追いかける役をやっておりました」

「スパイかよ」

「いえ、ダニエルさまから合否判定を行うように言われていただけです。つまり、ニア様の味方でもなかったと」

「02はどっちかと言うと敵だったぞ。破壊するつもりだったんだがなかなか決着がつかなかったから放っておくことにしたんだ」

「…………物騒だな」

 東家の前に行くときまではシリアスだったんだけどなぁ。この二人が出てきたら危ういな。

「それでは、参りましょうか」

「そうだな、行方不明のA君扱いはもういいだろうし」

 警察に行ったほうがいいのかとも思ったのだが、別に東家に行けば全てが解決するのだろう。

「零一、頑張ってこいよ」

 応援してくれるニアをじっと見て俺はため息をついた。

「ああ、まぁ、そうだな」

「元気がないな、どうかしたのか」

「ん~、まぁ、なんというかなぁ…………」

 約束の期日を一日過ぎてしまった。だが、それは不可抗力であって仕方がないはずだ。だったら、このまま行方不明ってことでちょっとやり残したことをさせてもらいたい。

「ニアの写真ってあるか」

「写真かぁ………ちょっと待ってろ」

 机のほうをあさり、数分すると一枚の写真を手渡される。

「これでどうだ。なかなかのカメラ目線だと思うぞ」

「………そうだな」

 そこには、天使のほほ笑みを浮かべる赤ん坊が一人写っていた。

「出来れば最近の奴がよかったかな」

「最近のかぁ、いろいろと事情があって持ってないぞ」

「そっか、ないならいいんだ」

「ゼロワン様、今の携帯電話にはカメラ機能が付いているじゃないですか」

「………そうだな、それで撮っておくか」

 ケータイを取り出してカメラ機能にする。

「ゼロワン様もどうぞ。私がとりますから」

「悪いな」

 02は画面を覗き込んでいるようだったがため息をついた。

「遠すぎます。もっと近づいてください」

「零一、もっとこっちだ」

「それなら仕方ないなぁ」

 先ほどよりも近づいたのだが、どうも、まだ入りきれていないようで02は首を振った。

「なぁ、頬をくっつける必要なんてあったのか」

「入っていますから大丈夫ですよ……じゃ、行きますよ~」

 取り直しなしの一発勝負。フラッシュがたかれたのちにすぐさま離れた。

「ありがとな02」

「どういたしまして」

「………あとな、俺の顔半分しか映ってないぞ」

「わざとですから、気にしないで下さい」

「…………」

 そんな02の笑顔も、適当に撮っておくことにした。


九月ですね。いや、すでに九月に入って二日目。面倒なことが山積みという方、今だに運動会が九月にあっているという方もいるかもしれません。ラストに向けて走り始めたと言いながら色々とやっていないことがあるんですよ。お見合い、三年進級のテストなどなど。これらは途中でやめるわけじゃなかったりします。終わった後に続く、そんな感じですかねぇ。もちろん、また別の話ですけどね。では、また次回お会いしましょう。ああ、そうそう。以前は………いや、いいますまい。九月二日木曜、八時二十九分雨月。

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